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4月2日は「世界自閉症啓発デー」

こんにちは、作家の東田直樹です。

4月2日は「世界自閉症啓発デー」です。自閉症に対する理解が広まり、自閉症だからといってつらい思いをする人がいない社会になることを僕も願っています。

目次

1 自閉スペクトラム症とは
2 僕の記憶について
3 なぜ物語が書けるのか
4 自閉症だからこそ

 

1 自閉スペクトラム症とは

自閉スペクトラム症とは生まれつきの脳の中枢神経系の障害で、コミュニケーションが苦手、空間・人・特定の行動に対する強いこだわりなどの特性がみられる発達障害のひとつです、

自閉スペクトラム症の人たちの特徴は一人ひとり異なります
日常生活でさまざまな困難を抱えている人も多いです。

僕自身もみんなが当たり前にできることができません。特に記憶とコミュニケーション、強いこだわりに苦労しています。

 

2 僕の記憶について

 記憶というのは「経験を保持し、なんらかの方法で再現する機能」を意味するのだと思います。
みんなの記憶は起きたできごとをある程度線のように並べられるのではないでしょうか。それに比べて僕の記憶は、点のように頭の中に散らばっているのです。時間の経過にそって自分で並べることが難しいです。

 

僕にとっては昨日のできごとも1年前のできごとも、それから10年前のできごともあまり変わりはありません。

並べられなくても場面としての記憶はあるので、その時々のことは覚えています。

けれど、どの場面とどの場面がつながっているのかよくわからないので、たとえば「昨日教えたでしょ」と言われても「何のことを言っているのだろう」と思ってしまうのです。
経験したことが自分の中でうまく積み重なっていきません。

僕が記憶している場面の長さに規則性はないのです。一瞬の場面もあれば少し長めの場面もあります。


起きたできごとをすべて覚えているわけではありませんが、印象的なできごとは覚えています。

見たものや聞いたこと、学習したことは頭の中に残っています。十分に理解できていないものもありますが、知識として自分の中に吸収できていると思います。

 

3 なぜ物語が書けるのか

記憶の中で経験が場面としてしか残らないのに、なぜ僕が詩や物語を書けるのかというご質問をいただくことがあります。

なぜなら物語は自分の経験を説明するものではなく、自分の中から生み出すものだからです。

物語のストーリー、時間や場所、登場人物などすべて僕自身で決めることができます。
文章を綴ることができれば、自由に創作できるのです。


また、自閉症者は想像力が足りないと言われることがあります。急な予定の変更や予測のつかない状況に混乱したり、場面に合わない言動を見せたりすることがあるからかもしれません。

状況に合わせた行動が苦手だからといって自閉症者が空想しないわけではないと思います。

頭の中で考えていることを言葉で伝える能力や表現力には個人差があるでしょう。

創作するときに僕は、言葉をパズルのピースにみたて、組み合わせることによって文章を綴っています。自分の気持ちにぴったりと合う文章が完成するとパズルが完成したときのようにうれしい気持ちになります。

 

4 自閉症だからこそ


自閉症であることは普通の人たちと違う脳の特徴を持っているということでしょう。


そのことが生きづらさにつながっていることは間違いありません。それでも今の自分が好きだと思えたなら、自閉症であることは強みになるのではないでしょうか。
自閉症である自分とともに生きていく。
楽しいことも辛いことも自分にしか経験できないことだと思えたなら、今よりもっと前向きに生きていけるような気がします。

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