自分の仕事その1

「自転車」をテーマに様々な仕事をさせていただいてます。そんなお仕事をちょっと紹介していきたいと思います。

まずは、自転車に関わるメーカーでの仕事。宝商株式会社が販売する「エバーズ」の製品アドバイザーをしています。

友人の紹介で、2013年のサイクルモードでお仕事をさせていただいたのがきっかけで2014年から正式契約となり、現在に至ります。

仕事の内容としては、製品の開発、プロモーションなど。

https://youtu.be/CPoqSde9wD0

上記のような動画を撮影したり、展示会での実演などを担当します。


潤滑剤であるチェーンオイル一つでも、そこには奥が深い世界が広がっています。金属同士の磨耗を防ぎ、駆動ロスを減らすために潤滑してるわけですが、その潤滑にも主に三つの領域があり、流体潤滑領域、混合潤滑領域、境界潤滑領域があります。

わかりやすく船に例えると、浅瀬で船を進ませると、船が軽いうちは船がしっかり水面に浮いて、海底と接することはありません。これはチェーンでいうとプレート間にしっかりオイルが侵入し、金属同士の接触がない状態、理想の状態と言えます。これが流体潤滑領域。

船が重くなっていくと、徐々に沈んでいき、海底と少し接触してしまいます。これが混合潤滑領域で、ここから磨耗が始まり、駆動ロスも徐々にですが増えていきます。

さらに重くなると船底と海底が接触して、ガリガリと底を削ってしまう状態になります、これが境界潤滑領域で、そもそもオイルが完全に落ちて赤茶け錆びてしまったチェーンでギコギコ漕いでる自転車はこの領域で走ってることになります。

シティーサイクル用製品ですと、日常の使用がメインになりますので、境界潤滑領域に入らないようにすれば良いわけです。海の深さを調整したり(チェーンに含むオイル量)、海水の粘度(チェーンオイルの粘度)、そして海水が乾きにくい(粘着性)製品を作るイメージです。

しかし、競技用の製品はそれで十分ではないです。できるだけ駆動ロスを減らすのであれば、上記ストライベック曲線の流体と混合潤滑領域周辺が抵抗が少ない値になります。ですので、チェーンオイルは漕ぎ手のトルクや回転数で最適なものは変わってくるわけです。簡単な例えですが、粘度が高いオイルはトルク型のライダーにとって境界潤滑領域に入ることを防いでくれ駆動ロスは少ないですが、ケイデンス重視のトルクをかけないライダーにとってはその粘度がロスになります。

そして開発を複雑化させる要因としては、踏む力がかかったチェーン(自転車を横から見て上のチェーン)と後部変速器(リアディレーラー)のテンションがかかったチェーン(横から見て下)が存在することです。上のチェーンはテンションが高く、下は比較的緩いです。上でテンションがかかり、チェーンのコマの中からオイルが表面に出てしまいます、それが下だと緩み、はみ出したオイルは再びコマの中に戻るイメージなのですが、粘度が高いだけのオイルですと戻りが遅かったり、粘度が低いと飛散したりします。

この先は、将来有料版の記事を書くようになった時のためにとっておきます。エバーズの製品を使用中の方に一つアドバイスをするとすれば、チェーンオイルを塗布するのは、サイクリングの前夜がベストで、さらに塗布してすぐに余分な油を拭き取らないこと。これは、チェーンの有効成分を効率よく、しみ込ませるために添加剤も多く含まれます。すぐに拭き取ると有効成分と添加剤を一緒に拭き取ってしまうことになります。添加剤は揮発性ですので、そこからさらに添加剤分が抜け落ち、少ない有効成分がチェーンに残ることになります。ですので、チェーンにオイルを塗布→一晩おいて添加剤を揮発させる→残ってる有効成分の余剰を拭き取り最適なオイル量にする。これで、チェーンオイルの耐久性も上がるはずです。

さて、今後の仕事としては、この春から、エバーズの開発で培った、チェーンの駆動ロスを減らす潤滑性や自転車のコーティング(ワックスなど)で培ったプロテクション性を生かした、靴擦れしないスプレーを販売予定です。自分も試しましたが、かかとがツルツルにコーティングされます!

と、上記のような感じで、自転車に役立つ製品やその開発で培ったノウハウで、より良い製品をリリースしていくお手伝いをしていきたいと思ってます。

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