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農機具×レンタルと、ECの送料問題。

楽天の送料問題が最近のホットワードですが、「農機具の宅配レンタル」というニッチを三乗したようなECサービスでは、2017年の開設当初から「必要な送料は普通にもらう」を徹底しています。

実はその開設以前、僕は物流現場で仕事をしていて、大阪の物流センターに勤務したり、今の自社センターに切り替えるために10tトラックを大量手配して台風予報の中で倉庫の引っ越し作業をしたり、1日数十台の農機具を試運転したりといった現場仕事もやっていました。

「必要な送料は普通にもらう」に至った経緯について、自分が物流現場も管理も経験していたから、「送料無料!」というキーワードに、少し現場や運送業者の方が蔑ろにされているような引っかかりがあったのは事実ですが、そもそも単価の安いレンタル業では往復の送料まで負担できなかった。

つまり、「お客様のために送料無料!と言いたくても言えなかった。」

レンタル単価に送料を含める一般的な価格体系ではなく、単価と送料を分けてしまった方が結果的にお客様に負担して頂く価格が安くなると考えたのです。

なので、「これ税別で往復送料60,000円もらわないとダメだけど申し訳ないな・・・」と少し罪悪感を覚えつつ、値付けとサービスの設計をしていきました。

オムニチャネル的な要素を目指していたこともありますが、ECサイトなのに「店頭引取(和歌山)」のメニューがあるのはそのちょっとしたお客様への申し訳無さからだったのかもしれません。冷静に考えると和歌山は遠い。

そして結果的に何が起こったのかというと、特に上記のような大型機械は遠方からお店に取りに来てくれる方が増えたり(本当ありがたい)、関西方面は自分が直接納品に行くことで生の声を聞く機会がとても増えました。そしてリピーターの方もとても増えました(本当ありがたい)。

大型機械はそもそもの配送料が高額なので、直接納品した方が安くなるケースがあるのですが、比較的単価の安い長尺物、刈払機やポールソーなどの機械の配送コストを抑えるのはなかなか難しく、半分諦めムードのまま罪悪感に包まれてサービス開始から3年ほどが経過していました。

3年も経つと物流業界も色々事情が変わるようで、2015~2017年頃に比べると、個人宅配送をしている運送業者としていない運送業者で価格帯やサービス内容が明確に変わってきていて、このタイミングで改めて当時の罪悪感と向き合っていたところ、「個人宅配はダメだけど営業所止めだったら安くできるよ」という事業者さんが目の前に現れました。

「レンタルの件数もそれなりに増えて認知されてきた」「世の中の物流事情が変わった」「コンビニ受取や営業所受取が一般的になった」など、色々な要素はあり、後発サービスを運営する僕はラッキーだったのかもしれません。

しかし、「必要な送料は普通にもらう」「お客様にとって最善の提案を追求する」ことに、しつこく、諦めずに向き合い続けた結果、過去に実現不可能だと感じていた問題は、いつか未来で解決できる可能性があるということが今回の大きな気付きとなりました。

何が言いたいかと言うと、諦めずにできることをやり続けたら、自ずと道は切り開けるということ。

そして、今世の中に存在するものは、全て進化の過程であると信じて行動することが大事だなと感じた瞬間でした。

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