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Ep13 リチャードとキャラ設定

シャーロックホームズは、コカイン中毒だ。しかも、情けもへったくれもない。ワトソンがホームズを懸命にサポートしてくれていることも意に介さない、実に自分勝手な男なんだ。大好きだという「ハリーポッター」の著者が、普通の主婦からいかにしてスターダムにのし上がったのかなど、そんな話をしているうちに、リチャードは、物語を奥深くしてくれるものは何だと思う?それは、キャラ設定だよ!と冒頭のたとえを例にだし、持論を展開し始めたのだ。

ハリーポッターの場合、ハリー、ロン、ハーマイオニー、そうしたキャラクターそれぞれの、思春期の悩み・葛藤・未熟さ、そのぶつかり合いが良いんだよな。そして、それがまた、本を読まない現代っ子を惹きつけるんだよ・・・と、とてもおじいさんだとは思えない、まるで親に自分の読んでいる本の魅力を教えたくてたまらない少年リチャード、という感じに仰るので微笑ましい。

ところで、思春期といえば、もうすぐ君のかわいい娘もボーイフレンドを連れてくるぞ。思ったよりも近い将来にな!と、これまた野暮な、触れてほしくない話題に、リチャード、土足で踏み込んできた。はぁ、やだねぇ、考えたくないねぇ・・・などと生返事をしていると、遠い目をしながら彼はこんな話をし始めた。

私の娘は2人いるが、一人目は大学までボーイフレンドがいなかった。だから特に心配などはなかったんだが、二人目の娘、これがひどくてな。次から次へとボーイフレンドが変わるんだ。で、これがまた、連れてくるやつ連れてくるやつ、考えられないほどダメなんだ。まぁイギリスは16歳から男女は好きにすれば良いという考えがあるから、親はあれこれ言わずに、ある程度は放任はするんだが、それにしても、と思ってたよ。

そして、最後の最後に、結局結婚することになるんだけれど、これがまた困った相手でな。「あのぉ、どんな感じに?」と、説明を聞くと、あれ?なんかさっき聞いたような・・・「え!ホームズ系!?」・・・ただ、娘さん、幸いに別れることもなく、人生の迷宮入りにはならずに済んでいるようだ。僕の娘の人生という物語には、あまり極端な設定のキャラクターは、登場してほしくはないものである。

画:久保雅子 www.masakokubo.com/

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