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【詩】ハスキー

小学生の頃、迷子のハスキー犬を拾った
痩せ細っていて、濁った瞳には
暗いブルーが宿っていた
そいつは土手にぽつんと立っていて
こっちにおいでと呼んでみると
家まで大人しくついてきた
ハスキー犬を従えて歩くと
自分が強くなったような気分になった
ハイウェイ・チルドレンの花が咲いて
太陽は冬の化粧をしていた
餌を与えると行儀悪く食べた
大きな犬の頭を撫でたの初めてで
目を覗き込むとだいぶ老いていることに気づいた
それから2~3日、飼い主を探して
探偵のように町を彷徨った
無事に見つかったけど
僕はハスキー犬と仲良くなったから
別れるのが悲しかった
こっそり「アクセル」という名前もつけたのに
飼い主に話を聞くと
よく小屋を脱走するんだって言ってた
タフにならなきゃ全部が嘘になる世の中
精神病で引きこもったまま
何歳になっても逃げている僕は
あのハスキー犬のように
鎖を噛みちぎり、柵を飛び越えて
保健所の車にびびりながら旅をする
勇気が残っているだろうか?
体や心が求める自由とはどこにあるのか

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