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書くことがない時

 常々noteに何か書いて投稿してみようと思ってはいるのですが、言いたいことがありすぎるせいなのか、どうもうまくまとまりません。まぁ、あまり考えすぎても仕方ないので、とりあえず思うことをそのまま書いてみようかなと思います。ちょうど今、人から譲ってもらったTOSHIBAの古いWindows8のパソコンに向かってこの文章を打ってるんですけど、どういう訳か、いざ何かを書こうとすると頭にいろいろなことが浮かんできて、やっぱりうまく言葉になりません。

 これって、僕が人前で何か話そうとするときと同じなんですね。頭の後ろの方から、言いたいことが次々とあふれ出てきて、言葉と言葉がガチャガチャぶつかりあいながら、鎖がからまったようになってしまうんです。それで頭が真っ白になって、訳が分からなくなってしまうので、ひとまず立ち止まって深呼吸をしたりするんですけど、さっきまで自分が何をしゃべろうとしていたのか思い出せない、もう自分が誰なのかさえ分からなくなってしまう。

 そんなこんな考え込んでいるうちに頭の中がもやもやしてきてしまったので、いったんここまで書いた記事を下書き保存してから、ちょっと気晴らしにと思って鮭の切り身でも買いに行くことにしました。

 僕は小さな山のふもとに住んでるんですけど、魚屋までは歩いてだいたい十五分くらいです。日も暮れかけてきて少し肌寒くなってきたので、トレーナーに着替えて、サンダルを履いて魚屋に向かいました。砂利道を少し下って、舗装された道路をさらに下って、お地蔵さんのある公園の角を曲がって細い道をくねくね進むと県道に出るんです。そこからさらに道沿いに五分くらい歩くと魚屋さんがあるはずなのですが、どうも様子がおかしい。

 さっき公園の近くで見かけた鳩が目の前いたんです。あれ、おかしいな、別の鳩かなとも思ったんですけど、捨てられた辞書をついばんでいたのでそれが同じ鳩だとすぐ分かりました。それから、目に涙を溜めたマネキンがゴミ捨て場に横たわっているのもさっき見たし、服を着たポメラニアンが僕を追い抜いて行くのもさっき見た。どうも同じところをぐるぐる回っているようなんです。

 そうして巻き戻して再生されたような風景を三回くらい見たところで、なんだか足が痛いなと思ったら、足の側面の皮がはがれて、赤く血でにじんでいました。近くまでだからいいやと思って、素足にサンダルで出てきたので、靴ずれしてしまったんですね。ダイソーで買ったゴムサンダルなので、あまり質が良くなかったのもあるかもしれません。

 もう日も暮れてきたし、足も痛いし、鮭の切り身は諦めようと思って来た道を引き返しました。ヒリヒリする足を引きずって坂道を上りながら、ひょっとしたらこのまま家にもたどり着けないのではないかという不安にも駆られたのですが、あっさりと家には帰ることができました。

 やれやれと思いながら、家のドアを開けると真っ暗な部屋の中に誰かがいました。まだパソコンのモニターにくぎ付けになっている僕がそこにいたんですね。海よりも深いため息を吐きながら。

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