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【ドラマ「大奥」感想第5回】玉栄の闇落ち―被害者が加害者に転じるとき―

「大奥」第5回は、前半が家光・有功編がラストに向かっていき、後半が綱吉編の始まりとなります。

そういう構成なので、際立つのが玉栄(お玉の方、後の桂昌院)の闇落ちです。
家光編では有功に忠実な部屋子であり、有功に頼まれれば「有功の名代」として女家光の側室となって子ども(後の綱吉)を作る。
綱吉編では将軍の父として大奥で絶大な権力を握り、出家しているにもかかわらず女側用人・柳沢吉保と関係する。欲望の塊となり、綱吉にもっと子どもを産めとうるさく言う。

同じ回の前半と後半で同一人物と思えない闇落ちぶりではあります。
でも、玉栄の場合、大奥で有功を殺そうとした他の側室候補を陥れたり、そのために猫を殺したりしているので、闇落ちのフラグは今までも見えてはいました。家光編では有功のために悪事に手を染めたのですが、綱吉編では完全に自分の権力欲が動機となっています。春日局も大奥で酷いことを繰り返しましたが、「戦乱の世に戻さない」という信念が強くありました。そういう世の中を見据えた動機ですらないので、救いがない。

玉栄は、「大奥」初期では被害者ポジションでした。
有功に付いていったら共に大奥に閉じ込められ、そこでの生活を余儀なくされました。他の側室候補からは嫌がらせをされ(性暴力まで受け)、その加害者を後に陥れて切腹に追いやります。

家光編では有功が「ここは、修羅道やな。因果が巡り、絡まり…」と呟くシーンがあるのですが、それを傍で聞いていたのは後に闇落ちし、大奥で加害者となっていく玉栄。原作を読んで玉栄の闇落ちを知っていたので、まさに玉栄が加害者ポジションになる「修羅道」「因果」に震えました。

第5回の綱吉編は、玉栄だけでなく、綱吉、吉保もかなりサイコパスな言動が見られます。そこに側室候補として京都から呼び寄せられた右衛門佐が登場しますが、右衛門佐も「曲者」として描かれます。

それぞれがそうなってしまった背景がこれから描かれるはずなので、そこを楽しみにしています。
原作では、玉栄がここまでひどく闇落ちしたプロセスがそんなに描かれていないんだけど、森下脚本ではどうするのかな・・・。

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