写真日記(2020年10月4日)

自分が自分の人生で出逢うもの、
それらすべてが一度きりの特別なものと思うか。
何でもない、取るに足らないものと思うか。
そのどちらであれ、わたしは今をただ通り過ぎてゆく。

そして、すべての命には、季節の匂いがある。

わたしだけに提示されたその不可思議な瞬間に
この身をもって、出逢えたことは、
僥倖と呼ぶにふさわしいことなのかも知れない。

道は必ずどこかへ通じていて、
いつも、あなたやわたしを
唯一の瞬間へ運んでくれる。

個性ばかりを声高に強調しても、
すべてのものは、いずれあるべき姿に戻ってゆく。

愛も憎しみも、欲望も祈りも
それぞれが収まるところに収まり、

それでいいのだと、
いつかはっきりとわかる時がくる。
それだけがわたしの持ち物。

探し求め、追い求めたものは、
たとえこの目には見えなくとも
案外手の届くところにあったりするのだろう。

流砂のようにゆっくりと
ただ静かに過ぎてゆく時間。
命の旋律に耳を澄ませば
こだまのように聞こえてくる言葉。

その美しい響きは、
過去と未来をつなぐ太古からの呼び声。

その響きに今生で出逢えるか出逢えないか。
それは、他でもない、あなたが一番よく知っていること。

受け継がれてゆくのは、決して遺伝情報だけではない。
地球に存在する、
ありとあらゆる「所有」のかたちが
とめどなく、滞りなく、溢れている。

空気さえ、もともとあったものなんかではないのだ。
そう考えたら、次はあなたのその一息になるのも、
決して悪くはない。

京都東山白川沿い~黄檗宗大本山萬福寺。

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