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お仕事その2、ヨネックス株式会社

2つ目のお仕事、ヨネックス株式会社です。

きっかけは2013年の年末に発表された一枚のプレスリリース。
スポーツ用品メーカーの「ヨネックス」が、ロードバイクに参入。年明けから販売を開始します。というもの。2013年前半はアメリカで活動しており、後半は国内コンチネンタルチームでUCIや国内レースに参加していたが、翌年は不透明だった自分に何かが響いた。

プレスリリースに書いてあるお客様相談室に早速連絡して、担当者を紹介してもらう。そこから契約の話になり、2014年から現在までアドバイザリースタッフとして活動している。

業務内容は、製品のプロモーション、試乗会のアテンドなどももちろんだが、自転車ショップ時代の経験を生かして試乗車の組み立てなどを行う時もある。新製品開発時には、これまでの知識を生かし開発エンジニアに意見する。
アジアツアー時代には台湾に住んで、フレームメーカーやホイールメーカーのテストもしていた。写真はその時の一枚。これは後々、ノーマルシートポスト型になり市販されたが、開発当初はインテグラル仕様だった。

フレームの開発は奥が深い。まずは自転車を速く走らせるための理論、身体が感じるフィーリング、他のユーザーの意見など様々なものを集約して進められる。自分自身も、最初は戸惑うことが多かった。
例えば、「BB周辺を固く」というリクエスト。真っ先に返ってきたのは「BBを固くしてもそれを固持してる場所が弱ければ固くはならない。」
確かにそうだ。全てを見渡す余裕と、頭の柔らかさが必要だ。

上記リンクのようなことを考える毎日を送ってる。

思えば、中高生時代から「童夢の野望」や「グランツーリスモ」などには夢中になっていた。「童夢の野望」は童夢F1を鈴鹿で走らせ基準タイムをクリアするというゲーム、車体の形状、ローノーズかハイノーズ(車体下面を通す空気量に関係し、グランドエフェクトに関係する)かや、カーボンを重ねる方向(これでサスセッティングのダイレクト感やクラッシュテストに合格するかが決まる)、スプリング、プリロード、ダンパー、バンプラバーなどなど様々なセッティングを調整し、タイムトライアルをする。このゲームに熱中する中学生っておそらくマニアだと思う。

あと、グランツーリスモ。これはただ単に速い車ではなく、ランダムに車とサーキットを選び、その車、そのサーキットで一番速く走るセッティングと走り方を日々研究してた。あの時代にオンラインゲームがあったら自転車選手になってなかったかもしれない笑

と、こんな感じで少年時代から熱中してることに似たようなことを仕事にできてるので幸せだと思う。そしてヨネックスのエンジニアも学生時代に似たようなことをしてたらしい笑、こんな感じで開発現場である新潟工場には、年は離れてるけど話しやすい先輩や同年代のエンジニアもいるので非常に心強い。

製品はヨネックス独自の技術で作られ、いたるところに他の自転車には使われてない技術が使われている。今でもよく聞かれる素材のひとつがゴムメタル。

特徴は復元性が高い素材で、その復元時にエネルギーロスが少ない。カーボネックスのしなやかであり、良く進むというフィーリングはこの素材の効果も関係している。

写真のように、ダウンチューブを紙やすりなどで削っていくと、針金のような金属が出てくる、これがゴムメタル。

ロードバイク開発は、サスペンションなどはないが、フレーム内部に様々な工夫をすることによって、「速く走る」ことができる乗り物に近づけるよう進められている。良いもの作りに少しでも貢献していきたい。

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