amiinaに戦慄

2015.3.22 @新栄リフレクトスタジオ

サッティラさん企画のイベントに足を運びました。
出演は
 ・溶けない名前
 ・miiiia
 ・amiina
 ・daphne. の4組。

ひとつひとつ思うところがあったのですが、amiinaにあまりに衝撃を受けてしまったので、ここではその1点のみに焦点を当てて、書きながら考えていこうと思います。writing is thinking.

さて、今youtubeでamiinaのPVを再生しながらこの稿を進めていこうと思っていますので、ぜひお読みの方はこのリンクをチェックしてみてください。

◎amiina/drop
https://www.youtube.com/watch?v=P8RrL9j8_Nc

実はわたくし、楽曲をほぼチェックせずに見に行きました。まわりから「すごい!」と言われていたのにもかかわらず。ズボラといえばそうなのですが、「あえて知らずに行く」スタンスもまた発見があって楽しいものなのです。そのとおり、発見の多いライブでした。発見が多いって楽しい。

今日見ることができた楽曲群は、1曲1曲が万華鏡のように違う手触り。それでいて1曲の中に色々な音楽成分をとけ込ませつつまとめあげるスキルにに圧倒されました。

楽曲についてはあとでじっくり触れるとして、まずはamiina2人のアイドルとしての凛とした佇まいの素晴らしさから。アイドル群雄割拠のもはや「何やっても驚かない」現代において重要なのは「アイドルであることを腹に据えていること。与えられた楽曲を自分たちの楽曲として提示できる」という足腰の強さなのだなぁ、と感じました。そしてamiinaにはそれがあった。中学生「だから」表現できること、中学生「なのに」備わっている安定感。求められている高いハードルをクリアできているのは製作陣のバックアップと本人達の意思という「総合力」なのでしょう。観客として参加した自分が楽しむポイントは色々あるのですが、楽曲・ダンスを含めた表現・本人の人としての味わいなどの総合力はやっぱり強い。そして楽しい。

総合力としてのエンターテイメント、実はもう1点に何か感じるところがあり、そこがとてもじんわりしみてきたのです。

それは「ロックバンド」が蔓延する今のシーン、「なんでもあり」が基本となっている「アイドル」シーン双方に挑戦的な問いを発しているように感じました。ではどこにそれを感じたのか。

それは、クオリティこそが何よりも重要なのだ、というシンプルかつ明確な宣言と聴こえる楽曲群の素晴らしさなのです。

このnoteでも折に触れてきたのですがロックフェスによく出るバンドの「今ここで盛り上がりますよ」ポイントばかりテンプレートのように仕込まれた楽曲、アイドルシーンの「今ここでコールいれてくださいね」合図のはいったアレンジ、そのどちらもわかった上で「あえてやる/これはやらない」という選択があきらかになされており、そしてその選択を決めているのはおそらく全体のセットリストや楽曲をどう持っていくか、という当たり前のエンターテイメントのあるべき姿なのだと思います。

音楽を楽しむのはなにも「盛り上がる」だけではない。「楽しけりゃなんでもいいっしょ」という気分に「NO」を唱えているとしか思えない練られた楽曲にいちいちハートをえぐられる思いでした。

それでは冒頭にリンクした「drop」をもう一度再生してみましょう。
何か始まる予感のするアコースティックギターのリフにさらっと仕込まれたバイオリンのピチカートのような音が印象的なイントロダクション。そして、2拍4拍にアクセントを持ってこない、mid90'sを感じさせるドラムパターン、2分20秒あたりから始まるシンプルなメジャースケール上昇のメロディの後ろでは四つ打ち。3分25秒あたりの加工された音色からのブレイクなど、カタルシスを巧妙に操作しながらも全体として「予感」に満ちた名曲です。

ではこの曲はどうでしょう
amiina/マインドトラベル
https://www.youtube.com/watch?v=yCR7_8La-dk

コーネリアスの「drop」のような(先ほどの曲ではなくこっちにdrop感があるのが面白いですね)切り貼りされたアコースティックギターとベル、ピアノの音色。(ちなみにですが音色選びが抜群に良いです。)

どちらも楽曲もコールの差し込む隙を与えず、「楽曲を聞いてくれ」といわんばかりに細かく、そしてわざと「元ネタ」が仕込まれているようです。

1996〜2000年あたり、日本の音楽シーンでもエポックメイキングだったくるり・スーパーカー・クラムボン・ナンバーガールがいた頃のような自由さを取り戻そうとしているようです。

あるいは(すみません、タイトルがわからないため調べられないのですが)、アンダーワールドやプライマルスクリームのようなバレリアックな多幸感を感じる曲もあり、「ボトムは太く、リズムパターンは単調にせず、楽曲は複雑ながらも全体としてamiinaの2人が歌うことによって統一感がでる」という奇跡のバランスを保っていました。

と書きながらつらつら考えてたのですが、ライブを見ていたときの感想は「曲やば!かわいい!なにこの展開!」とバカのような発言しかしてないのですが…。

曲作ってる人、音楽好きなんだろうなー。楽曲から「俺はこんな音楽が好きなんだ!」というエゴよりも「音楽を作る喜び、面白さ」」と反骨精神が両立して溢れていて感動した次第です。

どうしても外せない仕事があり、いちど会場をあとにし、物販に間にあわなかったのが残念です。次の機会にCD手に入れて楽曲聴き込みたいと思います。

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