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キックボクシングのルールの違いってなんだ?【ミリしらキット】

*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
 またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。



➀はじめに

この記事はK‐1vsRISEの対抗戦を通してキックボクシングの団体ごとのルールの差異について書いていく記事です。

現在キックボクシングの団体は日本ではK-1やRISEを筆頭にShooto Boxing、Krush、Knock outなど様々あり、海外に目を向けるとGLORYやONEなどその数は星の数ほどあります。
ですがその人気とは裏腹に、同じ格闘技でも柔道やレスリングと違ってキックボクシングには明確に統一されたルールやそれを定める統一機構などが存在しません。そのためどの攻撃が許されているのか、どういうアクションが1番ジャッジが評価するなどその団体でのルール特性を知っておくことでおのずと選手の狙い目なども見えていくため、より深い観戦ができると思います。


*キックボクシングの基本的ルール

・腕、足、膝のみの攻撃が認められる。
・それ以外の攻撃(頭突き、噛みつき、ヒジ打ちなどグローブでおおわれていない箇所での攻撃)は全面禁止。
・下半身を狙った組み(タックルなど)の行為は禁止。
・倒れた相手への追撃は禁止。


②K-1ルールとは

K-1ルールの特徴は前述したキックボクシング基本ルールにのっとった純粋な打撃オンリーのルールということです。それはムエタイの首相撲や相手のキックを掴んで攻撃する”ワンキャッチワンアタック”も禁止としているほどの徹底ぶりです。
良くも悪くも”組み”という要素を極限まで排除したルールですので、相手の身体に触れるくらい近いゼロ距離でも打撃の攻防をしなければいけません。

判定の基準はダメージ重視で、ダウン>ダメージ>クリーンヒット数>アグレッシブです。
また個人的な考えですが、K-1のジャッジはパンチの攻撃を重点的に評価しているイメージがあり、特に打ち合いの攻防は評価点が高い印象です。これはK-1のグローブが他団体より小さい(K-1は55㎏以下は6オンス、75㎏以下は8オンス、それ以上は10オンスと規定されている。ONEは65㎏以下は8オンス、それ以上は10オンス。)ためパンチの威力が相対的に高くなり、パンチで攻めたほうが良いことと近距離でも組みで攻防が中断されることが無いので自身の攻撃がしやすい=打ち合いの攻防になるのではと考えています。

また判定の際にはマストシステムを採用しておらず、両者とも明確な優劣が無ければ10-10のイーブンの判定を出すことがあります。
見方のイメージとしてはラウンドマストですが、厳密にはマストシステムではないため差異を付けると判断されなかった場合は両者引き分けという結果をジャッジは提出しているわけです。

キックボクシングを見慣れた方なら何をいまさらという話ですが、MMAを見慣れたような筆者と同じタイプの格オタはココが1番引っかかるというか、観戦する際に気を付けなければいけないポイントだと思います。
というのも自分視点ではわずかの差でもマストシステムだろうからこっちが優勢だろうという判断で試合を見ていて、いざ判定でイーブンの判定が出て「クソジャッジがよぉ!」とツイッターでほえた経験が筆者は恥ずかしながら何度もあるので、今回の記事の下調べで1番驚きましたね。

またこの記事で何度も言っている「マストシステムってなんだよ」という方は筆者が昔書いたトータルマストとラウンドマストについての記事がありますので、そちらを読んでいただけると幸いです。


③RISEルールとは

ルールの差異の前の禅的なのですが、RISEルールもK-1ルールと基本部分は同じ(攻撃可能個所や判定基準など)です。これはキックボクシングというスポーツが世界に波及したきっかけが1993年に石井館長が始動した旧K-1であり、その際のルールであるヒジの禁止や首相撲などの硬直の際には素早く剥がすというルールが完成度が高く現在でもキックボクシングの基本ルールとして根っこにあるからです。

ではそのK-1とのルールの差異ですが、RISEではワンキャッチワンアタックが認められているということです。
ワンキャッチワンアタックとは相手の攻撃を自身の手でつかんで攻撃したり、相手を首相撲のような状態でつかんでの攻撃を1発だけ認めているということです。

具体的には相手のローキックを自身の手でキャッチ→掴んだ手で体勢を崩しながら逆の腕でパンチを撃つということや、自身の攻撃の勢いで相手に近づく→相手の至近距離のカウンターを警戒して首相撲の体勢を創り、攻撃を与えてレフェリーに仕切り直してもらうなど、攻撃の起点を作ったり自身の攻撃の後隙を防ぐなど使い方は様々あり、このワンキャッチワンアタックをうまく使うことがRISEルール攻略のカギといえます。

ただそんなRISEも首相撲の攻防は禁止しているのであまりにも首相撲の展開が長くなるとレフェリーの対応が早まったり最悪の場合は減点対象になる場合があります。(例:白鳥大樹vs梅野源治)


④ONEキックボクシングルールとは

ONEのキックボクシングルールも基本はK-1と同じですが、その違いは判定にあります。
ONEのキックボクシングでは1ラウンド毎にジャッジが採点するラウンドマストシステムを採用しているのです。これはキックボクシング団体では珍しく、特に国内団体では延長戦のみマストシステムを採用しているパターンが多いのでキックボクシングを見慣れている人の方が違和感があるかもしれませんね。

またONEではオープンフィンガーグローブを着用したムエタイルールの試合があり、こっちの場合はキックボクシングに加えてヒジや首相撲、相手を掴んでのこかしや投げも認められているルールになります。

そしてONEの立ち技の判定の特徴ですが個人的にはK-1よりも打ち合いやアグレッシブさが評価される印象があります。これはONEの立ち技の主要選手の多くがムエタイ上がりであり、ムエタイではパンチの価値が低くジャッジに高評価とされる攻撃がミドルキックと首相撲なため、その影響で必然的にONEの立ち技はミドルと首相撲が多いムエタイのような試合が多発します。
その場合だと試合に動きが無い=観客がつまらないため、判定基準にパンチと打ち合いのようなアグレッシブさを評価するような項目や空気感があるのではと思いますね。


④終わりに

今回の記事はいかがでしたでしょうか。
今回はK-1、RISE、ONEと日本人がなじみ深い団体のルールの差異をまとめてみましたが、ほかにもヒジや首相撲はおろかスタンド状態での絞め技もOKなSBや、基本はK-1ルールですがラウンドマストを採用していたり首相撲は3秒間だけOKなGLORYなど世界には様々なキックボクシングの団体がありますので、自分が見ていて一番違和感がない団体を探すのも面白いかもしれなせんね。

またこの記事を執筆している3月17日はRISEの年間で最も豪華な大会である『RISE ELDORADO』が開催されています。ABEMA TVで全編無料放映されていますので、今回の記事で少しでも興味が出た方は是非見てみて下さい!

またこの記事や今までのnoteに対しての感想や意見はドシドシお待ちしていますのでコメントやTwitterで反応や拡散をしていただけるととてもうれしいです!泣いて喜びます!

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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