乙女の聖典バキ編その16_LI

怪奇!壊れた両手両足でサンドバッグを叩き続けて全快する男 乙女の聖典~女子こそ読みたい「刃牙」シリーズ~その16

 2019年3月8日、「刃牙」新シリーズ『バキ道』1巻2巻、同時発売したゾ! 皆、もちろん買ってくれたよな!(まるで関係者であるかのような宣伝)

(2巻の表紙の刃牙さんが完全にアイドル。『バキ道』はある意味、アイドルマンガ)

 私が「刃牙」シリーズを本腰を入れて読み始めたのは昨年9月のことだが、新シリーズの名称が『バキ道』(ばきどう)になると知ったとき、本当に驚いた。なぜならその前のシリーズの名称が『刃牙道』(ばきどう)だったからだ。口頭でどうやって違いを伝えるつもりなのか。『バキ』とか『範馬刃牙』とかいうシリーズ名も、主人公の名前そのものなので相当な伝えづらさがあったが、ここに来て、同音同意語を恐れずに自ら選んでくる板垣先生のスタイルに、ちょっとした狂気を感じる。
 『グラップラー刃牙』→『バキ』→『範馬刃牙』→『刃牙道』→『バキ道』。この順番はセンター試験でも頻出なので(嘘)、覚えよう。

 前置きが長くなったが、今回は『バキ』28~31巻(バキ最終巻)について履修する。  
 
 この4冊では、アライJr.が主人公になって話が進む。私はアライとアライJr.について、初登場時からほとんど興味が持てず、デントラニー・シットパイカー(※注1)に対するような薄々の気持ちのまま、ここまで来てしまった。いや、ネタとして何度も言及してきたせいで、もはやデントラニー・シットパイカーのほうが気になるぐらいだ。なお、元ネタのモハメド・アリについてはさすがに聞いたことがある。しかし「ボクシング」という競技に、個人的に何一つ興味が持てないので、アリについて調べたことがない。名前だけ公表されているバランシェ・ファティマ(※注2)とかと比べても、興味が湧いてこない。

 いっそアライJr.が、範馬勇次郎か刃牙さんにプロポーズしてくれれば、私の好感度もうなぎのぼりだったろうが、梢江さんにプロポーズするという展開に至り、特に何も思うことはなかった。
 いや、梢江さんファンにとっては、「ほぉ、あなたもわかりますか、梢江さんの、メンタル・フィジカル両面の屈強さ、年齢に似合わぬ落ち着き、ヤンキー口調の趣深さが……」という、ちょっとおいしい展開なのだが、アライJr.は梢江さんに惚れているというより、「刃牙さんの彼女」という属性に反応している感がありすぎる。

 とはいえ、刃牙さんの反応は良かった。「スゴく動揺するよ」と素直な気持ちを告白しつつ、「オレの決めることじゃない」と冷静なところを見せる(※注3)。アライJr.が二人の前に現れ、梢江さんに再びプロポーズした時も、「いちいち俺に言うことじゃない 梢江は誰のものでもない」「誰だって梢江を好きになれるし 恋人にしたければ申し込んだらいい 梢江は誰がイチバンになるか決めたらいい」(※注4)と、あくまで梢江さんの意思、選択を尊重する。
 十代のくせに達観しすぎていて、梢江さんがやや当惑した気持ちもわかるが、これは自由な意思で選びあった、対等な恋人関係として納得できる。むしろ、わざわざ刃牙さんにアピールしに来たアライJr.の小物感があらわになる感じだ。

 そんなこんなで、アライJr.のいちいちの挙動に関して、私も梢江さんと同じく、スンッ……と真顔になってしまう。真顔になった後は、彼のセーターの首元が拡がったアナルみたいだな、という感想ぐらいしか浮かばないのだ。

(いい意味でアナルのようなセーター)

 アナル要素を探し始めた時点で、私がかなり真剣にアライJr.に加点しようと思っていることをわかってほしい。
 こうして始まるアライJr.のアナル狩り……じゃなくて男狩り、その顛末はどうなるのか。最終的に刃牙さんのアナルが散らされるのか。

★お知らせッッ★
 このシリーズを加筆修正し、『「グラップラー刃牙」はBLではないかと1日30時間300日考え続けた乙女の記録ッッ』として、河出書房新社から2019年11月に書籍が発売されました! 電子書籍もあるよ! もちろん秋田書店さんの許可をバッチリと取っております!!
書籍に収録されている範囲は、その1〜その16まで(『グラップラー刃牙』『バキ』までの感想全部)です! ぜひ一家に一冊、いや百冊!!

 さらにこの奇書を原案として、松本穂香さん主演の実写ドラマ『「グラップラー刃牙」はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ』が制作されました!!(WOWOWさんが制作幹事) 2020年8月20日〜10月1日まで、全7回放映! 現在、いろんなサブスクで配信中ッッ! お一人で、またご家族で、そしてご友人とぜひお楽しみください!!


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