「ちょっと不思議に思ってる事があるんよねぇ」

いつものように娘が唐突に話し出した。
恐らく私からの遺伝だろう。
それ、結構嫌われるよ…。
ただ、彼女と私との違いは、彼女の会話には「回答不要なケース」が存在する事だ。
この会話に入るのはまだ早い。
ちょっと様子見で聞き続けてみよう。

「私、保育園や小学生の頃、楽しかったのよねぇ♪
でもね、何が楽しかったかを覚えてないのよ?」

ん?
この子は何が言いたいんだ?
何が不思議なんだ?
もう我慢できないのでちょっと聞いてみる。
「例えばどんなことが楽しかったの?」

娘がぎょっとこっちを睨む。
あ、やはり回答不要なケースだったか…

「違う違う!
何が楽しかったか思い出せないのに、
なぜか保育園が楽しかった
小学校が楽しかった
と思ってる事が不思議って事なの!!!!」

あ、一応受け答えしても良かったっポイ…それは一安心♪
とは言え、益々意味が分からない。
だって、楽しいとか面白いとかの感情は、状況がセットになって覚えてるもんじゃないの?
俺だったら
「目をつぶってどこまで歩けるかチャレンジしてたら電柱にぶつかり顔面腫れて家に帰ったら父親に『誰にいじめられたんか!』ってどなられたのが面白い♪」
とか
「張り切ってランドセルで登校したらみんなリュックで実は当日遠足だったことが面白い♪」
とかね。

お互い分かんねぇ奴だなぁ…なんていうちょっと険悪な沈黙が続いた後、ほぼ二人同時に「あ!」と思いついた。
恐らく、思い出について2つのパターン(2つ以上ね)がある事に気付いたのだ。
娘は、大雑把な概要で気持ちを捉えてるパターン。
私は、ひとつひとつの出来事と気持ちが結びついてるパターン。
娘の場合は、「小学校の頃」という大きな箱に総合得点で「楽しい」と判断した場合、その箱のふたに楽しいシールが貼られてる感じ。
恐らく、思い出そうと思えばその箱を開けば細かいことも思い出せるんだろうけど、パッと見でそう判断する。
一方、私の方は大きな箱には入れてない。
なので、もし「小学校の頃」を判定するとしたら、今から覚えてる事象を積み上げ方式で計算する必要がある。

このお互いの違いに気付いた時、過去の色んな意見の相違について合点がいった。
例えば、
「小学校の頃どうだった?」
なんていう質問は私にとっては漠然とし過ぎており、必ず追加質問をした。
・小学何年生の頃のことか?
・学校の事か?それとも家庭でのことか?
・授業の事か?休みの事か?
などなど…
寧ろ、質問の意味が分からなかったが、娘との会話によってそれが晴れた気がする♪

「こういう人が居て、こんな考えを持ってるんだ」
ってのを学ぶ事により一方的に物事を決めつけず情報が偏る事を防ぐだけでなく、自分自身が何者なのかというのを気付かせて貰えるのがホントに嬉しく思う💓

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