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【超RIZIN2 Bellator編全カード解説】銀河系軍団再来日 終焉と始原を告げる大爆発

*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
 またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。


➀はじめに

この記事は「超RIZIN2」(7月30日12:00開始予定)のBellatorの全カードを簡単に解説しようという記事です。
Bellator初代フライ級タイトルマッチに風雲急を告げるライト級GP1回戦など非常に心が躍るカードばかりですので盛り上がっていきましょう!


②アンドレイ・コレシュコフvsロレンズ・ラーキン

第1試合目に地元枠でも何でもないガチカードをポッと出せるBellatorの地力の高さはすごいですね。比べてもしょうが無いですが国内では出せないスケール感を感じます。

アンドレイ・コレシュコフ選手は現Bellatorウェルター級ランキング7位で元Bellatorウェルター級王者です。
回転系の打撃が得意技で後ろ回し蹴りなど変則的な蹴り技で何度もKO勝利を挙げているド派手な選手です。

ロレンズ・ラーキン選手は現Bellatorウェルター級9位の選手で現在7連取中と非常に勢いに乗っている選手です。
”The Monsoon”と評される暴風のような荒々しい打撃が特徴で2019年に行われたBellator×RIZINの対抗戦では中村K太郎選手を倒している実力者です。

実はこの両選手は過去に試合をしていてその時はラーキン選手がスプリットで勝利したものの両選手ともダウンを奪い合うすさまじい激闘でした。
その際に際立ったのが両選手の得意な打撃の間合いです。
コレシュコフ選手は回転系の蹴りが撃てる遠距離、ラーキン選手はフック系の強打や四つ組みからの膝が使える近距離とはっきりとわかれています。

そして得意距離だと相手とかなりの差があったためどうやって両選手が自身の得意な距離を維持できるかがカギだと思います。その時に重要になってきそうなのはコレシュコフ選手のカーフキックだと思います。
コレシュコフ選手としてはケージ際で強いラーキン選手と近距離戦をやりたくないため近づくラーキン選手を迎撃できる攻撃をどれだけ打てるかが勝敗の分かれ目になりそうです。
その際に強烈なカーフキックで相手の前進を止めながら回転系の蹴りでプレッシャーを強めることが出来ればコレシュコフ選手有利の距離で試合が進むと思います。ただそれが出来なければラーキン選手が打撃と圧力で押し切りそうなイメージです。

両選手とも日本とそこまで縁がないためあまり注目されていませんが普通にBellatorの興行のメインを張れるカードなので、もう少し注目度が高くてもバチは当たらないと個人的には思いますね。


③マゴメド・マゴメドフvsダニー・サバテロ

筆者的にはこのカードが今大会の裏メインですね。
またこのカードはUFCが取り扱わなかったロシア系の化け物vsアメリカの超レスリングエリートというBellator”らしさ”をかなり感じるカードでもあると個人的には思います。この”らしさ”を感覚的にわかる人はかなりの格オタですね。

マゴメド・マゴメドフ選手は元ACAバンタム級王者で元UFCバンタム級王者ピョートル・ヤン選手とも1勝1敗の戦績を誇る強豪選手です。
ダゲスタン系のレスリングと気を逃さず仕留める寝技の強さ、以外にもバックスピンキックなど回転系の蹴りを得意としているなど打倒極どの局面でも隙の無い選手です。

また『ダゲスタンってなんだよ⁉』という方は過去に筆者が書いたダゲスタン紹介記事を読んでいただけるとより一層深い理解が出来ると思いますのでおススメです!

ダニー・サバテロ選手は元Titan FCバンタム級王者でDWCSで勝利した実績がある背化レベルの選手です。NCAAディビジョン1で活躍したレスリングがバックボーンでそのレスリング力を活かしてしつこく組んで相手を削るハードなスタイルを5分5ラウンド行えるスタミナに同じチームの堀口恭司選手直伝の遠距離からの飛び込みが特徴です。

両選手とも毛色の違うトップグラップラーですので組み技の強さが勝敗のカギを握りそうですが”組み技が強い選手同士の試合はお互いがお互いの組み技を警戒して打撃で試合が進みがち”というMMAあるあるがこの試合には適応されるのではないかと個人的には思います。
もちろんスクランブルの展開にはなると思いますがこのレベルのグラップラー同士ですとそこに行くまでの過程が重要になると思います。具体的にはスタンドでの打撃展開で主導権を握った方がかなり有利だと思います。

その際にカギになるのはサバテロ選手のレベルチェンジだと思います。
レベルチェンジとは頭の位置を上下したりタックルに行くように重心を下げるフェイントのことです。レベルチェンジをうまく使う選手は現UFCフェザー級王者アレクサンドル・ヴォルカノフスキー選手や元RIZINフェザー級王者の斎藤裕選手が得意です。この技術がサバテロ選手はうまくこれを遠距離で使うことでマゴメドフ選手の狙いを崩して組みに行くのではと思います。

このカードはBellatorバンタム級GPの実質的な3位決定戦という激熱カードではあるのですが両選手ともレスリング系の選手で下手すれば塩味MAXのとんでもない試合になる危険性があるます。おそらくそれも危惧してこの試合を日本でやることにしたんだと思いますね。日本のMMAファンは塩漬け展開でもブーイングをしないという非状に稀有な存在ですので、ある意味こういうカードが1番輝く土壌でもあります。


④渡辺華奈vsヴィタ・アルテイガ

このRIZIN×Bellatorの同盟的な関係を1番上手く使っているのは渡辺選手だと思います。女子フライ級だと国内での対戦相手探しが難航する階級ですが海外だと相手は選び放題ですからね。試合も定期的に組んでくれてBellatorが期待してるのもよくわかります。

渡辺華奈選手は元柔道全日本強化選手に選ばれるほどの柔道をバックボーンに持っている選手です。日本人離れしたフィジカルの強さに組み際での投げ、グラウンドでの寝技の極めの強さなど日本が世界に誇る女子フライ級のトップ選手です。

ヴィタ・アルテイガ選手はアグレッシブにパンチを振りながら前に出てくる激闘系のファイターです。また寝技でも不利な体勢からのギロチンチョークを狙うのが上手くどの局面でも一発逆転できる要素があります。

恐らく今までの勝利した対戦相手の質や組み技単体ですと渡辺選手圧倒的有利なのは確実ですのでこの試合は渡辺選手有利の見立てが多いイメージですが、アルテイガ選手は組み付くまでに剛腕のパンチとギロチンという2つの防衛線があるので割と厄介な相手だと個人的には思います。
特に渡辺選手は打撃への反応の鈍さが弱点ですのでこの点を上手くつかれると試合はわからなくなるでしょう。

渡辺選手ももう34歳と競技人生が長い女子格闘技でもそろそろキャリア中盤から終盤に差し掛かってきたころだと思います。おそらく日本のファン以上にBellatorからかなりの期待をかけられているので上手くそれに乗ってもう一回タイトルマッチまで行ってほしいですね。おそらく今世界のベルトに1番近い日本人MMA選手だと思いますのでね。


⑤堀口恭司vs神龍誠

やはり日本のBellator興行に堀口恭司は欠かせませんね。この人の活躍のおかげでU-NEXTが格闘技の放送を始めたりと日本格闘技界への影響は海を渡っても健在です。この人の功績をまとめた自叙伝的な本とか読んでみたいです。

堀口恭司選手は日本に総合格闘技ブームをもう一度呼び起こした選手の1人で元RIZINバンタム級王者、元Bellatorバンタム級王者という輝かしい実績も持っている正に史上最強のMade In Japanです。
今まで格闘技界を盛り上げるために適正階級より1つ上のバンタム級で戦っていましたが、昨年のRIZIN×Bellatorの対抗戦で約5年ぶりに適正階級のフライ級で試合を行いRIZIN代表の扇久保博正選手を圧倒しました。

神龍誠選手は現DEEPフライ級王者、現CFFCフライ級王者と現役の日米二冠王者で現在10練習中と非常に勢いに乗っている選手です。
日本人離れしたフィジカルの強さとレスリング力、動きのある試合を5分5ラウンド続けることが出来るスタミナなどどの局面でも隙の無いこれからの日本格闘技界を引っ張っていく選手の1人です。

正直過去の実績や今までの活躍を見ると堀口選手圧倒的有利なのはしょうがないと思います。ですが堀口選手のスタイル的にサウスポーグラップラーには苦戦する傾向があると思います。

今の堀口選手のスタイルは飛び込みを行わない代わりに近距離でボクシングと空手の下段蹴りで相手を削りながらレスリング力を駆使して攻めるというのですが、ポイントは堀口選手が構えがオーソドックスなので下段の蹴りがオーソドックス相手の相四つですと相手の前足が自分の右足の攻撃が当たる距離にあるので攻撃が入りやすいのですが、サウスポーの喧嘩四つですと相手の前足が自分の左足の前にあるので下段の蹴り特に右カーフキックが当たりにくいということです。

オーソドックス同士の相四つ。お互いの左足が前にあるため右のカーフキックなどが当たりやすい。
オーソドックスとサウスポーの喧嘩四つ。相手の左前脚が前にあるため右インローなどが当たりやすい。

また距離が近くなったことで組み技を行う危険性が高くなったため今までよりもグラップラー系の選手が苦手になった印象です。それが如実に出たのがBellatorバンタム級GP1回戦でのパトリック・ミックス戦です。
ミックス選手は身長180㎝、試合時の体重が70Kgを超える非常に階級離れした体格とフィジカル、圧倒的な寝技力を駆使してBellatorバンタム級GPを優勝した選手です。堀口選手とは1回戦で戦い体格と寝技力を最大限に生かした戦術で判定で勝利しました。

この条件に当てはまると神龍選手はサウスポーでグラップラーですので条件だけを考えると堀口選手との試合ではアドバンテージがあるといえます。
おそらく神龍選手はこのアドバンテージを活かしてパンチを振りながらガンガン組みを狙って前に出ていくアグレッシブな試合を創っていくと思います。それをどう堀口選手がいなしていくのかがカギになるでしょう。

どっちが勝っても日本人戴冠という歴史が動くタイトルマッチとなりました。初代王者決定戦という重要な試合を日本人同士で組んでくれたBellator陣営に感謝ですね。まぁメタい話をするとフライ級くらいの軽量級はアメリカでは競技人口が少ないですしファンもあまり求めていない階級ですので質の良いアジア系を軸にするのが合理的だと思いますね。


⑥パトリッキー・”ピットブル”・フレイレvsホベルト・サトシ・ソウザ

まさかまさかの俺たちのサトシのライト級GP出場です。パトリッキーvsAJという超絶神カードがなくなるという噂を聞いたときは文字通り血の気がなくなりましたが、怪我の功名でもおつりが返ってくる別種の神カードになって帰ってきたときは無くなった血の気が戻ってきました。

パトリッキー・”ピットブル”・フレイレ選手は元Bellatorライト級王者で現Bellatorフェザー級王者パトリシオ・”ピットブル”・フレイレ選手の実の兄です。破壊力抜群の剛腕を振り回すアグレッシブさと柔術黒帯の安定感のある寝技の技術が特徴のBellatorを代表するスター選手です。

ホベルト・サトシ・ソウザ選手はその圧倒的な極め力と毎試合MMAに適応していくセンスの高さで現RIZINライト級王者になった選手です。現在のMMAでは珍しい下からの寝技を得意としていてまさに1回でもミスをすればどんな相手でも極めることが出来るとてつもない極め力を持っています。

試合のカギはそれぞれのプランや持っているスキル云々というよりは陣営の準備力の高さだと思います。
パトリッキー選手はサウスポーで打倒極どの要素のトップクラスのオールラウンダーのマッキー選手からオーソドックスで世界最高峰の寝技技術を誇るサトシ選手への対策を約1週間でシフトしなければなりません。またサトシ選手も約1週間で試合までの練習や減量、メンタルケア含むコンデションづくりに取り組まなければなりません。正直ここまでくると地力の強さとどれだけ突貫工事で試合までに付け焼き刃を何本持ってこれるかの勝負になると思いますね。
だからこそ両選手にもチャンスとピンチが内包している面白い試合になる予感がびんびんにします。

全5試合のBellator編のカードですが正直これがメインの興行が出来るくらいのかなりの豪華さです。ここまで豪華なカードをそろえた理由を個人の見解で何個か推察して見ました。

まず1つは同日にアメリカで行われる”UFC291”と”クロフォードvsスペンスjr”というMMAとボクシングの神大会があるということですね。
普通にアメリカでこの興行を行うと注目が集まらないどころかなまじ良いカードで比べられる土俵に立っているからこそ、海外の格オタからUFCと比較されてこき下ろされるというくだらないイベントが待っているのは明白です。
だったら日本ではUFCよりも知名度があるRIZINと手を組んで興行を行った方が局所的ですが確実な注目度が作り出せるわけです。また日本でクロフォードvsスペンスjrを見る人はごく一部の熱心なボクシングファンやその他一部の格オタ位ですのでボクシングに注目が集まるというのも考えづらいわけです。それらの要素を考えるとあえて日本でこの神カードをそろえることでRIZINが育てた日本のファンの視線をがっちり集めることが出来るというわけです。

そしてもう1つはBellator売却騒動です。
元々Bellatorを運営しているバイアコムはBellatorに対しての援助をもう行わないという声明を今年初めに出していてそこからUFCやPFLがBellator買収を考えているというのが噂レベルですがささやかれていました。しかし今年の夏あたりにバイアコムがBellatorを手放すことやBellator人気選手のマイケル・”ヴェノム”・ペイジがFA(所属団体が無く誰でも交渉できる状態)になったなど、Bellator消滅が現実味を帯びてきた気がします。

そう思うと今回の日本での興行が最後の花火になるかもしれないと考えるとこのド派手さもうなずけます。
アメリカナンバー2のMMA団体として業界を引っ張っていきましたがトップのUFCの差やPFLの近年のサウジアラビアの王族などのビックマネーをバックに急激に伸びてきたことで遂に崖っぷちになってしまいました。

ですが団体が滅んでもその功績はなくなりません。特に現代はYouTubeのおかげでいつでもだれでも過去の思い出を映像として見ることが出来ます。またBellatorが育てたスターたちがどこかで戦い続けてBellatorの名前を残すことが最大のBellatorへの供養なのかもしれません。


⑦おわりに

今回の記事はいかがでしたでしょうか!
この「超RIZIN.2」の視聴やチケット購入は今からでも間に合いますので、下部のリンクから自分の都合の良いPPVを買ってみて下さい!

この記事や今までのnoteに対しての感想や意見はドシドシお待ちしていますのでコメントやTwitterで反応や拡散をしていただけるととてもうれしいです!泣いて喜びます!

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