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人類は滅亡すべきなのか?~『ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語』感想

オモコロチャンネルにはまりました。

その流れで「ダ・ヴィンチ・恐山」という人を知り、小説家・品田遊としても活動されていることを知った私は即座に地元の図書館で本を借りました。

その本が、『ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語』でした。

実はタイトルの「人類滅亡」に惹かれて前々から気になってはいたのですが当時は会社に行くので精いっぱいだったので忘れ去っていました。

人類は滅亡すべきか

ある日、空で魔王がいきなり誕生します。
どこからともなく現れた召使いによって「人類を滅ぼすために生まれた」と説明された魔王でしたが、納得がいかない。
なぜ、人類を滅ぼさなくてはならないのか?
その理由がわからない限り、人類を滅ぼすことはできない。
そこで、人類は滅ぶべきか存続すべきかを、10人の人間に議論させ、理にかなった意見を求めることにしたのです...…。

あらすじはこんな感じです。

なるべく核心やネタバレにならないように書いていきますが、タイトルにもあるように「反出生主義」を中心として物語が進んでいきます。反出生主義とは、「人間は生まれるべきではない」と考える主義、だそうです。

この本を読むまで、私は反出生主義というものをよく知りませんでした。
読んだ後もきちんと理解しているかと言われたら自信がないですが。
人間が生まれるということは新たに不幸になる存在が生み出されるということ、だから子供を産むべきではない、というのが反出生主義の主張です。


これを読んで私は「確かになあ、でも全部賛同はできないなあ」と思いました。
私自身も何度か「こんなにつらいなら、生まれてこなければよかった」と思ったことがあります。
でも一方で、いつか子供を育ててみたいとも思っています。
自分がつらい思いをして自分の出生を否定しているのに、同じ境遇になるかもしれない存在を新たに育てたいというのはエゴイズムかもしれません。でも、これは自分の価値観も影響しているのではないか、と考えています。
生まれてくる子供は幸せか否か、という考えも、人それぞれ今まで生きてきた中の価値観によって変わってくると思います、私の価値観としては、「すでに実体があって親が生むことを望んでいる場合の子供は生まれて幸せになるべきだ」です。

小説の感想


これは哲学書なんじゃないか?というくらい難しかったです。
文章量はそこまで多くなく、読みやすいのですが、話の内容がやや複雑。でも、章ごとにまとめが入ったり、登場人物が要点を拾ってくれたりするので、話についていくことができました。
後、自分が参加しなければディベートって面白いな、とも思いました。

人類滅亡に関する私の考え

この物語では、10人の人間がそれぞれ異なる主義を持っています。
それ故に、人類滅亡についての意見もバラバラです。
この議論の結末は直接読んでいただきたいのですが、自分なりの人類滅亡意見を残しておこうと思います。
(理にかなっているかは置いておいて)

人類は、将来的には滅亡するべきだと思います。
滅亡すべきである理由としては、他の生物、無機物、環境に大きな影響を与えているためと、争いを繰り返すため。
「将来的には」としたのは、今滅亡すると、建物の風化や設備の劣化により厳重に保管されていた危険な物質が地球上に放出され、他の生物に影響するから。
人間が生み出したごみをすべて回収、処理し、他の生物に迷惑をかけずいつ滅んでもいい状態にしてから、一斉に滅亡すべきだと思います。

でもこれだと、皮肉にも持続可能な社会が完成したとたんに滅亡しそうだな、と思いました。

人生の意味に悩んでいる方、疑問を持っている方には一度読んでいただきたいなと思います。

あとオモコロチャンネル面白いよ!!!


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