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ブログ:http://hiiragi-note.com/ インスタ:hiiragi0218 読書感想文が中心。

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【読書】『昨日までの世界』[下]⑧【宗教の役割】

「それって本当に宗教?」 と疑問に抱く事件やニュースは枚挙にいとまがないが、現代社会のみならず、過去の歴史を鑑みても同様である。  宗教は信者に、大なり小なり、時間と資源の投下を求める。経済学の言葉を使えば、機会費用を奪っている―――――他のことに使える時間とエネルギーを奪っている。  だからといって、宗教が無くなるか、滅びるか、と言われると、そんなことはないだろう。  いつの時代でも、どこの社会でも宗教やそれに類似するものは存在する。宗教が存在し続けてきたということは、宗教

    • 【旅行】上賀茂神社【散策スポットなのです】

       所要につき大阪へ。  と、その前に京都に立ち寄るのがいつもの旅程。  『上賀茂神社』に行った記憶がなかったので、立ち寄りました。  あいにくの曇り空。  それに季節もズレていたので、映える写真が撮れなかったのが無念なところ。  とはいっても、散策するには素敵なところでした。 上賀茂御園橋 駅前のコインロッカーがいっぱいだったので、いったんホテルに立ち寄り、手荷物を預けてからの移動になりました。  ホテルから移動するルートを検索したところ、バス停「上賀茂御園橋」に出たほうが

      • 【読書】『昨日までの世界』[下]⑦【危険とリスク対策】

         クン族のコマという男とは、自分の狩りの獲物に群がるライオンやハイエナたちを平気で追い払える男でもある。しかし、車が走る道路を横断する際には恐怖に震える。  ニューギニアのザビーネは、野生の豚やワニを目にしたときでも、身の危険を冷静に判断できる男である。しかし車が走る道路の場合は、コマと同様である。  どの社会においても危険と無縁ではないが、社会ごとに特異な危険が異なる。  平均寿命の差から判断して、伝統的社会よりも現代社会のほうが危険度が低いと言えないこともない。  定住

        • 【読書】『昨日までの世界』[下]⑥【建設的なパラノイア(被害妄想)】

          事故は、いずれ起こる ジャレド・ダイヤモンドさんがニューギニアの密林でフィールドワークをしていた時の話だ。  ニューギニア人たちは、枯れた巨木の下で寝て、一晩過ごすことを極度に怖れていた。  巨木が倒れてきて自分たちが下敷きになるかもしれない、と。  はじめのうちは、彼らの怖がりようは大げさで、ほとんど被害妄想だと思っていたそうだ。  しかし、その後、数カ月つづいたニューギニアの森での観察活動のあいだ、木が倒れる音を耳にしない日は、一日としてなかったそうである。  ジャレド

        【読書】『昨日までの世界』[下]⑧【宗教の役割】

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          【読書】『昨日までの世界』[上]⑤【高齢者への対応】

           社会が高齢者をどのように処遇しているか?  子育て同様、高齢者の処遇は、現代社会においてもバリエーションがある。  しかし、伝統的社会のあいだにみられるバリエーションは、現代社会よりもはるかに幅が広く多岐にわたる。  高齢者の世話は理想として、如何にあるべきか、誰が担うべきかは、ナイーブな問いかけである。  ナイーブな問いかけになってしまう最大の理由は、我々もいずれ高齢者になる、ということである。  我々が親の世代をどう処遇してきたか。それを子どもの世代が見ている。それが自

          【読書】『昨日までの世界』[上]⑤【高齢者への対応】

          【読書】『愛着障害』【愛着は人間関係の土台なのです】

           キッカケは『カサンドラ症候群』を読んだこと。  「愛着障害」に興味をもったしだい。  人間が幸福に生きていくうえで、もっとも大切なものは、安定した愛着である。  愛着の問題は親子関係を直撃しやすい。  とはいえ、問題のなる親に育てられながらも、立派に育った人の例は本書にも登場する。ほかの本にも例がある。  進学、就職、パートナーとの出会い。そのどれもが「愛着障害」の克服につながる。  しかし、裏を返せば、どれもが「愛着障害」のキッカケにもつながるのではないだろうか?  

          【読書】『愛着障害』【愛着は人間関係の土台なのです】

          【読書】『カサンドラ症候群』【犯人捜しより原因探し】

           いくら伝えようとしても伝わらない、という喩えに、カサンドラが使われる。  共感性や応答性に欠けた夫と暮らす苦痛をわかってもらおうとしても、常識的な人ほどその苦しみがわからない。  夫の共感性に問題があるため、妻にうつやストレス性の心身の障害を呈するに至ったものを「カサンドラ症候群」と呼ぶ。  かつては、妻のほうに問題を押し付けられることがしばしばで「ヒステリー」と呼ばれたりした。  原因は夫の共感性の乏しさにあるということが、最初に指摘されたのはわずか30年前の1988年

          【読書】『カサンドラ症候群』【犯人捜しより原因探し】

          【読書】『昨日までの世界』(上)②【トラブル解決の比較と考察】

           パプアニューギニアで発生した交通事故である。  ミニバスの後方から飛び出したビリー少年が、マロという男の運転する車にはねられた、というものである。  なお、マロは地元の会社に雇われていたドライバーである。  この事故は、ヤギーンという人物が仲介して、被害者と加害者の間に立って交渉した。  五日後に、マロの上司ギデオンがビリー少年の遺族のもとに訪問し、謝罪の言葉を述べ、食料を贈り、遺族とともに悲しみを共有する儀式を行うことで、和解している。  ちなみに、ニューギニア政府の対応

          【読書】『昨日までの世界』(上)②【トラブル解決の比較と考察】

          【読書】『昨日までの世界』[上]①【交易の目的】

           本書は、伝統的社会と現代社会を比較考察し、そこから判明する叡智を、日常生活や政策に反映させようと試みている。  ただし、いたずらに伝統的社会をユートピアと考えているわけではない。現代社会ではありえないような危険や不幸が含まれている。それに気づけば、現代社会の優れた点を、改めて理解できる。  しかし、だからといって、伝統的社会がディストピアだと決めつけるわけでもない。忘れ去ったものや、打ち捨ててしまったものを、再度、現代社会に取り入れたほうが良いと思われるものもあるからだ。

          【読書】『昨日までの世界』[上]①【交易の目的】

          【読書】『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』

           本書は、ストレスに対する思い込みを変え、上手に付き合う方法を提示している。  なにより、ストレスとうまく付き合っていくためには、科学的な知識があったほうがいい。  理由の一つは、人間の性質に関する研究は、自分自身や大切な人たちに対する理解を深めるための、良い機会になるから。  二つ目は、ストレスの科学は驚くべき発見があるからだ。  「なぜそうなのか?」という科学的根拠を理解できれば、学んだ方法を身につけることができる。 ストレスに対する考え方を変えるそれ「ストレス」ではな

          【読書】『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』

          【読書】『改革の不条理』【制度と人間を活用する】

          本書で取り上げる「改革の不条理」は多方面にわたる。  しかし、主語を変えたり、商品・製品・サービスを変えてたりしてみても、現在進行形で通用してしまう―――――「問題」が変わっていないのだ。  それはなぜか?  失敗したり、不祥事を起こしたり―――――それはもちろん悪いことなのだが―――――非難を繰り返すだけでは、問題が解決しないからだ。  問題を解決するには、対策を考えるしかないのである。 人間は合理的に失敗する 人間は、全知全能の神ではない。ゆえに、完全に合理的な行動がと

          【読書】『改革の不条理』【制度と人間を活用する】

          【高知旅行】海洋堂 Space Factory なんこく【モノづくりは楽しいのです】

          高知といえば、 海、山、川が全部近い インスタ映えするスポットいっぱい 自然の中で遊べるアクティビティいっぱい おいしい食べ物いっぱい ひろめ市場で一日中飲みまくる 等々、観光スポット満載ですが、今回は『海洋堂 Space Factory なんこく』を紹介します。 アクセス〒783-0004 高知県南国市大そね甲1623-3 TEL:088-864-6777 HP:https://kaiyodo-sfn.jp/ 開館時間:10時から18時(最終入館17時30分)

          【高知旅行】海洋堂 Space Factory なんこく【モノづくりは楽しいのです】

          【読書】『わが友マキアヴェッリ』第三巻【イタリア統一しかない】

          考えることしかない 仕事が大好きであったがゆえに有能になり、有能であったがゆえに職場から追放される。  皮肉以外の何物でもないが、仕事がなくなってしまったがゆえに、考えることしかできなくなってしまった。  マキアヴェッリ、四十四歳から四十六歳は、最も失意の時期で、不惑どころか戸惑ってばかりであった。  だからこそ『君主論』が生まれるのだけれども。 フランチェスコ・ヴェットーリ  一五一三年、フランチェスコ・ヴェットーリとの「文通」が始める。  ある未亡人に恋をし、彼女の欲

          【読書】『わが友マキアヴェッリ』第三巻【イタリア統一しかない】

          【読書】『わが友マキアヴェッリ』第二巻③【失職】

          自分の国は自分で守ろう・・・・・とした 終身大統領になったソデリーニは、新税法案の理論的根拠作成をマキアヴェッリに命じる。  新税を課さない限りフィレンツェ政府の財源は尽きていたからだ。  だからといって新税が嫌われるのはいつの時代でも変わらない。  したがって、誰もが納得する根拠を提示して、それで押す、しかない。  そのマキアヴェッリの論文は、 『若干の序論と考慮すべき事情を述べながらの、資金準備についての提言』 という表題で残っている。  塩野さんは“奇妙な表題”と述べて

          【読書】『わが友マキアヴェッリ』第二巻③【失職】

          【読書】『わが友マキアヴェッリ』第二巻②【最強モーター発動】

           マキアヴェッリの仕事は何だったのか?  塩野さんは、マキアヴェッリ自身が好んで使った「フィレンツェの書記官」を生かすとなると、 「フィレンツェ共和国第二書記局の書記官」 とするしかなくなってしまうといっている。  役職の「名前」がハッキリしても、「役割」がハッキリしない。  現代社会のように整備がされておらず、しかもフィレンツェ一国だと規模が小さいから単純な比較はできないのだが、「書記官」マキアヴェッリは 「なんでもやる」 のである。  「欲張り婆さん」と書いてしまうと問

          【読書】『わが友マキアヴェッリ』第二巻②【最強モーター発動】

          【読書】『わが友マキアヴェッリ』第二巻①【フィレンツェ孤立】

          傭兵に頼って大失敗 「徴兵」制度に基づき、自前の軍事力を備えたとしよう。  そうすると、仕事をするのに絶好の年頃の男たちが、生産活動に従事できず、消費するだけの戦争に出かけていく。  それなら、自分たちは生産活動に専念して、戦争は「傭兵」に任せよう。  こうして、この当時のイタリアは、戦争を傭兵に任せるようになる。  これを傭兵隊長の立場から考えると、自分の部下である傭兵は立派な「資産」なのである。いくら戦争だからといって「消耗」したくない。  ゆえに、「華々しく」戦闘をして

          【読書】『わが友マキアヴェッリ』第二巻①【フィレンツェ孤立】