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立派なエゾジカが湯治に来ていた芽登温泉

今日はどこにお泊りですか?
阿寒湖のアイヌコタンのショップのオーナーの質問だ。
芽登温泉です。というと、
おおおおお、おおおおお!秘湯ですよ、よく見つけましたね!と、なんだか急速にフレンドリーになってくる。
日本秘湯を守る会の・・・と言いかけると、ああ、ああ、入ってますよね。入ってます!と嬉しそうにのたまう。
いやあ、あそこは良い湯ですよ、そうなんです、そうなんです。
行かれるなら、最後舗装していない道を何キロか走りますよ・・・と。そんでもって、あそこは、シマフクロウにも逢えるやもしれません。川の魚を捕りにやってくるのです!しかもしかも・・・。
彼の目は、もう立派に自称、芽登温泉を宣伝する会会長の眼差しであった。
北海道に来て、いろんな温泉に入ったが、宿泊したのは、秘湯ではなく全て街中のホテルであった。
ある意味、今回、6泊7日の北海道ツアーのメインイベントがまさに今日始まろうとしているのだ。
ワクワクドキドキしながらひた走る。足寄町を通過する。足寄と言えば、松山千春だよねとかなんとか言いながどんどんワシワシと進んで行く。

芽登温泉の看板を見つけ、国道(県道?)を外れ、林道に入って行く。とは言ってもさほぼ悪路ではない。
悪路といえば、十津川温泉に行ったときの、龍神温泉に抜ける時の悪路はひどかった。その話はまた別の機会に書くとする。
林道途中でエゾジカのファミリーに出くわす。エゾジカは、1頭飛び出すと、必ず次もくるから気をつけて。という会長の話を思い出す。

お母さんかもしれないね。

お父さんシカが長い首を向けて様子を伺う。後ろにはエゾシカファミリーたちが、同じようにこちらを眺めている。「お前らなにしに来たのかね、ここはウチらのナワバリなんだよな。はよ、どっか行けよね」というエゾジカ語が脳内に伝わってくる。ハイハイ、お邪魔しましたと挨拶しながら車を走らせる。しばらくすると、宿についた。川沿いに建つ木造2階建のお宿である。

いつまでも残って欲しい芽登温泉


車は3台ほど止まっている。日帰り入浴も受付ているようだ。

チェックイン。ギシギシと階段を上った2階の部屋が我々の部屋だ。Wi-Fiが入ると案内に書いてあったが、全く入らなかった。そらそうだろう。

さっそくお風呂お風呂。
案内によると、脱衣所→内湯→露天→混浴露天風呂となっているらしい。混浴露天に入るには、宿指定の湯浴みを借りなければならない(日帰り入浴者は有料、宿泊者は無料)。
明るいうちに露天に入ろう!というツレとの戦略のもと、興味深い内湯、露天をすっ飛ばして混浴露天に向かう。
我々、探泉団が今回驚いたのは北海道の日没はすこぶる早いと言うことである。16時には暗くなることを学習したのである。ましてや山の中の谷あい。もっと早く暗くなるかもしれぬ。急げや急げ。

混浴露天風呂

湯浴みをつけて、一目散に混浴露天へ。そこには、すでに50歳だと思しき1組のカップルが。混浴は承知だし、湯浴みつけてるし気にせずワシワシと入ってゆくと、その女性がアララという表情で退出してゆく。なんだか悪いことしている感じだ。
しばらくして、うちのツレは女性湯入り口からハローと入ってくると、残っていた片割れの男性が、「すみません、すみません」と慌てて退出してゆく。こうなると、完全、私は空気を読まぬ、うざいおっさんとなってしまうのだ。
混浴露天風呂って貸切露天ではないだろう!とため息をつきつつ、すぐ側を流れる川を眺めると、立派なツノを蓄えたエゾジカが川の真ん中で佇んでいる。

よく見ると、その付近からは、もうもうと湯気が立ち上り、温泉が自噴しているのがわかる。そうなのか、そうなのだ、あそこは、エゾジカ様の湯治場なのだと俄然嬉しくなり、あらてめて秘湯に来たことを実感する。

その後、なんども入浴するが、私は露天より内湯が好きで、贅沢にかけ流される熱湯で英気を養うのであった。
もちろん、露天も全て源泉掛け流しで、加温加水なし、消毒なしの純温泉なの

小さいのが熱湯、大きいのがぬる湯

だが、私は囲まれた内湯が好きだ。
そのお湯は単純泉のすっきりしたお湯だが、エゾジカ様の湯治場であることに加えて、シマフクロウが飛んでくるやもしれない期待感、Wi-Fiがルーターの真下でも全く入らない秘境度合いマシマシで、北海道最後の夜を満足一色で締めくくったのであった。

夕食には、毛ガニに黒毛和牛のしゃぶしゃぶ。これでこのお値段は破格。もちろん旅行支援など無縁のお宿だ。北海道で、のんびりいいお湯を楽しみたいには、ぜひおすすめしたい。

毛ガニは甘かった
黒毛和牛のジャブシャブも満足

このお宿には、たくさんんウンチクありますが、素人温泉探泉隊シニア部においては、このくらいで許してもらわねばならないのだ。
成分がどう、湯質がどう、このお宿(温泉)の歴史はどう、などは若いもんに任せて、うちらはケサラケサ。単純に楽しかった。また行きたい。

芽登温泉

温泉分析書

この情報は2022.11.12現在の情報です。

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