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フルトヴェングラーの戦中録音を聞く(2)

2回目に取り上げるのは、エトヴィン・フィッシャーと共演したブラームスのピアノ協奏曲第2番です。

ブラームス ピアノ協奏曲第2番
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
エトヴィン・フィッシャー(ピアノ)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
録音:1942年11月8日~9日 ベルリン、旧フィルハーモニー

メロディア盤 Аккорд – Д-09883-4

今回はこの板起こし動画で聞きました。

この動画の音はなかなか良く、聞きやすいですね。第1楽章はピアノの音が迫力満点です。フィッシャーというと、バッハの平均律やモーツァルトのピアノ・ソナタでは抑制された透明な演奏が多いため、ここまで迫力あるピアノを聞かせているのは意外です。ミスタッチはとても多いですが、そんなことは気にせず、フォルテでガンガンならしています。弱音は、他のフィッシャーの録音同様、大変、美しいです。
第2楽章以降も良いですね。ピアノの音の弱音が、とても円やかです。旧フィルハーモニーの残響を取り込んだピアノの響きが、フィッシャーのスタジオ録音での比較的ドライな音とはかなり違い、これはこれで面白いです。
フルトヴェングラーの伴奏もスケール満点です。

録音に多少難点はあるものの、聞くに堪えない音質とかでは全然なく、十分に聞ける音質です。これからも折に触れて聞いていこうと思います。

最後に、この演奏について、内田光子さんがレコード芸術で以下のように語っていたのを引用しておきます。

「フィッシャーですとブラームスの二番(協奏曲)、フルトヴェングラーと組んだレコードがあるでしょう、素晴らしいと思う。これを聴いているから私は、ブラームスの二番は自分でひくのが恐いくらい。でも、このごろ、ひいてみようかなあと思っているんですよ。」

内田さん、その後、ブラームスの2番、弾かれましたっけ?

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