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ディノ・チアーニを聴く(3)

前回に引き続き、チアーニのベートーヴェンのピアノ・ソナタを聞きます。今のところ、聞いたのは、1番~3番、14番「月光」、18番、27番~29番「ハンマークラヴィーア」の8曲です。
今回は、27番について書いてみます。

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第27番ホ短調 作品90
ディノ・チアーニ(ピアノ)
録音:1970年11月22日、ライブ

この演奏には惹かれました。
第1楽章の冒頭の主題ですが、なかなか良い音で録音されています。大変充実したピアノの響きが聞こえます。この録音のシリーズですが、強音に関しては、ちょうどよい充実した響きで録音できている箇所とちょっと硬くなってしまった箇所に分かれるようで、後者に関しては我慢するしかないです。

それに比べて、中弱音は長めの残響は伴いますが、良く録音できています。実際の客席で聞いてもこんな感じの響きだたのかもしれません。ライブでホールの中央席ではということです。この録音の感じですが、エトヴィン・フィッシャーの幻想曲の録音に似てますね。

第2楽章の主題も、とても良い響きです。弱音部分で残響を伴うため、音がつながって聞こえ、それがピアニストの解釈なのかどうかわかりませんが、確かにレガートって感じです。

もともとバックハウスよりも録音、技巧的に優れているステレオの全集を聴こうと思い、いろいろ探していた中で、このチアーニを見つけたんですが、なぜか、このモノーラルで条件も良いとは言えない録音にはまってしまいました。録音状態より演奏の優劣の方が重要ということでしょうか。

この演奏は気に入りました。これからも何回か聞いていこうと思います。(これを書いている時点で3回目です。)

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