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大友宗麟とランプ

宗麟:「困った。うーん困った。」
作者:「どうしたんですか?」

宗麟:「いや、実はザビエルが「ランプ」をくれたんだよ。」
作者:「戦国時代にランプってすごいですね。確か松明とか提灯の時代ですもんね。」
宗麟:「馬鹿にしないでよ。当時の豊後の国は世界地図に記入されるくらいの大都市だよ。国中をロウソクで灯そうってしたこともあるんだから。」
作者:「へーすごいですね。」
宗麟:「調子にのっちゃってね。ロウソクもハチミツで作ったやつだったから高かったなあ。で、風でロウソク倒れて寺が燃えたりしてね。」
作者:「それで寺、焼けたんですか!」
宗麟:「宇佐神社と英彦山がね。燃えたなあ。」
作者:「罰当たりですね。」
宗麟:「坊主大騒ぎだよ。まあ、いいじゃない。そんな話。今日は違う困った話なんだよ。」
作者:「どうしたんですか?」
宗麟:「この前の風の強い日にね。妻のイザベルが「こんな日は側室の方は心細いだろうから泊りに行ってやったらどうです?」っていうんだよ。」
作者:「え、宗麟さん側室いたんですか?」
宗麟:「ええ、まあ7人ほど。この頭がピカッとしていいとかでもてるんだよね。」
作者:「すごいですね。」
宗麟:「妻のイザベルが妬むから、側室にはさ、それぞれ屋敷を用意しているんだけどさ。側室もイザベルの気性を知っているからそんなに「来てね♡」って言ってこないし、いい関係なんだよ。で、イザベルがあなた側室の方に泊まってきたら?って言うから。どうした?今日のおまえ、心が広いねえって感心して側室のところに行くことにしたんだよ。」
作者:「宗麟さんの女好きをやめさせる祈祷をした嫁さんとは思えない発言ですもんね。そりゃ側室に会いに行きますね。」
宗麟:「でね、側室のところに行こうってなったんだけどちょっと遠いんだ。で、誰か連れて行かないとってなったんだよ。」
作者:「あ、そこでザビエルがくれたランプですか?」
宗麟:「そう。ザビエルがくれたランプ、あれで行こうってなって、ランプが使える侍従のエステバンを連れて行くことにしたんだよ。」
作者:「エステバンさん!キリシタンで神社のお札取りに行けって命じられて断ったあの侍従の方?」
宗麟:「そう、エステバン。たまたま夜更かししてたのが彼しかいなくて提灯持ちならぬ、ランプ持ちをさせて側室の元に行くことにしたんだよ。」

--宗麟の回想シーン---
(ちなみに)
エステバン事件とは、奈多夫人は、嫁いでいた娘に仕えるエステバンというキリシタン少年が、仏寺から護符をもらってくるようにという奈多夫人の娘の言いつけを拒否したことに怒り、棄教しなければ死罪にすると申し渡したが、彼が棄教を拒んだため、家督を継いでいた長男の義統に命令し、エステバンを殺させようとした。しかし、これを知った義鎮が間に入り、事なきを得た。


エステバン:「こんな夜中に旦那様、どこに行こうってんですか。」
宗麟:「ちょいと野暮用でね。ついてきなさい。」
エステバン:「あ、さては女のところだな。旦那さま、娘様も嫁に行くってのに元気ビンビンだな。エロ坊主。」
宗麟:「こら、汚い言葉を吐くんじゃ無いよ。そんなだからイザベルに怒られるんだよ。ちゃんと教会に行って神父様の教えを聞いて、きれいな言葉を使いなさい。」
エステバン:「今から浮気に行こうって奴がいう台詞じゃ無いな。」
宗麟:「側室ですー。側室は浮気とチガイマスー。」
エステバン:「カタコトでいうんでねえよ。神父様が言ってたぞ、神は一人の夫に一人の妻をもてって。色事に溺れると国が滅ぶっていってたぞ。」
宗麟:「滅んでないし。領地、最大にしてますけど~。」
エステバン:「どうだか。今に滅ぶんじゃねえのか。」
宗麟:「どうでもいいけど、ちゃんとランプの明かりで足もとを照らしておくれよ。神父様がくれた大事なランプだよ。壊すんじゃ無いよ。」
そうこう話している間に側室の家に着いた。
エステバンが扉をたたく。
エステバン:「開けろー。エロ坊主が来たぞー。あんたの大事な金づるだぞー。」
すると扉を開けて側室の方が顔を出した。
側室の方:「あら、宗麟様。どうしたのです?こんな夜更けに。」
宗麟:「いや、イザベルの奴が「こんな日は側室の方は心細いだろうから泊りに行ってやったらどうです?」っていうから来たんだよ。さあ開けておくれ。」
側室の方はイザベルの名前が出た瞬間、イヤな顔をすると宗麟にこういった。
側室の方:「宗麟様が来てくれたのはうれしいのですが、イザベル様は本当は宗麟様と一緒にいたいと思っています。それを我慢して「こんな日は側室の方は心細いだろうから泊りに行ってやったらどうです?」言っているのだから、素直に宗麟様をお泊めしたのでは側室の分際では恐れ多いじゃありませんか。だから開けられません。」
宗麟:「えっ。いや暗いし、ほら遅いからさ、開けて欲しいんですが・・・。」
側室の方:「いえ、これはイザベル様の心遣いですから。それに明るいランプをお持ちでしょうから帰りも大丈夫でしょう。」
そういうと側室の方は扉を閉じて奥に行ってしまった。
しょうが無いので元来た道を帰ることにした。
宗麟:「おい、エステバン。ランプに明かりを入れておくれ。」
エステバン:「あーあ、ふられちまいやしたね。自分の屋敷なのに入れてもらえない。旦那様。今日は教会でワインでも飲みますか。帰ってもイザベル様、どうせグーすか寝てるべ。」
宗麟:「何言ってんだい。帰りますよ。」
そう言うと二人は元来た道を戻っていく。
家に着くとエステバンが扉をたたく。
エステバン:「開けろー。出戻りのはげ坊主が帰ってきたぞー。宗教勧誘じゃないぞー」
イザベル:「あら?どうしたのですか?」
宗麟:「いやね、側室の方がいうにはイザベル様の心遣いが恐れ多い。側室の分際で素直にお泊めしたのではイザベル様に顔向けできませんってことで帰ってきたんだよ。さあ、開けておくれ。」
側室の方の話をイザベルに話すと今度はイザベルがイヤな顔をしてこういった。
イザベル:「余計な心配をなさらないで下さい。あなたには向こうに泊まってもらわないとこちらの顔が立たないので、今日はどうしても向こうで泊まって下さい。だから開けられません。」
そう言うと、扉を閉ざしてしまった。
やむなく宗麟は再び側室の方の元へ行くことに。
宗麟:「エステバン。ランプに明かりをつけておくれ。」
エステバン:「ははっ。ランプの明かり、消さずに待ってたよ。」
宗麟:「こら!なんともったいないことをするんだい。ランプの火だってね。無限にあるものじゃ無いんだよ。1つですむ火が2つ使うようにしてはそれこそ無駄というものじゃないかい。そういうところから無駄は生まれるんだよ。」
エステバン:「へーそういうもんですか。」
宗麟の言葉にうなずくエステバン。しかしはっと気づく。
エステバン:「いや、いや。何を言ってんだ!そもそも宗麟様が一つの家に一人の奥様がいればいいのに側室なんか持つからこうしてランプ持たされてうろうろしているんじゃ無いですか。おら眠てえよ。」
宗麟:「わかった。わかった。これが終われば、休みをやるから。」
やむなく宗麟は再び側室の方の元へ行くことに。
エステバン:「開けろー。寝たふりすんなー。こっちは休みになったぞー。」
側室の方がうんざりとした顔で扉から顔を出した。
側室の方:「あーうるさい。はげ坊主。ちっとも寝れやしない。だから、女には女の考えがあるんだから、イザベル様のところへお願いですから帰って下さい。」
ぴしゃりと扉を閉められてしまった。また戻ることになったため、
宗麟:「エステバン。ランプを灯しておくれ。」
エステバン:「その必要はねえ。もう夜が明けた。宗麟様がさっき言ったように今から休みます。眠てえし、付き合ってらんねえ。じゃあね~。」
エステバンはそういうとランプを宗麟に渡し、そそくさと帰って行った。
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宗麟:「てなわけで、これがそのランプです。」
作者:「ほう。」
宗麟:「で、今日もイザベルが「風がつよいから側室の方が心細いだろうからにいってみたら?」と言っています。よかったらランプを持ってついてきてくれませんか?」
作者:「お断りします。」

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