110 ペドロ&カプリシャス ☆ 五番街のマリーへ

【MY FAVORITE SONGS 110(私は音楽でできている)】

 「ジョニーへの伝言」と、この「五番街のマリーへ」は、どこか無国籍で、時代はいまかもしれないけれど、小説や映画のワンシーンのような世界に一瞬で連れて行ってくれる歌だと思いました。日常を忘れて、ほろ苦い恋や友情など、大人の世界ってこんなものなのかなって、イメージを膨らませてくれました。やっぱり高橋真梨子さんの声がいいですね。ちょっとハスキーで、憂いというか深みもある歌声は、それだけでビンテージだと思います。

 20歳の頃、友人の母親に飲みに連れて行ってもらったバーで、生のピアノの伴奏で「五番街のマリーへ」を歌ったことがあります。ピアノがとても上手く合わせてくれて、気持ちよく歌えました。誰も聞いていませんでしたし、もちろん歌は下手ですが、薄暗いバーの片隅で、「五番街のマリーへ」の世界が重なるような気分に勝手になって、至福の時間でした。

 ああ、歌う喜びや楽しみってこういうものなのかもしれないなと、ちょっぴり思いました。

 コロナになって、様々な音楽のイベントが中止になって、音楽を生で聞くことが減っていますが、人々が普通に歌うことも確実に奪われているように思います。それは、人にとってとても大切な生きる喜びや楽しみ、すなわち生きる原動力を奪われているのではないかと思います。

応援よろしくお願い致します。