見出し画像

【書籍】努力の果てにー福島孝徳氏の医療への情熱と人生観ー人事への示唆

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp84「2月25日:一に努力、二に努力、三に努力すべて努力
(福島孝徳 デューク大学教授)」を取り上げたいと思います。

 デューク大学の福島孝徳教授は、努力の重要性を強調しています。「一に努力、二に努力、三に努力」という彼の信念は、彼の仕事と人生のあらゆる面に反映されています。欧米での経験は、彼に新たな視点と改革への意欲をもたらしました。帰国後、三井記念病院で脳神経外科部長として、彼は手術数を大幅に増やし、その分野でのリーダーとなりました。しかし、彼の活動は病院の壁を越え、全国の多くの病院で手術を行うことにまで及びました。彼の献身的な努力は、世界記録となる頭蓋底手術数となっています。

 福島教授の成功は、単に技術や知識だけではなく、絶え間ない努力と、常に進歩を求める姿勢に基づいています。彼は、成功のためには努力が最も重要であり、その努力が全ての基盤であると考えています。彼の話からは、努力に加えて才能、適切な指導、そして少量の運も成功に不可欠であることが浮かび上がります。

 福島教授は、人生は短いという認識のもと、一刻も無駄にせず、患者を助け、常に前進し続けることを重要視しています。全世界を飛び回りながら、数多くの手術を行い、その技術と情熱で多くの患者を救っています。彼の生き方は、無尽蔵のエネルギーと努力によって支えられ、多くの人々に影響を与え、インスピレーションを提供してくれます。

人事の立場でどう考えるか

 福島孝徳氏の言葉からは、非凡な努力と献身、そして圧倒的な熱意が感じ取れます。彼のキャリアは、医療の世界における革新と献身の典型であり、人事の立場から見ても非常に多くの示唆を受けます。
 福島氏の経歴を振り返ると、彼がどれほど多くの困難を乗り越え、成長し、最終的にはその分野で世界をリードする存在になったかがわかります。人事として、さまざまな業務を経験してきた私にとっても、彼の物語は、組織内での個々の才能の発見、育成、そして活用の重要性を再認識させてくれます。

 努力の重要性と持続性

 福島氏は、「一に努力、二に努力、三に努力、すべて努力」と述べています。人事管理では、従業員のモチベーション維持、目標に対するコミットメントの強化、継続的なスキル向上のための研修の提供が不可欠です。福島氏のような献身的な姿勢を育む企業文化の醸成は、組織の成功に直結します。

結局のところ、どんな職業でも成功するのに一番必要なのは、努力なんですよ。一に努力、二に努力、三に努力、すべて努力で、努力がもう九十%じゃないでしょうか。五回やって覚えられないなら十回、十回でダメなら二十回やりなさいというぐらい、努力が一番大事ですね。

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)p84より引用

メンターの役割

 福島氏は恩師の佐野教授による支援と導きに言及しています。これは、メンターやコーチの存在が個人の成長とキャリアパスに与える影響の大きさを示しています。人事としては、メンタリングプログラムやキャリア開発の機会を提供し、従業員が自らの潜在能力を最大限に引き出せるよう支援することが重要です。

ただ、東大では先輩との軋轢があまりに強いので、恩師の佐野教授が「君は民間に出て自由にやりなさい」と声を掛けてくださり三井記念病院の脳神経外科部長に推薦してくださった。最初は病院側から「三十七歳じゃ部長にはなれません」と断られたんですが、佐野教授が「間違いのない人ですから」と病院長に言ってくださった。

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)p84より引用

ワーク・ライフ・バランスの考慮

 福島氏は休むことなく働き続けたと述べていますが、これは一方でワーク・ライフ・バランスの重要性を私たちに再考させます。長時間労働が常態化すると、従業員の健康や生産性に悪影響を及ぼすことがあります。人事としては、フレキシブルな労働時間、休暇制度、メンタルヘルスサポートなどを通じて、従業員が仕事と私生活のバランスを取れる環境を整えることが求められます。

イノベーションへの推進

 福島氏は常に新しいアイデアに挑戦し、革新を追求し続けました。人事としては、革新的なアイデアを持ち寄りやすい環境を作り、リスクを恐れずに新しい試みを行える文化を育むことが重要です。また、失敗から学び、改善する機会を提供することで、組織全体のレジリエンスを高めることができます。

パフォーマンスと報酬

 福島氏の例は、卓越した成果に対する適切な報酬の重要性を示しています。人事としては、公正かつ透明な評価システムを確立し、優れたパフォーマンスを適切に報酬することで、従業員のモチベーションを高め、組織へのコミットメントを強化することができます。

 福島氏のような、ある意味で例外的なキャリアは、人事管理においても多くの重要な教訓を示します。努力、持続性、メンターシップ、ワーク・ライフ・バランス、イノベーションの推進、パフォーマンスの評価と報酬など、これらの要素は、組織が持続可能な成長を遂げるためには欠かせない要素です。そのため、これらの要素を組織文化にしっかりと組み込み、従業員一人ひとりがその潜在能力を最大限に発揮できるよう支援することが、人事としての使命であるといるでしょう。


1日1話、読めば思わず目頭が熱くなる感動ストーリーが、365篇収録されています。仕事にはもちろんですが、人生にもいろいろな気づきを与えてくれます。素晴らしい書籍です。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?