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GRIT: やり抜く力

娘に教えられてアンジェラ・ダックワースさんのGRITを読みました。いまの私にとても重要なことが書いてありました。

著者のアンジェラさんは永年に渡って大きな業績をあげた人達の心理的な特徴を調査研究してきました。自分の調査のために「やり抜く力」を計る「グリットスケール」(心理尺度、質問票)を作成しました。このグリットスケールを使った調査で、米国の中でも最も優れた若者達が入学する米軍陸軍士官学校で、最初の厳しい訓練をやり遂げられるかどうかが予測できたそうです。体力が優れているかよりも、知力が優れているかよりも、アンジェラさんの「グリットスケール」が訓練に耐えられるかどうかと相関が強かったそうです。同様の結果が、小中学生の全米の英単語の綴のコンテストの成績優秀者の調査でも見いだされたそうです。グリットとは、「絶対に諦めない」という態度のことだそうです。
他にも偉大な業績をあげた方々の言動を分析するとGRIT、やり抜く力が重要であったことがわかるそうです。盛和塾でも、「成功するまでやる」と教えられました。やり続ける、学び続けること、自分を訓練し続けることが大切です。
下の図が「情熱」と「粘り強さ」の両面を測定できるグリットスケールです。クリックするとグリットスケールのフォームに飛びます。結果は私にお問い合わせください。

https://www.lifehacker.jp/article/160927book_to_read/

アンジェラさんによると偉業を達成する人々とは、以下のような方なのだそうです。

「一つのことをひたすら考え続け、ありとあらゆるものを活動し、自分の内面に目を向けるだけでなく、他の人々の精神生活も熱心に観察し、至る所に見習うべき人物を見つけては奮起し、あくなき探究心を持ってありとあらゆる手段を利用する。」

そして、偉大な人と普通の人の決定的な違いがあります。

「動機の持続力:遠くの目標を視野に入れて努力している。晩年への備えを怠らない。明確な目標に向かって努力している。意志力の強さ、粘り強さ。一旦目標を決めたら守り抜こうと心に誓っている。障害にぶつかっても、諦めずに取り組む。粘り強さ、根気さ、辛抱強さ」(生来のIQ、体の強さ等ではない)」

偉大な人への道を歩んでいるエキスパートと呼ばれる方々、常に自己の成功を目指しています。彼女・彼らの練習は以下のようなステップを踏むそうです。

1.ある一点に絞って、ストレッチ目標=高めの目標を設定する。
2.しっかりと集中して、努力を惜しまずに、ストレッチ目標(自分の今の能力以上の目標)の達成を目指す。
→多くのエキスパートは人の見ていないところで努力する。
3.改善すべき点がわかったあとは、うまくできるまで何度でも繰り返し練習する。
→意図的な練習を積み重ねる。毎日、同じ時間、同じ場所での「習慣」を作る

先日、あるゴルフのとても上手な友人とラウンドしました。彼の話しを聞いているととにかく練習しています。たまたま雨でゴルフが中止になった日も、ラウンドの代わりに練習場に行って2時間も練習するそうです。そして、彼は常に自分のゴルフの課題を明確にして追求しています。まさに、エキスパートへの道であり、私のようないつまで経っても百を切れないゴルファーとは差がついていくわけです。

そして、「GRIT」が高く、情熱的で粘り強く練習し、成長しつづける人達は楽観主義であることが多いそうです。子供の頃に「自分なりに目標を持って、以前はできなかったことをできるようにすることが大事」だと教えられると一生成長しつづけることができるようになるそうです。なにか困難にあっても、その状況が一時的であり、特定の原因があるので、「どうにかできる」と想うのだそうです。逆に、「学習無気力」と呼ばれる、自分が何をやっても環境を変えられない、成長できないと信じ込んでしまう子供たちもいます。そういう子供達が困難に遭うとその状況が「永続的」で「不特定的」であり、その問題以外の問題にまで悲観的になってしまうのだそうです。

そうしたエキスパート、適切な「楽観主義者」の子供達は自分の職業を「天職」だと感じられるようになることが多いそうです。不思議なことにどの職業でも「天職」と感じている人の割合は変わりません。つまり、職業によって自分が「天職」を得ているかどうかが決まるのではなく、どの仕事を得られんでも自分の考え方、努力、練習によって「天職」にすることができるのだと言えます。職業に関係なく、どんな人も常に自分の仕事を見つめ直して、問いかけることはできるます。受け身の姿勢ではなく、自分から積極的に行動することが大事なのです。幸福になる方法は「快楽を追うこと」と「目的を追うこと」であり、自分にとって最重要の目標を通して世の中の役に立てる人は、本当に幸福になれます。
この真実を寓話で表しているのが「三人の石工」の話しです。

旅人は、ある村を訪れました。
村では、三人の石切職人が、作業をしています。何やら、大きな建物を建築しているようです。
旅人は尋ねました。
「あなた方は、何をしているのですか?」
一人目の男は答えました。
「カネを稼いでいるんだよ」
二人目の男は答えました。
「私は、国一番の石切職人になるために、技術を磨いているのです」
三人目の男は答えました。
「私は、村人の皆さんの憩いの場所となる、教会を建築しているのです」

https://mainichi.jp/articles/20220101/k00/00m/040/041000c

本書の結論の一つは「自己中心的な動機と利他的な動機は完全に別のもの」だということです。利他の姿勢を学ぶためには、「手本の人物」に出会うことが重要な体験になります。「このような人になりたい」と具体的に考え、思いを抱くこと。そして、自分が手本の人物になった時をイメージとなるまで考えることが必要です。
本書は、こうした姿勢で生きるために自分の人生の目標をどうやって見いだしたら良いか、どうしたら「やり抜く力」を高められるか書いてあります。ぜひ読んでみてください。私は自分が本当に経営者としてふさわしいのか、自分が本当に社員の物心両面の幸福追求に貢献しているのか、時々自問しています。本書を読んで、粘り強く目標に向かって努力する姿勢は、経営者の資質のひとつなのだと想いました。

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