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【書籍】限界を超える練習ー野村忠宏選手の成長と人材育成への応用

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp40「1月13日:真に強くなるための練習(野村忠宏、柔道家)」を取り上げたいと思います。
 野村忠宏選手といえば、アトランタオリンピック、シドニーオリンピックでも、アテネオリンピックで柔道競技で史上初の3連覇を達成した名選手です。そんな野村さんでも、ただ淡々と頑張るだけになってしまったことがあったそう。師範の細川伸二先生の言葉が野村さんを変えます。そんなことは、企業でもよくあるのではないでしょうか。

毎日のように厳しい練習を課されていると、強くなるための練習をしているはずが、いつの間にか練習をこなすための練習になっていく。自分では追い込んでいるつもりが、「あと何分で終わるか、あと何本残っているか」ということを常に計算しながら、淡々と頑張るようになる。
天理大学二年生の時に、師範の細川伸二先生に突かれたのはまさにそこだった。「そんなもん、ほんまに強くなる練習じゃないぞ」
(中略)
自分の中に残された、自分でも気づかないような微かなエネルギーを振り絞ってやる練習、それこそが強くなるための練習であり、試合に勝つための練習なのだということを、僕はこの時に細川先生との短いやり取りの中で教えていただいたのだった。

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)p40

 厳しい練習をしていたものの、実際は練習をこなすだけの状態になっていました。細川先生は、真に強くなるためには、練習の各動作を試合のように全力で取り組むこと、限界を感じるまで挑戦することの重要性を指摘しています。野村選手はこのアドバイスを受けて練習態度を改め、自分の限界を超えることの大切さを学んだわけです。

 人生で厳しい状況に直面した時、ただ時間を過ごすだけではなく、意味ある取り組みをすることの重要性を理解します。自分の限界を超える努力は、どんな分野でも成長を促します。また、目の前の課題に集中し、それを試合のように真剣に取り組む姿勢は、日々の生活や仕事にも適用できる教訓です。

 人事の立場としては、育成・タレントマネジメントに関し、重要な洞察があります。単に業務を遂行するだけでなく、それぞれの行動に意味と目的を持たせることの大切があると感じました。また、社員が自分の限界を超えて成長できるような環境を提供することも重要です。彼の経験は、パフォーマンスマネジメントや社員のモチベーション向上策においても示唆に富んでいるのではないでしょうか。

 やはり、従業員が自己の限界を超えて成長するための「環境づくり」が重要であると思います。これは、スポーツの世界だけでなく、ビジネスの世界においても共通すると思います。

1.自己認識と自己超越
 野村選手は自身の限界を「あと何分で終わるか、あと何本残っているか」といった時間や数で計算し、練習に取り組んでいました。しかし、これは自己の成長を制限するものです。ビジネスにおいても、従業員が単にタスクをこなすだけでなく、それぞれの業務において何を学び、どう成長できるかを意識してもらうことが大切です。

2.目標設定とモチベーション
 野村選手は「試合をするつもりで集中してやれ」とのアドバイスを受け、練習に対する姿勢を変えました。ビジネスの現場でも、従業員に具体的かつ挑戦的な目標を設定することで、モチベーションの向上と自己超越を促すことができる場面は多々あるものと思います。

3.フィードバックとサポート
 細川先生は、野村選手に的確なフィードバックを与え、更なる挑戦を促しました。従業員の業務遂行状況を適切に評価し、必要なサポートやフィードバックを提供することが重要です。フィードバックやサポートが足りないと思われる場面は多々あるように思います。

4.限界の認識と突破
 「これ以上無理だ」と感じる時、それを受け入れるのではなく、さらに一歩踏み込んで挑戦を促すことが大切です。これにより、従業員は自らの未知の可能性に気づき、自己超越を果たすことができます。

5.継続的な学習と成長
 野村選手の練習のように、ビジネスにおいても従業員が常に学習し、成長する機会を提供することが重要です。これには、研修プログラムの提供や、新しいプロジェクトへの挑戦機会の提供などが含まれます。

 以上の点から、人事の立場では、従業員が自己の限界を超えて成長できるような環境を整え、サポートすることが非常に重要であると思います。野村忠宏選手の例から学ぶべきは、個々の従業員が自己の限界を超えて成長し、結果として組織全体の強化につながるということです。ただし、いうまでもありませんが、「行き過ぎ」は禁物。健康に異常を来したり、ハラスメントになるようなことは絶対に避けなければなりません。


1日1話、「生き方」のバイブルとなるような滋味に富む感動実話を中心に365篇収録されています。素晴らしい書籍です。




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