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多様の物語(信実の人) 序

夜明け

夜の街が彼女を飲み込んだのか。
それとも。
彼女が夜の街に居場所を求めたのか。
行き交う人とネオンの中で、ふと考えた。

人の働き方、暮らし方、生き方に向き合うようになって、
約10年の月日が過ぎた。
何千人の人生に向き合った自負があった。
が、それを遥かに超えている。
かつてない、引っかかりを感じている。

誰しもが運命の出会いを求めている。
親友、恩師、恋人、伴侶、それは様々。
ただ、それらを超えていて、既存の枠には収まらない出会いはある。

救いを求めていた?
あるいは、救いを求めていたのは自分?
分からなくなる。

ただ、必要としてくれる人がいる。
頼ってくれる人の人生、その覆いつくす闇の正体に、
かつてないほど向き合っている。

出会い

1年前のこと。

出会いも不思議な場所であった。
ある企業のなんの変哲もない職場。
ただ、そのなかで、伏し目がちで、ひとつも目を合わさない子。
周囲に溶け込もうとしているようでもあった。

その時に感じた最初の違和感。
「なぜ、この子はここにいるのだろう?」

おそらく、周囲の人たちは、気づかない。
普通の子として見える、会話もできる。
一見すれば、かわいらしい普通の女子である。
ちょっと心を患って苦労してきた子、そう映るだろう。

しかし、私の繊細な感覚(時に武器に、時に押しつぶされる厄介な能力)はわずかに反応した。
それでも、その理由が何かは、その時全くわからなかった。
ただの違和感、でも決して悪いものではない。

いま思えば、ある意味運命の出会いだったのかもしれない。

狭間

夢であれば、朝には消える。
現実であれば、日々の中に流される。
その狭間にある、描くことの出来ないたったひとつの物語。

だれも予想ができない信実の物語は、
自然と始まっていた。



この物語と自己紹介

この物語は、私の支援記録をもとに人の人生キャリアを描く試みです。
登場人物のひとりであり、筆者であり、また社会へ問いかけるメッセンジャーでもあります。

遅ればせながら、私はだれか。
自己紹介にもあるとおり、カウンセラー、キャリアコンサルタント、デザイナーなど複数の顔を持ち、また研究者であり、実務実践家の顔を持つ社会起業家でもあります。

テーマはニューロダイバーシティ。発達障害グレーゾーン。
生きづらさ、働きづらさを抱える人と向き合い、その人が求める幸せを、ささやかながら応援し支援をしています。

この記録のような物語は、専門的な内容も含む、不思議な形をとっていく予定です。
なぜこのような形式をとろうとしたのか。
社会に潜む問題を、学術的になりすぎず、産業消費の餌にならないようにしたかったためです。
当事者の想いを、この物語に触れた人が、自分なりの解釈をもって心に残してほしいとの願いからです。

見えないところにいる人たちがいる。
見えないとこで苦しんでいる。
そのことに、少しでも思いを馳せ、何か感じとる人が増えてくれたら、社会が変わる。
そんな思いを込めて、紡いでいきたいと思っています。

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