なんとな〜く見ていたチームが、気がついたらそこそこ気になる存在になり、最終的には帯広まで行くことになったよ、というお話

全国大会の開催地って、ごく一部の大会を除いて持ち回りで開催されることがほとんどです。しかも、その多くの大会がある一定のルーチンで決められています。
例えば高校総体。高校総体は全国を北海道、東北、関東を「東」(近年では東北を「北東北」「南東北」、関東は「北関東」「南関東」に細分化されています)、北信越、東海、近畿を「中」、中国、四国、九州(近年は「北部九州」「南部九州」に最近されています)を「西」と大きく3つのブロックに分けて、「東」「中」「西」を各年ごとに順番に回すことで、全国満遍なく開催されるようにしています。今年の開催ブロックは「東」で地域は「北海道」、昨年は「西」の「四国」、一昨年は「中」の「北信越」といった感じです。
地域CLの予選ラウンドの開催地も同様の「東」「中」「西」の各ブロックで予選ラウンドの開催地が決められています。今年は「東」は東北、「中」は近畿、「西」は九州です。基本的には「関東、関西、九州」「北海道、東海、中国」「東北、北信越、四国」が各セットで、これを3年毎にくりかえしていきます。ただ開催時期が11月なので、東については北海道開催というのが困難で、2018年に一度だけ開催されましたが、2021年は東北開催になりました。来年は北海道開催はあるのでしょうかね?
その一方、全国社会人サッカー大会の開催地は来年から名称が国民スポーツ大会と変更される、いわゆる「国体」のリハーサル大会として実施されるので、国体の開催都道府県によって決まります。今年の開催は2024年にスポ体が開催される佐賀県、来年は2025年の開催権の滋賀県といった具合です。国体の開催県は内定も含めて2031年までは概ね決まっています(26年以降は青森、宮崎、長野、群馬、島根、奈良の予定)ので、見にいく際には参考にしてください。
そして国体、いやスポ体の開催翌年に当該県で開催されるのが全国クラブチームサッカー選手権大会です。この法則を知っておくと、毎年の予定が立てやすくなります。
しかし、2020年の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年の鹿児島国体と全社三重大会、さらには2021年の三重国体と全社栃木大会が中止。全社は去年は今年、特別国民体育大会として開催される鹿児島県で再度開催されましたが、国体翌年のクラブチーム大会の開催地については変則的になりました。2020年は前年の国体開催地である茨城県、翌年の2021年は国体が中止になったので急遽、その年も茨城県での開催となりました。去年は国体の開催はなかったものの三重県での開催となりましたが、今年は去年国体を開催した栃木県での開催と思っていたら、まさかの北海道開催になりました。ということは、おそらく来年を栃木県開催かもしくは鹿児島県開催にして、従来のルーチンに戻す予定なんでしょう。
と、ここまでダラダラと開催地ルーチンの話を書きましたが、今回のテーマのクラブチームサッカー選手権大会について、少しだけご説明いたします。
大会出場資格のあるチームは、地域リーグ未満に所属するチーム全てです。ただし学生連盟、高専連盟、専門学校連名、自衛隊連盟、自治体職員連盟所属のチームの参加は不可です。さらに学生チームの場合、同一学校の選手が5名以内の場合は参加可能となります。「クラブチームサッカー」と称していますが、○○株式会社サッカー部のような企業のサッカー部の参加もOKです。過去にはトヨタ自動車北海道サッカー部などの企業のサッカー部が出場したこともあります。
全国9地区の代表と開催地代表の計16チームのトーナメントで争われます。全社の5連戦よりは短いですが、決勝まで進むと4連戦という過酷な大会です。そしてこの大会、優勝チームには錚々たる名前が並んでいることも一つの特徴でもあります。たとえば2008年優勝チームはJ2経験クラブでもあるSC相模原、2016年、17年と連覇したのはJ2のいわきFC。他にも地域リーグで名の知れたVONDS市原やガンジュ岩手、優勝は出来なかったものの準優勝2回のHOYO Atietico ELAN(現ヴェルスパ大分)などが名前を連ねています。将来のJクラブやJFL、地域リーグの強豪チームの登竜門とでも言いましょうか、そういう大会になります。

では、そろそろ試合の話に移りましょう。

9/30 全国クラブチームサッカー選手権大会
@帯広の森球技場
蹴鞠会 0-4 ONODERA FC
@幕別町運動公園陸上競技場
北海道FORTUNA FC 1-3 FC猛獣王

関西から帯広での朝10時開始の試合に間に合うようにするには、早朝の羽田便に乗るか、あるいは前泊しかない。しかし今回は来週の月曜も休むので(理由はそのうち分かります)、早朝便しか手がない。ということで、金曜の夜に知り合いの家に前泊させてもらうことに。しばらく会えてなかったので、いろいろとサッカー関係の情報交換が出来て、非常に有意義なひと時を過ごせました。いつもありがとうございます。また何かあれば、よろしくお願いします。

ということで、6:55羽田発の飛行機で帯広へ。JALしか使わない人にとって、この日のT2は何年ぶりだろうか?という感じ。慣れないうえに、意外と時間がタイトで大変でした。

慣れない羽田の第2ターミナル。
異次元に来たみたいな感覚です…(笑)
そういや、ここを使う時っていつもバス搭乗なんですよね…

無事に搭乗手続きも終え、機体に乗り込みいざ帯広へ!着陸へ向けて降下中のアナウンスで「現地の気温は摂氏13℃」と聞き、戦慄を覚える…(汗)「今、半袖1枚じゃん!」薄手と厚手のカーディガン2枚持ってきてはいるが、果たして大丈夫だろうか…
と言ってる間に、飛行機は帯広空港に着陸。やや早着だったらしい。搭乗ブリッジに降りた途端「寒っ!」やはりこの時期の道東の寒さは半端ない…。

帯広到着。帯広といえばやはりばんえい競馬ですね…

外に出ると温度計の数字は15℃!そりゃ寒いはずだ…。ということで、半袖のTシャツの上に薄手のカーディガン、そしてやや袖の短い厚手のニットのカーディガンを重ね着して対応。北海道に行き慣れていても、未開の土地の未体験の時期の訪問はなかなか大変です…

帯広空港の外の温度計。
見にくいですが、15℃と表示されてます。
バスの出発直前には1℃だけ上がりました…(笑)

空港からバスで約40分。帯広駅に到着。市内でもやはり気温は15〜16℃くらい。寒いですが日差しがあればなんとかなるかな?といった感じです。
今から最初の現場、帯広の森へ向かいましょう。

帯広駅前にある温度計。
9時過ぎで15℃はやはりヤバいですね…

帯広の森までバスで行こうと思うと、10時の1試合目のキックオフに間に合わないのですよね。しかも今回は終わった後、別の会場への移動もあるのでタクシーで向かうことにします。ロッカーに荷物を預けたり、いろいろしてたらけっこういい時間になってしまい、タクシーに乗ったのはかなりギリギリっぽい時間でした(現に到着したのは開始10分前くらいでした)。乗せてもらったタクシーの運転手に「帰りですが、別の会場に行きたいのですが大丈夫でしょうか?」と幕別の陸上競技場に行きたいと伝えたら「ちょっと調べますね」と言ってカーナビで確認。「とりあえずマーキングだけしておきますね」と言って会社に電話、配車センターのオペレーターに時間と予約、目的地を伝えて「万が一ぼくが行けなくても、代わりのものが来れるように」と手配してくれました。これで安心です、ホントに助かりました。ありがとう、TKタクシーさん。

クラブチームサッカー選手権in帯広です!
第一試合、白がONODER FC、赤が蹴鞠会です。

ということで、無事に試合開始に間に合った第一試合。関東代表のONODERA FCと開催地、十勝地区の代表、蹴鞠会のと試合です。
この大会ですが、開催地枠というのがありまして、これは国体のサッカー競技開催自治体の代表チームが出場することになっています。今大会は国体と関係がないので、北海道の開催地枠と開催地である帯広、十勝地区の開催地枠が設定されていて、その十勝地区の代表として出場したのがこの蹴鞠会です。
対戦相手のONODERA FCはもと元々は横浜FCの胸スポンサーとしてお馴染みのLEOCのサッカー部として2013年に創部されたチームで、去年からはチーム名を「LEOCサッカー部」から「ONODERA FC」に変更したチームです。現在神奈川県リーグ2部ではありますが、選手のほとんどは関東大学リーグでプレーしたようなレベルの高い選手ばかりで、試合を見てもそのレベルの差は歴然でした。
それもそのはずで、ONODERA FCの選手たちは午前中は「仕事」としてサッカーの練習をして、午後からは「会社員」として一般社員と同様に仕事をこなす、いわゆる「セミプロ」のような待遇です。仕事が終わった夜にちょっとだけ、それも週に1回程度練習するようなチームとは比べものにならないです。実際、シュート数はONODERAが前半12本、後半13本に対し、蹴鞠会は前半0本、後半2本と圧倒的な差でした。スコアこそ4-0で終わりましたがその倍、いや3倍近いスコアになっていてもおかしくないくらいの試合でした。

先制点はCKから、FWが落としたボールを
15番梶谷が豪快にボレー。
キーパーの逆を突いてゴールイン。
序盤から圧倒しながらも点が取れない嫌な展開を
一気に吹き飛ばす値千金のゴールでした。
2点目は8番長澤が左からドリブルで中央まで運び、
タイミングを見てズドンとミドルシュート。
キーパーも反応するも止められずにゴールイン。
決めた長澤もこの喜びようでした。
後半の蹴鞠会の数少ないチャンスも
クロスは大きく逸れてラインを割ってしまいます。
思うようにコントロールできずに悔しがる15番下村と
チャンスをものにできずに悔しがる22番五十川。
蹴鞠会の胸には「とかちポロシリ和牛」の文字が。
タクシーの運転手に聞くと「それ、有名ですね」とのこと。
地元の企業が街クラブを支えるって大事ですよね…

このONODERA FC。今はまだ神奈川でも2部ですが、近い将来関東リーグに昇格するでしょうから、名前と存在を覚えていても損はしないと思いますよ。

第一試合終了後、急いで予約していたタクシーの待つ駐車場に。行きと同じ運転手さんの出迎えで次の目的地、幕別町運動公園陸上競技場に向かいます。当初の予定ではキックオフギリギリと思っていたのですが、運転手さん曰く「12時5分くらいに着くとナビは言ってます」とのこと。えっ、そんなに早く着くの?

想定していたタイムテーブル。
20分も短縮できるの?ホント?

半信半疑ながらも、地元のプロフェッショナルにお任せして一路、幕別へ!しばらくは市内を走ったものの、10分もすれば一面広大な畑が広がる北海道らしい風景に。道もほぼ直線で信号もなし。スイスイと走って行きます。道中、運転手さんと「同じ道東でも釧路は大変だよ。漁業がダメ、石炭もダメ、で今度は製紙もダメでしょ。帯広はまだマシだよ」「最近は気温が高い日が増えたから、農作物も徐々に変わってきてる。いもとかはもうちょっと寒いところに移動しつつあるね」などと、北海道の生の情報を教えていただき、実に有意義なひとときを過ごせたうえに、予定よりもかなり早く幕別に到着しました。今まで来たことないとおっしゃっていた幕別の陸上競技場に安全に運んでいただき、TKタクシーさんありがとうございました。

帯広の森から約30分。幕別町運動公園陸上競技場に到着。
クラブチームサッカー選手権in幕別!
実にのどかな陸上競技場でした。
帯広と違い曇りがちなこともあり、やや肌寒かったです

到着時にはほぼ誰もいなかったのですが、開始直前から開始後にパラパラと北海道FORTUNA FCの選手の知り合いや家族が来られて、30〜40人くらいにはなったでしょうか。さっきの試合のようにLEOCの社員応援の方々がいた雰囲気とは違い、これぞクラ選といった感じになりました(笑)

北海道FORTUNA FCはどうやらJリーグを目標にしているらしいのですが、現時点ではとてもそうとは思えないレベルでした。対する FC猛獣王は、個人的には昔からよ〜く見ているチームです。兵庫県リーグに所属。昨年は1部で2位となり、関西リーグ昇格を賭けた関西府県リーグ決勝大会にも出場、惜しくも1次ラウンド敗退となりました。今年も好調で優勝は今年関西から降格したエベイユに決まりましたが、2位は十分狙える位置にいます(追記:投稿時点で2位が確定しました)。神戸のチームということもあり、県リーグに昇格した頃からなんだかんだと見ているチームなので、多少の思い入れもあります。去年の府県決勝についてのお話は、以下のリンクよりご覧ください。

ということで試合ですが、北海道リーグのその下の札幌ブロックリーグのさらに2つ下に所属する北海道FORTUNA FCと兵庫県リーグ1部上位の猛獣王とでは、やはりレベルの差とプレー強度の差は激しく、序盤から猛獣王の猛攻が続きますが集中した守備で守るFORTUNA。そのまま前半が終わると思われたATに猛獣王が佐々木のゴールで先制。前半をリードして終えます。
後半も猛獣王の流れが続き、41分にキーパーはのパックパスをインターセプトした佐々木がキーパーを交わして無人のゴールに流し込み、この日2点目。ずば抜けた得点感覚の持ち主、佐々木の彼らしいゴールでした。

キーパーへのパックパスに寄せる猛獣王9番佐々木。
インターセプトに成功した佐々木はそのままゴールへ…
誰もいない無人のゴール目掛けてシュート。
狙った獲物は逃さない、スナイパーのようなゴールでした。
いや〜、ここまで来て本当によかったです!

48分にPKで1点返され、その後の反撃をキーパー中心にしっかりと凌いだ62分、CKから23番鎌田のゴールで追加点。前半こそはもたついたものの、終わってみれば実力通りの3-1という結果で FC猛獣王が全国大会初勝利を収めました。

47分、北海道FORTUNA FC10番武田がエリア内で倒され…
北海道FORTUNA FCがPKを獲得。
9番按田が落ち着いて決めて1点差に詰め寄ります。
ここから反撃の狼煙といきたいところ…
62分、 FC猛獣王8番越智の蹴ったCKを…
DFの23番鎌田が頭で合わせます。
ボールはキーパーを越えてゴールネットに突き刺さります。
呆然とする北海道FORTUNA FCのDF陣。
終盤でのこの1点が試合を決定づけました。

まずは負けた北海道FORTUNA FC。北海道リーグを仮に1部とすれば、北海道リーグ4部に当たる札幌地区A2リーグに所属するチームですが、実はスポンサーには札幌市内の有名なホテルの名前があったりと、フロント活動はかなり積極的に行なっているようです。大会の登録には間に合ってないですが、札幌U-18から関東の大学に行った選手を補強したりしています。なのでそんなに遠くない将来、今北海道で旋風を巻き起こしているB TOP北海道のような存在になる予感はします。
それと、北海道でこういうチームがようやく出てきたなという印象です。北海道は学校を卒業した後、まだ高いレベルのサッカーを続けていきたくてもプレーするチームがなくて断念する選手が特に多いと思うのです。仮にそういうチームが見つかったとしても、リーグ自体のレベルが相当低いので彼らを満足されられるだけの強度がなく、結局道外に出て行かざるを得ないか、もしくは志半ばでサッカーを断念せざるを得ないのです。
以前ならノルブリッツ北海道というチームもそこそこ強かったですが、今はもうB TOPと北海道十勝スカイアースには到底敵わないまで実力が落ちてしまいました。また、それ以下のチームでは実力的にも論外ですし、それらのチームは地元での先輩後輩といった人同士の繋がりでチームが成り立っていたりするので、いくら同じ北海道民だったとしてもなかなか入っていきづらいのです。なので、今のスカイアースとB TOP北海道の他にもそういうチームが出てくるということは、リーグのレベルもさることながら北海道全体のサッカーのレベルアップにも繋がるはずです。ということもあり、まだまだ時間はかかるでしょうが、徐々にレベルアップを図ってもらって、将来的には道リーグ、いやJFLに上がってきてもらいたいです。

今回の帯広出張のお目当て(笑)である、関西代表の FC猛獣王。このチームはかなり昔から見ているチームです。見始めたのは県リーグに上がってからですが、少なくとも2016年から見ているようです(残っていた写真で判明しました)。もう、なんだかんだで8年くらい見てるんですね…(笑)
私よりも前から見ている知人の話だと、元々は高校の同級生とかそういう繋がりで集まって結成されたチームらしいです。「昔は試合前に円陣なんて組まなかったよ」などと聞いた記憶があります(笑)。それくらい、ある意味「身内だけ」でやってたチームでしたが、県リーグに上がってからは徐々にいろんなメンバーが入ってくるようになり「普通の」街クラブになりました。たしか見始めた(記憶のある)2016年に県の1部に上がってから2部に降格していないことを考えると、なかなか素晴らしい成績ではないかと思います。
さらに昨年には県1部で2位になり、関西リーグ昇格を賭けた関西府県リーグ決勝大会に出場。惜しくも1次ラウンドで敗退したものの、関西に出てもそこそこやれることを証明しました。
そして今年は、とうとう全国大会に出場。初戦突破後はベスト8で四国代表で FC岐阜やカマタマーレなどで活躍した高木和正やレノファ山口や徳島ヴォルティスなどで活躍した島屋八徳などのいるSONIO高松に勝利。さらには、今大会最強と思われた先ほど触れましたONODERA FCにも勝利。決勝では惜しくも中国代表のE-WING出雲に負けましたが、初出場で準優勝は素晴らしい結果だと思います。個人的には、そんな大会を見に行けたことを誇らしく思います。
初戦2ゴールを決めた9番の佐々木は、実はフットサルのデウソン神戸でプレーするプロのフットサルプレイヤーです。また、SONIO高松戦ではPK戦で2本、さらにONODERA FC戦でも決められたら同点というPKをセーブしたキーパーの竹内は、元佐川印刷でプレーしたことのある選手。個々の能力と経験値の高さもこの大会で勝ち上がれた要因の一つかもしれませんね。

前線で鋭い得点感覚を発揮した9番の佐々木。
Fリーグでも活躍する、二刀流です。
若手ながらもゲームキャプテンを任される4番竹中。
サイドからガンガン上がるプレーは攻撃にリズムを与えます。
貴重な3点目を決めたDF23番の鎌田。
この1対1は狙いすぎたのか、枠をとらえられず…
この日は活躍のシーンが少なかったGK竹内。
超ベテランの適切な指示が相手の攻撃を封じ込めていました。
FC猛獣王の監督兼選手の24番羽瀬。
この日も安定したプレーで攻撃をリードしていました。

さらに、この大会にはエントリーされてませんでしたが、FC猛獣王には高校生も選手登録されています。しかも彼は昨年の府県決勝大会にはなんと、中学生ながらスタメンで起用されて、しかも周りと遜色ない落ち着いたプレーを見せていました。今年の県リーグは、後期は出場機会には恵まれめていませんが前期はスタメン出場の試合もありました。十分に計算の立つ、貴重な戦力となっているようです。実に多彩なメンバーがいるチームです。
2年連続での関西リーグへのチャレンジとなる今年。この経験を活かして関西リーグに上がってほしい気もしつつ、でももしそうなったら今の雰囲気から一変してしまうのではないか?と気がしてならないです。県リーグでは日曜日の試合で固定されていたところが、関西リーグだと土曜日にも試合が入る可能性が出てきます。土曜日では試合に出られない選手もいるでしょうし、今は週1回の練習を金曜日の21時から2時間で行なっていますが、土曜日の試合の前日にそれが出来るのかも怪しいです。また、リーグの強豪相手に思うようにプレーができず、それが原因でチームの中で不協和音が起こったりしないだろうか。また、今までと違い掛かる費用もかなり増えてきます。アウェイも県リーグならせいぜい姫路かその先くらいまでだったのが、関西に上がると在籍するチームにもよりますが当然関西全域に拡がります。移動による選手への負担も大きくなります。県リーグから地域リーグに上がるということは、そういうリスクを大いにはらんでいるということです。それてもチームのモットーでもある「大人になってもサッカーを楽しもう」という姿勢を忘れないでいてくれたら、それでいいのかなと…。

もちろん、関西リーグに昇格して定着してもらえるのが一番いいのかもしれませんが、逆に今のままでも何の問題もないし、今の雰囲気が保てないのなら無理に関西に上がる必要もないのかもしれません。これは、なんとなくでも長い間見ているからこそ感じる、ある種のジレンマなのかもしれません。そういうジレンマを感じるのも、兵庫県リーグから関西リーグに昇格して、今はもう解散してしまったFC EASY02明石のケースを見ているからかもしれません。

FC EASY02明石は2017年に関西リーグに昇格した後、リーグに定着するにつれて年々チームの運営が苦しくなりましま。そして、その苦しい財政難の真っ只中でFC淡路島との合併話が持ち上がり、チーム名こと残ったものの、FC淡路島に半ば乗っ取られるような形での合併が行われました。そして最終的には岡崎慎司がオーナーを務めるクラブへの譲渡という形で、チームが消滅しました。しかもFC EASY02明石とFC淡路島との合併の際に、FC EASY02明石に合流しなかった選手たちは新たにFC AWJを立ち上げ(登録上はFC淡路島を引き継ぐ形となりました)今も関西リーグに所属しています。そしてその翌年にはFC EASY02明石はチーム名を新たにFC BASARAHYOGOと改め、最後まで残ったEASY02明石からの選手は完全にチームから離れ、新たにチームを立ち上げることなくそのままバラバラになりました。
そういった悲惨な現実をついこのあいだ経験した身としては、同じことを繰り返してはいけないと思うのです。
さらに遡れば、同じように兵庫県リーグから関西リーグに昇格した龍野FCは2年在籍したのち、兵庫県リーグに降格。その後しばらく1部にいましたが、徐々にメンバーが集まりにくくなり県リーグの2部から、姫路市リーグとのリーグ再編で新設された両リーグのトップリーグとなるWEST HARIMAリーグに降格。それでも県リーグ復帰を目指し、上位に入った年もありましたが、今年とうとうそこでも最下位となり、かつていた関西リーグの2部から見ると4ランク降格となってしまいました。関西リーグに昇格したため財政的に苦しくなり、多数のスポンサーを獲得したものの、成績が伴わないままに県リーグに降格。一度大きくしてしまったクラブを元のコンパクトな形に戻そうとしたものの、今度は選手が集まらなくなるという悪循環を辿り、今に至ったのではないかと思われます。
都道府県リーグから地域リーグに上がると、かかる費用は軽く一桁は増えると聞きます。今まではなんとかなっていたとしても、関西リーグに上がると間違いなくお金の問題が発生するでしょう。一度大きくしようとたくさんのスポンサーを集めてしまうと、今度はそのスポンサーが時に足枷となって、柔軟なクラブ運営の妨げとなってしまうこどもあるでしょう。そんなクラブを目の当たりにすると関西リーグに昇格するのも、もしかすると手放しでは喜べないことなのかもしれません。
もちろん選手やスタッフは一つでも上のリーグに行きたい、高いレベルでサッカーをやりたいという思いが強いでしょう。その思いが現実になるに越したことはないです。ただその裏には、そのようなリスクも含んでいるということを知っておくことは重要ではないでしょうか。
兵庫県リーグは昨年のエベイユFC、ディオス1995に続き、今年も関西リーグからの降格が決まっています。11年間関西リーグに在籍していた高砂ミネイロです。龍野FCとは違いメンバーが集まらなくなって、チームの規模やレベルがどんどん劣化していくということはないとは思いますが、それでも今後どうなるかは分からないです。はたしてどうなるのでしょうか…

兵庫県リーグから関西リーグに昇格し、そして再び兵庫県リーグに戻ってきたこれらのチーム。龍野FCは1974年、ディオス1995はチーム名が示すように1995年に、今年降格の決まった高砂ミネイロは2000年、そしてエベイユFCは2004年の創設。もっと言えば、一度兵庫県リーグに降格しながら再び関西リーグに戻った神戸FC1970はもっと古い1970年の創設です。そして、これらのチームのほとんどは、育成年代のスクールやチームを運営している、それなりの規模のクラブです。それに比べてFC猛獣王の創設年は分かりませんが、少なくともエベイユよりも新しいと思われますし、育成年代のスクールなどもやってません。モットー通り「大人のためのサッカークラブ」なのです。育成も行うクラブも重要ですが、あくまでもプレイヤーファーストのクラブの存在も同じくらい重要なのです。その軸さえブレなければ、関西リーグにいようと県リーグに止まろうとどこだって構わないです。楽しそうにサッカーを続けることが重要。そんなことを遠い北の大地、帯広で改めて思ったのでした…

最後に、今回の出張の振り返りを…(笑)
帯広と幕別。広い十勝地域のほんのわずかのエリアを短時間で駆け抜けた今回。公共交通機関が使いにくい北海道では、タクシーを上手く使うのが重要。ということで、今回はタクシーをフルに活用させてもらいました。使ったお金は以上!これくらいなら、まあまだ許容範囲ですよね(笑)

左が帯広駅→帯広の森。右が帯広の森→幕別陸上。
今回は「札束の暴力」を行使しました(笑)

帰りは幕別からバスで帯広市内へ。15時過ぎの気温は20℃を超えてました。帰りの飛行機までの時間、少しだけ市内を歩いてみました。駅前にあった長崎屋はこの7月に閉店。残された建物もおそらく近々解体されるのでしょう、テナントとして残っていた地元スーパーのフクハラはなんと、この日の18時で完全閉店とのこと。スカスカの店内の棚からじゃがいも焼酎をお土産に買ってみました。六花亭本店近くのデパートもすでに閉店。店内を改装して、早ければ2年後の再開店を目指しているようですが、釧路より人口減少の幅は小さいとはいうものの、街の冷え込み自体は実はそんなに差がないのかもしれませんね。
しっかりと帯広名物の豚丼も食べたので、駆け足ではありますが、帯広を後にしたいと思います。また来たいですね…

そしてこの日の観戦をもって、北海もの全エリエリア(道北、道東、道央、札幌、道南)でのサッカー観戦を達成しました。これもひとえにみなさまのおかげです…(笑)

試合終了後、急いで幕別駅に向かう。
ギリギリのところで帯広行きのバスに乗り込む。
帯広駅前の帯広バスターミナル。
戻る頃には21℃まで上がっていました。
帯広を中心に道東で展開するスーパーのフクハラ。
長崎屋の閉店後に入ったが、近年は業績が伸びず、
建物自体の完全閉店の前に撤退となりました。
今年1月末に閉店した百貨店の藤丸。
屋号を新会社が引き継ぎ、2025年秋の開店を目指すとのこと。
ちょっとだけ明るい話題ですね…
夕方の帯広駅前。気温も20℃を切り、さすがに冷えてきました
帯広名物といえば、やはり豚丼ですね…
帯広駅構内にあったよつ葉乳業の自販機。
バスターミナルで購入した空港バスの切符は硬券でした…

追記
クラブチームサッカー選手権大会は、全試合女性の審判が主審を務める大会として知られています。以前の大会もそうでしたが、今大会で見た試合もジャッジに関しても特に何の問題もなく、実に滞りなく試合が展開されていました。審判の世界では男女のレベル差はそんなにないのかもしれませんね。

男子選手の中、堂々とジャッジをする女性主審。
審判もさらなるレベルアップが求められる昨今、
この経験を活かして、今後の活躍を期待しています。

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