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Ep16 リチャードと紅茶

カテキンに抗酸化作用があり、さらに細胞のマクロファージが活性化されるから免疫系に効いて健康に良いのだとか、煎茶、抹茶、ほうじ茶、玉露茶、はたまた十六茶といった豊富な種類があったりだとか、茶室で正座をし、手びねりの茶碗、それを回して頂いたのち、飲み口を指で拭き取って結構なお手前でしたと謝辞を述べるといったお作法だとか。日本人と日本茶には、並々ならぬ深い関係がある。では、イギリス人にとっての紅茶はどうなんだろう?教えて、リチャード。

大量生産の時代だからな。リプトンとかは最たる例だ。まずい。私は価値を感じない。かつては、みな独自のブレンドにこだわり、競い合ったものだ。それぞれの地方でな。アール・グレイ氏のブレンドなんかには深い歴史がある。彼と奥さんがきりもりするお店に、一杯の喫茶を求めて多くの人が足を運んだものだよ。(・・・へぇ〜、アールグレイが人の名前とは知らなかった!さすが、イギリス紳士。もっと色々と驚きの情報が出てきそうだ!)質問を続ける。

「リチャードは、なんの銘柄が好きなの?」うーん・・・奥さんが買ってくるからなぁ。別にこれといってないな。(あ、っそう?)・・・「紅茶って、健康にいいの?」健康かぁ、さぁな、聞いたことないな。(そ、そうなの?!もう一個ぐらい聞いてみるとするか。)・・・「日本の茶道みたいなお作法ってあるの?」そうだな、ティーパーティーってのがあるな。(お!来た来た!)

奥さんが昼下がりに自分たちの好みの銘柄をそれぞれ持ち寄り、あれこれと談話をしながらお茶を楽しむんだ。女性はおしゃべり好きだからな。(あれ?なんか人ごとみたいな言い方じゃ?)・・・「あのぉ、リチャードは、ティーパーティーに参加はするの?」いや、私は別に。ティーパーティーは、女性の特権だよ。私は「朝はコーヒーと決めているしな」

・・・認定。イギリス紳士、リチャード、紅茶に特にこれといったこだわりはなし。ただし、僕のことは、茶飲み友達のように思ってはいただけているみたいだ。

画:久保雅子 www.masakokubo.com/

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