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新しいマーケティング戦略論の在り方

こんにちは。ひいろです。

アベノマスクが少し話題になってますね、
確かに、あれはどうかなとか私も思ったりします。

今日は専修大学の中村氏の論文

競争志向のマーケティング戦略

をよんだので書いていきます。

はじめに

私たちがよく聞くマーケティングの多くは
競争は回避するものだよねっていう根本的な考え方があります。

しかしながら、
技術進歩の速度や
多様な流行りの変化によって

今は優れたポジションでも
やがてそれは、一般化され優位性はなくなってきます。

時代の流れとともに
その、”やがて”までのスパンは短くなる一方です。

新古典派経済学をルーツにもつ現代の経営戦略論は

ある時点の競争環境
いわゆる、静態的競争を分析することで
発展してきました。

変化の流れが激しい現代において
この手法のままでは、現実世界に対応できない部分があると指摘されています。

そこで、
競争環境の変化(動態的競争)の分析と
不可避な競争に対応するための戦略
を考える経営アプローチが注目されています。

動態的競争の分析は
オーストリア経済学が80年以上も前から研究していた分野でした。

近年は、このオーストリア経済学の考え方をベースに新しい形の経営戦略論が生まれているようです。

今回の論文は
オーストリア経済学ベースの経営戦略論の研究をまとめ
「不可避な競争に対応するための戦略」を考える戦略論について書いています。

オーストリア経済学

そもそもオーストリア経済学とは
新古典派経済学の考え方を批判したオーストリアの経済学者から生まれました。

そして彼らは
新古典派経済学があまりふれなかった、経済主体の行動に着目しました。

つまり、
私たちの知識は不完全であり
その結果、市場には利潤機会の取りこぼしができると。

そして、その取りこぼしを見つけて
上手に拾っていくことが企業家の役割であり

そういった活動によって
市場は均衡状態へ向かうとしています。

たとえば、
グラスを市場と考えるとわかりやすいかもしれません。

グラスの容量を1リットル
入るものが企業だとしましょう。

新古典派経済学では
グラスに入る企業が全て液体だと仮定しています。

グラスに液体を入れると1リットルしっかり入ります。

これが、市場に利潤機会がない状態
完全競争市場における均衡ってやつです。

一方で
オーストリア経済学では
グラスに入る企業は固形物です。

固形物をグラスに入れると
どうしても隙間ができてしまいます。

この隙間が
無知による企業の取り逃し利潤機会であり

ここに対して、
少量の液体(企業家)がこぞって参入していきます。

そしてグラスの中身が1リットルに近づくという流れです。

こうしたオーストリア経済学に基づき
競争と企業成果をまとめます。

まず競争について、2つのことが言えます。

1:利潤機会の獲得行動と競争行動は表裏一体
2:個別企業の利潤機会の獲得行動、およびその連鎖は
知識や目標、状況の認識といった要因に左右される

1:利潤機会の獲得行動と競争行動は表裏一体

利潤機会の獲得行動とは
最適な行動と企業の行動のギャップを埋めていく行動であり
その結果企業は利潤機会を奪われることになります。

企業家たちによって繰り返される利潤機会の獲得行動は
競争行動の連鎖
ということができます。

2:個別企業の利潤機会の獲得行動、およびその連鎖は
知識や目標、状況の認識といった要因に左右される

新古典派経済学では企業の行動選択を規定していますが
オーストリア経済学においては、企業は不完全な知識に基づいて行動するとされています。

よって、利潤機会の獲得行動は企業の状態に左右されます。

そして企業成果についても2つのことが言えます。

1:競争優位は本質的に非持続性を有する
(また、市場は品質的に変動的性質を有する)
2:機敏に競争に挑む企業こそが高い成果を達成できる

1:競争優位は本質的に非持続性を有する
(また、市場は本質的に変動的性質を有する)

企業は不完全な知識しか有していないので最適な行動を選択することができません。

これは、最適に近い行動をとる企業によって収奪される可能性を意味し

よって、競争での優位は一時的であること、
市場は競争によって変化するといえます。

2:機敏に競争に挑む企業こそが高い成果を達成できる

変化する市場において生き残るためには
継続的に利潤機会の獲得行動を行う必要があります。

そのためには
他企業よりも素早く利潤機会を発見し獲得行動に移さなければいけません。

こうした企業家の性質を機敏性とよび
企業家の最も重大な要素としています。

新しいマーケティング戦略論

オーストリア経済学の考え方に基づいた経営戦略論を
競争ダイナミクス・ビューといいます。

この分野において研究されている競争行動には
新製品の導入や値下げ、新プロモーションの実施などであり

競争ダイナミクス・ビューは
動態的マーケティング競争の分析とその対応戦略を研究する分野といえます。

そしてこれは、
競争志向型マーケティング戦略論の枠組みとして最適と考えられます。

競争志向型マーケティング戦略とは
オーストリア経済学の考え方をベースに
利潤機会の獲得行動(競争)をガツガツやっていこうって戦略です。

そして、従来のマーケティング戦略論との比較が下の図です。

オーストリア経済学

従来に比べて、
競争志向型はオーストリア経済学の考えを基に
より現実世界を反映させた仕様になっていることがわかります。

最後に

経済学理論とマーケティングや経営戦略は密接なつながりがあります。

一見すると別物のように感じるときもありますが
やはり、経済学の理論を基にマーケティングのノウハウが構築されていたり

逆に、実際の現象を基に
経済学の理論が構築されたりと相互的な関係があります。

今回はそのへんが感覚的にわかりやすい例だったんじゃないかなと思います。


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