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「DXの思考法」を中小企業に適用するには?

西山圭太さんの「DXの思考法」を拝読しました。DXという言葉を知るより前から「入り口デジタル、クラウド共有、データ活用による改革」と唱えていた私ですが、目からうろこ状態でした。結局、DXとは具体から始まって抽象化して、更に具体にインプリメントする思考法なのだと思い知らされました。

本書の帯にはウェディングケーキの写真が載せられています。ウェディングケーキに例えているのは、ビジネスと産業におけるレイヤー構造です。西山さんは、インターネットの基本である「レイヤー」という概念からDXをスタートさせます。ITとしてのインターネットは、OSI参照モデルの七つの階層(レイヤー)であると説明されます。LANケーブルやルーターなどで構成される物理層(レイヤー)から始まって、通信のプロトコルに基づくネットワークレイヤーと重なり、具体的な機能を果たすアプリケーションのレイヤーまで、階層状に構成されています。DXに成功しているアリババなどの企業は、プラットフォームとアプリケーション、分析ツールというように下位のレイヤーはIT化、プログラム化し、それらのツールを具体的な商品開発から供給までのいわばアプリケーションレイヤーと分けています。日本の企業でDXが進まないのは、組織が縦割りであり、幕の内弁当のようにちまちまとすりあわせ
・組み込みに拘ってしまうからです。市販のおかずでは幕の内弁当には収まりません。縦割り、すり合わせ型においては、すべてを自社の基準にカスタマイズ、オリジナルに拘ります。
Netflixは自社独自のテクノロジーにこだわらず、クラウドはAmazon Web Service(AWS)に載せたことで大きく発展したと言います。その分、どんな端末でも快適に視聴できるテクノロジーに特化して差別化を図りました。更にこの背景には高度な人材を採用し、大きな裁量を任せるという人事政策、社風があります。DXは、単に新しいテクノロジーを導入するだけでなく、企業の根本的なアーキテクチャを変革しなければ成功できません。そのためには、既存のビジネスモデルや組織構造を再考し、テクノロジーを戦略的に利用して、企業の価値創造と運営の方法を根本から変えることを意味しています。西山さんは、DXは単なる技術的なアップグレードを超え、ビジネスの持続可能性と競争力を高めるための全社的な取り組みと主張しています。
西山さんは図表を使い、アーキテクチャの構成を説明しています。「アーキテクチャ」とはデータの流れや処理、ソリューションを創出するための基本的な設計や構造のことを指しています。「コンポーネント」とは、アーキテクチャを構成する個々の要素や部品を指し、それぞれが交換可能であることが強調されています。「レイヤー」とは、アーキテクチャの異なる抽象レベルを表す層で、一般的にはビジネスロジック層やデータアクセス層などがあります。「インターフェイス」とは、コンポーネント間の接点であり、一つの部分が他の部分とどのように通信するかを定義する規約や点です。

こうしたアーキテクチャからの改革によるDXの考え方を弊社のような中小建設企業に適用する場合、アーキテクチャは会社の基本的な業務プロセスや組織構造になります。コンポーネントは、各種建設プロジェクト、サービス、またはオペレーションの要素です。レイヤーは、プロジェクト管理、現場作業、資材調達など、異なる業務領域を指します。インターフェイスは、これらのコンポーネントやレイヤー間でのコミュニケーションを可能にする方法やプロトコルです。デジタル技術を駆使してこれらの要素を最適化し、柔軟で効率的な運営を目指すことが重要です。
なかなかハードルが高いように思えますが、ここで西山さんは「パターンランゲージ」を紹介しています。「パターンランゲージ」とは、都市開発やシステム開発で使われる設計の手法の一つです。特定の繰り返し発生する問題に対して、その問題を解決するための定型的なソリューションを提供します。このアプローチは、建築家クリストファー・アレグザンダーによって提唱され、複雑な設計問題をより小さく、扱いやすい部分に分解することで、統合的かつ調和の取れたソリューションを生み出すことを目的としています。それぞれの「パターン」は、あるコンテキスト内で機能する設計のルールであり、それらが組み合わさることで、より大きな設計の「言語」を形成します。

このパターンランゲージを中小建設会社にいかに適用するかが課題です。中小建設会社でパターンランゲージを見出すには、まず過去の成功したプロジェクトや一般的な問題点を分析し、それらに共通する解決策を特定します。次に、これらの解決策を文書化し、再利用可能な設計パターンとして体系化します。実践を通じてこれらのパターンを精緻化し、新しいプロジェクトに応用することで、効率的かつ効果的なプロセスを開発できるようになります。チーム内での共有と議論を通じて、パターンの適用と改善を継続的に行います。

驚いたことに弊社がDX認定をいただいたIPAにDXのためのパターンランゲージが紹介されていました

このサイトは、組織や個人がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むための「パターン・ランゲージ」を24のパターンで紹介しています。成功事例や熟練者から抽出されたパターンを抽象化し言語化して共有する手法です。具体的なパターンにはビジョン、ストラテジー、マインド・カルチャーがあり、それぞれに関連するアクションや考え方が整理されています。
ちょうど弊社においても、社風の改善、DX実践のための五箇条制定を試みています。大変タイムリーなヒントを本書から沢山もらいました。


注記 本テキストはChatGPTとの対話からの引用を多く含みます。読書をしながらChatGPTと対話することは理解の度合いを深め、自然と書籍の要約、論点の抽出につながります。

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