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ねばり強い訪問

「おせっかいワーカーになろう⑥」

 つい最近の見守り訪問で、大分時間が経つのになかなか報告の電話がないことがありました。心配していたら、「だいたい1時間前に到着したのですが、お部屋は真っ暗で留守でしたけど、何か帰ってきそうな気がしたので待っていたら、帰って来られてお会いできました♡」とホッとしたという声の報告がありました。この猛暑の中、親子の帰りをずっと待ってくれたのです。ひとり親家庭で、多動傾向で指示が通りにくいお子さんを抱えて、なかなか大変そうだったようです。話を伺っている間にも、お子さんが外の花火の音に興奮して階段を走り下りようとするので、お母さんが声を荒げる様子が確認されました。

 訪問しても留守のことはよくあります。しかしスタッフは簡単に諦めないで、何とか会おうとします。お会いできると、子どもの様子も保護者の状況も確かめられることが多いからです。車の中や近くのファミレスなどで時間を過ごしたり、2件目の訪問に行って帰りに再訪問したり、と工夫します。
そしてたとえお会いできなくても、できる限り情報を集めます。ポストに郵便物はたまっていないか、玄関先に遊具や傘はないか、電気のメーターはどのくらい回っているか、裏に回って洗濯物の状況、駐車場の車という具合に見て回るのです。例えば電気のメーターがぐるぐる回って物音がするのに出てこられないこともあります。廊下に遊具が溢れていたら、子育てに余裕がないかもしれません。廊下に面した風呂場は窓から子どもの「キャー」という声が響くかもしれません。駐車場の部屋の号数のところに車がなければ外出しているかもしれません。

 また近隣からも情報を集めます。集合住宅の場合、両隣や階上階下を訪ねますし、ビル一階の会社や近くで営業しているお店の店員さんにお話を伺うこともあります。「あそこは外国の方が出入りされていますよ」とか「よくお孫さんが来てますね」とか、「最近越して来られました」という有益そうな情報が得られることがあります。母子家庭と聞いているのに「あの家はお父さんが怒鳴っています」という話が聞けたりもします。

 大切なのは現場の一次情報です。私たちの感想も報告しますが、とにかく見たり聞いたりしたことをそのまま児相に届けるように心がけています。そこから緊急性や深刻度を判断してもらうのです。

         【労協新聞2017年「おせっかいワーカーになろう⑥」】

応援よろしくお願い致します。