120 青い山脈 ☆ 藤山一郎・奈良光枝

【MY FAVORITE SONGS 120(私は音楽でできている)】

 戦後たくさんの青春小説を著わした石坂洋次郎さんの『青い山脈』をもとにした大ヒット曲です。石坂洋次郎さんには『若い人』『石中先生行状記』『陽のあたる坂道』『あいつと私』『光る海』などの代表作があって映画化されたものも多いです。『青い山脈』の映画も5回(1949年、1957年、1963年、1975年、1988年)も制作されています。いかに世代をこえて幅広い人気があったか分かります。

 私は石坂洋次郎さんの小説は結構読みましたし、映画はテレビで見たくらいでしたけれども、作品を通じて、この戦後の昭和20年代の時代の空気感を、追体験するような気分でした。何か『健全な若者』を絵にかいたようなちょっと現実から距離があるような世界のような気がしないでもありませんでしたが、それは戦前の暗い世相を反面教師としたような、自由闊達な青春を石坂さんが描きたかったのではないかと思います。

 いまとは違う歌唱法ですが、藤山一郎さんの歌声は、いろんなものをつつみ込む柔らかさがあるように思います。それはおそらく、きっと、戦中戦後の険しい山々、荒々しい波濤を越えてきた心身から発せられる柔らかさだったのではないかと想像されます。

応援よろしくお願い致します。