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妻も知らない、夫がアメリカンなハンバーガーを好きになった理由

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夫はアメリカンなハンバーガーが好きだ。

夫婦で外食する時も、KUA'AINAを見つけると目をランランとさせて無言のまま私を見つめてくる(無言の圧がすごい)

夫がこんなにハンバーガーを好きになったのには、キッカケがある。

結婚する前のこと。二人でハードロックカフェに行った時、夫は生まれてはじめてアメリカンな、口いっぱいに頬張るタイプのハンバーガーを食べた。

マクドナルドとモスバーガーしか食べたことのなかった夫には、衝撃的だったらしい。


たしか、それがキッカケで夫はアメリカンなハンバーガーを愛好するようになったはずだ。記憶を補強するため、夫に聞いてみた。

「ハードロックカフェのハンバーガーを初めて食べたときのこと、覚えてる?」

「覚えてる、忘れられないよ。あの時は申し訳ないことしたね」

この話をすると、夫は決まって少ししょぼんとする。


なぜなら、二人でハードロックカフェへ行ったあの日、
夫は待ち合わせに 2時間 遅刻してきた。


携帯電話を持っていたが、連絡はつながらなかった。
私は友達が少ない人間なので、誰かと待ち合わせして外出する経験がほぼ無かったため、こんな時にどうすれば良いのか分からず待ち続けていた。
(今なら「先に行くねー」とLINEの一本も入れて、勝手にどこかへ行くことだろう)

夫はバイトが多忙で睡眠不足だったらしく、電車の中で寝こけてしまい

目的の駅を通過して終着駅まで▶目を覚まして反対行きの電車に飛び乗る▶また眠ってしまい、目的の駅を通過して終着駅まで▶目を覚まして反対行きの電車に乗る▶やっと目的の駅で降りる

という、長旅を経て到着したらしい。


夫が到着した時、私は烈火のごとく怒っていた。
でも、デートを楽しみにしていたため、そのまま帰宅する気持ちになれず、怒りつつも食事へ行こう!!という運びになり、選んだお店がハードロックカフェだったのだ。

だから、ハードロックカフェの記憶は、二人の若くて青い時代の思い出と結びついていて、なんとも言えないかけがえの無いものになっている。

ただ、残念ながら二人で行ったハードロックカフェは、このコロナ禍の影響で閉店してしまい、いまやお店は二人の記憶の中にしかない。


「それにしても、そんなに美味しかった?ハードロックカフェのハンバーガー」

「美味しかった。あと、怒っていた君がご飯を食べ始めたら、だんだん機嫌がよくなっていったんだよね。だから、好きになったのかも。ハードロックカフェのハンバーガー」

なんと。知らなかった。私の機嫌込みで夫がアメリカンなハンバーガーを好きになったとは。

確かに私は、とにかく美味しいものが大好きで、美味しいものを食べさせておけば機嫌が良くなる、そういう幸せな性格の持ち主なのだ。

長く一緒に暮らしていても、同じ体験を共有していても、知らないことはまだまだあるんだなぁ。

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