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居酒屋的UI/UXはやめようという話

様々な企画を見ていると以下のようなものを提案してくる人は意外と多い

・Yahooのように様々な便利機能を集めたポータルサイト
・PvP、国家、ガチャ、育成、進化、生活などたくさんの要素を詰め込んだゲーム

これらの企画の狙いとしては、「たくさんのコンテンツが有ることでユーザーが飽きにくく、たくさんのユーザーを獲得できる。」というように真っ当な意見だが実際はうまくいかない。
私はこれを居酒屋的UI/UXとよんでいる

居酒屋的UI/UXとは?

居酒屋に行くとお酒もたくさんあるが、様々なメニューがある。魚の刺し身であったり、唐揚げ、漬物、ピザだったり、中華料理もあったりする。
居酒屋は和食っぽい料理を出すが、洋食や中華としてカウントできそうな料理もある。このようなノリで、居酒屋のメニューは通常の飲食店の数倍以上はレパートリーがある。

なぜ居酒屋はこのように数多くのメニューを用意しているのか?それは居酒屋のコアとなるUXが「お酒を飲むこと」だからだ。お酒を飲みながら、何かを食べることが好き、もしくは食べながらでないと飲めない人が大半である。よって数多くのメニューは「お酒を飲むこと」というUXを最大化するものである。居酒屋はお酒を飲ませるという目的達成のために数多くのメニューを提供するという設計をしている。昔ながらの居酒屋はユーザーのニーズに合わせて様々なメニューを提供していった結果、たくさんのメニューを扱うようになったのだろう。

しかしこの居酒屋の設計にもデメリットが有り、個々のメニューの品質や量は他の専門店のメニューに劣ってしまう。居酒屋はお酒や数多くのメニューの材料に投資してしまっているため、個々のメニューの品質や量を十分に確保することができない。
また、「お酒を飲む」というUXが実現できなくなれば居酒屋の設計は破綻してしまう。例えば何らかの理由でお酒を飲めない人が増えてしまった場合、居酒屋のユーザー数は減ってしまう。ほとんどのユーザーにとっての居酒屋は「たくさんのメニューを食べられること」ではなく「お酒をのむこと」だからだ。

このように沢山のコンテンツを用意して、コアとなるUXの体験を倍増させるという方式を居酒屋UI/UXと私は呼んでいる。

居酒屋的UI/UXをなぜ真似しては行けないのか?

Yahooや長続きしているゲームなどは居酒屋UI/UXに当てはまる。

Yahooの場合はカテゴリ検索というUXにより、ユーザーを獲得することができた。多くのユーザーはホームページに設定いるため、ニュースやショッピング、ゲームなどのコンテンツを追加することでカテゴリ検索との相乗効果でユーザー体験を向上させ、サービスを拡大できた。

長続きしているソーシャルゲームではコアとなるUXでユーザーをたくさん集めて、ユーザーを満足させるためにキャラクターの追加、新しいシステムの追加を行いサービスを拡大した。

このような成功例を見て一部の企画者は、「たくさんのコンテンツがあるサービスがユーザー望まれている」、「たくさんキャラクターがいて、システムが複雑なゲームが売れる」というふうに勘違いしてしまう。
それによって、いろんなサービスを真似したようなキメラな企画書が上がってきてしまう。
こういった企画の大半はコアとなるUI/UXがない。Yahooや流行っているゲームの表面しか分析しておらず、たくさんの機能入れればいいというところで、思考が止まってしまっている。なぜたくさんの機能があるのかという歴史的経緯や戦略を理解しなければならない。これらの企画は「お酒が飲めない居酒屋」である

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