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【書籍】横田英毅さんー先見の明と人材育成~ネッツトヨタ南国における革新的人事戦略

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp124「4月3日:社員満足度をいかに高めるか(横田英毅 ネッツトヨタ南国社長)」を取り上げたいと思います。

 横田氏は、社員満足度の向上に注力しています。彼は社員が満足する瞬間についてのアンケートを通じ、「お客様からの賞賛」「上司からの認知」「困難な仕事の達成」「自己成長の実感」といった回答を得ました。これらは、社員の声が反映される理想の会社像を形成するのに役立ちます。横田氏は、人々が自分で考え、行動することの重要性を強調し、失敗時の反省を促進するために、社員が自主的に意見を述べる環境を作りました。これは、社訓に「参画は発言すること」と明記し、どんな意見でも否定せず、それを受け入れて考えるようにしています。彼は質問を通じて、社員がより深く考えるよう促しています。

社員が自分で考えて行動を起こすようにするために、社員に意見をどんどん言わせるようにもしました。 社訓の中に「参画とは参加することではない、発言することである」という項目を入れ、どんな変な意見を言っても咎めないようにしました。全部受け止めて、「彼がそう考えるのは、どこに問題があるのか」と考えるようにしたのです。間違った行動をとっても、「それは駄目だ」とは言いません。「なぜそうしたのか」と質問するんです。「もっと考えろ」と言ってもなかなか考えませんが、質問すると考えて答えますから、考える人間になります。

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)p124

 加えて、人事考課システムも改革をしました。このシステムは細かい項目が特徴で、「規律性」だけでも40項目以上あります。社員は自分自身を振り返り、自己申告制で点数をつけますが、自己評価が偏らないように客観的な評価も取り入れています。これには顧客からのフィードバックや他の社員からの評価も含まれます。

 横田氏の目指すのは、指示を待たずに即座に適切な行動をとれる社員の育成です。特に来店型の店舗では、担当者だけでなく、周囲のスタッフも顧客に対して気を配り、優れた接客ができるようにすることが重要です。このように、社員が自己主導で行動し、成長できる環境を整えることで、横田氏は社員満足度の向上を目指しています。

人事の立場から考えられること

 横田氏が推進する社員満足度向上の取り組みは、人事領域での長年の経験から見ても非常に先進的で洞察に富んでいます。彼のアプローチは、社員が自ら考え行動する企業文化の醸成、詳細に渡る人事考課システムの導入、そして顧客サービスの質を高めるためのチームワークの強化に焦点を当てています。これらの取り組みは、人事の専門家としても高く評価できるものであり、次のような観点からその有効性を考えてみます。

自主性と責任感の促進

 横田氏は、社員が自ら考え、行動する重要性を認識しています。これは、社員の自律性を促し、創造性と問題解決能力を高めるために不可欠です。自主性を持って行動することで、社員は自分の業務により強い責任感を持ち、自己実現の機会を得ることができます。これは、人事管理においても、社員のモチベーションを高め、組織全体の生産性を向上させるために重要な要素です。

詳細な人事考課システム

 細分化された人事考課システムは、社員の行動とパフォーマンスを正確に評価し、個々の成長と発展を促進します。40項目以上に及ぶ詳細な評価項目は、社員が自己反省を深め、個々の強みや改善点を明確にするのに役立ちます。このようなシステムは、パフォーマンス管理と個人のキャリア開発の両方において、客観的で公平な基準を提供します。

顧客サービスの質の向上

 来店型の店舗では、単に担当者だけが優れた顧客サービスを提供するのではなく、チーム全体が顧客に対して気を配り、卓越したサービスを提供することが求められます。これは、社員一人ひとりが顧客のニーズを理解し、即座に適切な行動を取ることを可能にします。優れた顧客サービスは、顧客満足度の向上に直結し、長期的な顧客関係の構築とビジネスの成長に寄与します。

組織開発と人材育成

 横田氏の取り組みは、社員が自分自身を主体的に管理し、成長させる文化を育てることにより、組織開発と人材育成を促進します。社員が自発的に意見を述べ、積極的に参加することを奨励することで、組織内のコミュニケーションと協力が強化されます。また、個々の社員が顧客とのやりとりにおいて主体的に行動できるようになることで、組織全体としての顧客対応能力が向上します。

 横田氏の取り組みは、人事専門家の視点から見ても、社員満足度を高めるために非常に効果的な戦略と言えます。自己主導性、詳細な人事考課、顧客サービスの質の向上、そして組織開発と人材育成の強化は、人事の領域においても重要な柱です。これらの要素は、社員が自分の能力を最大限に発揮し、組織全体として成長し続けるための基盤を築くものであり、その実践は他の企業にとっても参考になる価値があります。

横田氏が率いるネッツトヨタ南国の社員満足度向上に向けた取り組みが表現されています。会議室で積極的にアイデアを共有する社員たちとのエンゲージメントを重視している横田氏の姿が描かれ、オープンで尊重あるコミュニケーション環境が感じられます。また、顧客からの賞賛や上司からの認知、困難な仕事の達成、個人の成長を示す肯定的なフィードバックを示すサーベイチャートが視覚的な要素として加えられています。さらに、詳細な人事考課システムと、チームワークと顧客への注意を示す小売環境での卓越した顧客サービスを提供する社員たちのセクションがあります。


1日1話、読めば思わず目頭が熱くなる感動ストーリーが、365篇収録されています。仕事にはもちろんですが、人生にもいろいろな気づきを与えてくれます。素晴らしい書籍です。




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