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新刊発売されました。

僕の新刊「東田くん、どう思う?」が、発売されました。
KADOKAWA電子書籍直営サイトBOOK WALKERから
新刊の試し読みが出来ます。

この本には、精神科医である山登先生と自閉症当事者である僕との往復書簡や対談の様子が記載されています。

山登先生とのやりとりの中で、僕が印象に残っているもののひとつに「心の理論」に関する議論があります。

「人間というのは、こういうことを考えて、こういうふうに行動する。その予測は『心の理論』に添って行われている。人間には、生まれつきこの『心の理論』が備わっていて、成長と共に起動するようになる。」このような理論の元に、「サリーとアンの実験」は考えられました。

本の中では、山登先生が簡単にご説明くださっています。
「サリーとアンが同じ部屋にいます。サリーはカゴ、アンは箱を持っています。サリーは自分の持っていたビー玉をカゴに入れて、外に出かけました。アンは、サリーのいない間に、カゴからビー玉を取り出して自分の箱に入れました。さて、サリーが戻って来ました。それでは、ここで問題です!『サリーがビー玉を探すのは、どこでしょう?』
正解は「カゴ」ですが、自閉症の子どもたちだと「箱」と答えてしまうことが多いというのです。

自閉症者といっても、それぞれです。
すぐには障害があることが、わからない人もいますが、ひと目見ただけで、重い障害があるとわかる自閉症者もいます。

言葉や表情、行動で、自分の思いや考えをうまく伝えることが出来ない自閉症者の場合、「サリーとアンの実験」を用いて「心の理論」の証明をすることは難しいのではないでしょうか。
同じ基準で分析、考察しようとすることそのものに無理があるのだと思います。

では、「サリーとアンの実験」の検査をする意味とは何でしょう。
自閉症かどうかを確かめるためだけに行うものでしょうか。

どうして正解と言われる答えが出せないのか、その理由を考えることにこそ、自閉症の謎を解く鍵があるような気がします。

2年半にわたり、発達障害や支援、記憶や生き方、嘘や愛についてなど色々なことを往復書簡でやりとりしました。

よろしければ、文庫版新刊「東田くん、どう思う?」を、ぜひ、読んでみてください。

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