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第910回 野鳥の睡眠

①https://illustrain.com/?p=30523より引用の野鳥の睡眠のイラスト

   人でも哺乳類でも鳥類でもあらゆる生き物は睡眠を取ることによって脳の神経回路を維持する一つの方法として進化してきました。大きな脳と内温性代謝は、複雑な睡眠パターンと共に進化します。私たちの睡眠中には、ゆっくり脳波が見られる時期と、目玉が動き覚醒脳波が見られる時期とに分かれ、これは哺乳類と鳥類の特徴で、爬虫類にはこのような二相の睡眠はありません。鳥は早寝早起きといいますが、早寝の鳥ほど遅く起きます。オスは早起きで、夕方遅くまで活動します。

②https://pixta.jp/tags/早寝早起き?search_type=2わぁより引用のイラスト

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   野鳥の夜の睡眠時間は昼行性の鳥が、60~80%で、夜行性の鳥は30~50%と言われています。一番睡眠時間が短いホシムクドリの睡眠時間は一日45分です。セグロカモメは5時間ですが、常に警戒し、一分以上目を閉じていることはありません。哺乳類や鳥類は進化の過程で大脳を発達させたままのレム睡眠だけでは充分な休息を得ることができず、新たにノンレム睡眠が備わりました。野鳥の⑴ノンレム睡眠と、⑵レム睡眠の睡眠時間の割合は⑴36.6%  ⑵2.3%で一回の持続時間は⑴144秒  ⑵9秒と言われています。レム睡眠が少ないのが鳥の特徴で、睡眠は短くてすぐ途切れます。育つ課程の中でヒナはレム睡眠が長いです。

③https://style.nikkei.com/article/DGXMZO11127060X21C16A2000000/より引用の「半球睡眠」のイラスト 

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   多くの鳥は、眠ったまま単純な泳ぎや、渡りのときの飛行のように反射的運動を持続できます。この場合の眠りは、筋肉の緊張を失わないノンレム睡眠です。カモでは川でも寝ながら脚を動かし、あまり流されません。こんな日常的な動作は、脳を覚醒させておかなくても、反射的に行えます。
時には「半球睡眠」で左右の脳を交互に眠らせながら飛行を続けたり、外敵を警戒したりします。    ※半球睡眠→左右の脳半球を交互に眠らせる睡眠のことを言います。多くの種で観察されていて、この時は片目を閉じています。カモメアホウドリでは飛びながらでも行うノンレム睡眠です。

④https://www.istockphoto.com/jp/ベクター/緑色の鳥の高速飛行-gm1125548634-295930716

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   また鳥類には日内休眠(デイリー・トーパー)というものがあり、ハチドリのような小型の鳥は体表面積が相対的に大きいため、エネルギーの損失が大変大きくなるため、睡眠時に高い体温を保持するのはエネルギーの無駄であるので危険(放出熱が大)なので、睡眠時に体温を下げます。休眠の際、代謝率が50分の1まで下がります。ハトのような比較的に大きい鳥でも、絶食状態の時はエネルギー消費を抑えるため、夜間の睡眠時には体温を7~8度低下させることがあります。レーダーを使った追跡でアマツバメは、一晩中飛行を続けている夜間飛行が知られています。

⑤https://hiyokoyarou.com/makura/より引用の鳥の寝相のイラスト

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野鳥の寝相というか、眠る形態はメグロは毎日同じ枝に止まって眠り、エナガオナガは昼夜とも同一集団で過ごします。体をくっつけ(接触就眠)て寝るのは、メジロメグロエナガなどの小鳥に多く、体温の保持に役立つからです。また体をくっつけないのは、ハクセキレイスズメムクドリ、カラスなどです。睡眠でもキツツキやキバシリは木の幹に垂直に止まります。サトウチョウ
樹上で逆さにぶらさがります。セグロアジサシ
コアホウドリアマツバメは飛びながら寝ます。

⑥https://twitter.com/ht27th/status/889126032522989568より引用の鳥の寝方の色々。

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   野鳥にも寝癖があって、頸(首)の短い鳥は、覚醒時と同じように、正面を向いたまま眠る前型で、フクロウなどはクチバシを前に出し、頸をすくめた姿勢で眠ります。頭を後に回転させクチバシを背中に乗せたり、羽毛の中に差し込む後型はハトカイツブリ、チドリの一部、コウノトリや多くの鳥で、クチバシを背中の羽に隠すのは、クチバシには羽毛が無く熱が奪われてしまうからです。夜間飛行で睡眠が確認され、通常体温41度が18~19度に低下します。ある種のハチドリは毎夜、外温と同じ位まで体温を下げて冬眠状態になります。


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