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ちいかわがちいかぶに抱いていた真の感情

『ちいかわ』

その独特な世界観の中に存在する「なんかちいさくてかわいいやつら」が織りなすハートフルなストーリーとその裏に潜む残酷な現実に魅了されている現代人は多い。もはや魅了というよりカルト的人気であるのが最近では多く見られる。

杖編、オデ編、あのこ編など名作エピソードが多い『ちいかわ』であるが私が最も「ちいかわ」のパーソナリティを色深く見出したエピソードが『ちいかぶ編』である。この『ちいかぶ編』で描かれている「ちいかわ」のいつもでは見えざる一面について書いていく。

(作品名とこの作品における主人公が同じ名前なので『作品名』「名前」の形式で書かせてもらう。「ちいかわ」の本名とされている「橋本」を使うのも考えたが元ネタがしょうもなすぎたので、やめた。気になる人は調べてみてくれたまへ。)


前提としての「ちいかわ」の性格

もちろん「なんかちいさくてかわいいやつ」と言われればそこまでなのだがこいつは可愛いというだけでは抑えきれないほど愚鈍であると見れる。
漫画更新で2回に1回は泣いてるし、そのくせほめら〜れリボン編ではハチワレとうさぎに褒められたいがために上位ギチギチ討伐を試み失敗、その結果二人を危険に晒す。んで泣く

@ngnchiikawa
自己実現に失敗し情けなくて泣くシーン
一番に仲間を怪我させてしまった申し訳なさが来ないのが自己中

他にも、ほとんど合格するという草むしり検定5級に2回落ちるなど、地頭の悪さ、3級を保持するうさぎや上位ランカーを目指そうとするハチワレと違いただ日銭を稼ぐだけの変わらない日常を送る向上心のなさ
しかし元来、作者であるナガノ先生の「こういうふうになってくらしたい」という思いを全面に出しているキャラクターなのでこれが人間が本来持つ姿なのかもしれない。
泣き虫見栄っ張り問題解決能力が低い自己肯定感が低い、向上心のなさ。
これらが「ちいかわ」を語る上で外せないキャラクター像である。

本題、「ちいかわ」に芽生えた一つの感情。

さて、いくつか「ちいかわ」が自分に重なる部分があり、胸を痛めながら書いているがそろそろ本題に入ろう。
「ちいかわ」がちいかぶに抱いていた真の感情、それは母性である。
『ちいかぶ編』のストーリーを大まかに書くが、幽閉されていた洞窟に入っていた3人はそこにいた謎の生物の「ちいかぶ」に出会う。すっかり友達になった「ちいかぶ」と別れ家に帰って検定の勉強をするちいかわ。しかしそこにちいかぶもついてきたようで驚いたちいかわはちいかぶにさすまたを向けようとする。しかしちいかぶはそんなちいかわに近づき、抱きついた。完全に警戒を解いたちいかわはちいかぶと生活を共にし、ちいかわ、うさぎ、ハチワレ、ちいかぶの「仲良し四人」として新たな日常がスタートする。というのがあらすじである。
ここからは『ちいかぶ編前編』の中で見受けられるちいかわの母性の目覚めについて書いていく。

「もっと」ちいさくてかわいいやつ


上の画像はちいかぶとのファーストコンタクトの時である。危機感のないハチワレ、興味のなさそうなうさぎ、そして少し不安興味が混在する表情のちいかわ。

ちいかわの不安を裏付けるシーンはここにも見受けられる。右コマでは少し怯えながら手を振るちいかわ。左シーンでは「また来よう」というハチワレの誘いに対しあまり乗り気では無さそうなちいかわの返事。この二つのシーンからハチワレに合わせて、平常を装っているが本心ではちいかぶに対する警戒心がある。ということが読み取れる。

ちいかわについてきたちいかぶとのシーンである、警戒心を強く持っていたちいかわがさすまたに手を伸ばそうとするがハチワレの発言を思い出し接触している。ここでさっき前述した興味の感情は回収される。

次にちいかぶがちいかわに抱きつくシーンであるがここが母性の始まり、目覚めと考察している。いや、厳密にいうと「母性」というより「庇護欲」なのだろうか?

先ほど述べた通りちいかわは自己肯定感が低い。パジャマパーティ編、草むしり検定編を通して自分の弱さを知っているはずだ。

しかしそのちいかわより「もっと」ちいさくてかわいいやつが現れたらどうだろうか?

人はだれしも「庇護欲」を持っている。強者が強きをくじき弱きを守るようにそのような性質を持っているのだ。「ヒモ」をイメージしてもらえばわかりやすいだろう。

そしてその「もっとちいさくてかわいいやつ」というのが「ちいかぶ」であったのだ。この出会いによって生まれた庇護欲は膨張し次第に母性へと変貌していく。

自分より弱い存在を慈しむ目


おわりに

この記事をここまで読んでいただいた方には『ちいかぶ編』を今一度読み返して欲しい。きっと今までとは違う読み方ができるかもしれない。

そして、別の見方をすれば、我々が見ている『ちいかわ』という作品もここでいう我々にとって「もっとちいさくてかわいいやつ」なのかもしれない。そして我々も同じく━━━━━━━━━




「ちいかわ」なのかもしれない。

おわり。










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