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大事なファンの囲み方:発案者効果を生かして

こんにちは。ひいろです。
昼夜逆転をなんとか修正しようとがんばっています、

しかし、今日も昼に寝ます。

今日は法政大学大学院の岡田氏の論文

ユーザー創造製品の情報表示と制御焦点理論
― オンライン実験による媒介分析 ―

を読んだので書いていきます。

はじめに

広告をみていると
たまにユーザーとのコラボ製品が出ていたりします。

有名ギタリストモデルのギターとか
人気モデル提案の洋服とか

最近はそんな
ユーザーのアイデアを汲み取った商品が増え注目されているようです。
そのような商品をユーザー創造製品といいます。

さらに、ユーザー創造製品に
「ユーザーのアイデアから生まれました」
という情報表示を付加することで

消費者の購買意欲を高め
売上が高まる効果が確認されています。

この効果を、
発案者効果といいます。

今回の論文は、
発案者効果のメカニズムについて
消費者側の要因を制御焦点理論を用いて研究しています。

制御焦点理論

制御焦点には
購買行動による
ポジティブな結果に着目する促進焦点
ネガティブな結果に着目する予防焦点が存在します。

そしてこれらの動機の違いが消費者の行動に影響を与えるとしています。

つまり、促進焦点を有する人は
商品に対してプラスの面の有無で評価

予防焦点を有する人は
商品に対してマイナスの面の有無で評価します。

より詳しく知りたい方はコチラ

仮説

制御焦点理論に基づいて、4つの仮説を立てました。

1:ユーザー創造製品の情報表示が
製品選択に与える影響は予防焦点を媒介する
2:ユーザー創造製品の情報表示が
製品選択に与える影響は促進焦点を媒介する
3:ユーザー創造製品の情報表示が
製品選択に与える影響の予防焦点による媒介効果
製品関与の高さによって負の影響を受ける
4:ユーザー創造製品の情報表示が
製品選択に与える影響の促進焦点による媒介効果
製品関与の高さによって負の影響を受ける


1:ユーザー創造製品の情報表示が
製品選択に与える影響は予防焦点を媒介する

共創活動から生まれたユーザー創造製品は
消費者のニーズに合った顧客志向な製品であると
知覚されていることが明らかになっています。

そこから、消費者は自分自身のニーズも満たせると判断し
安心や信頼といった予防焦点に対して影響を及ぼすと考えられます。

また、予防焦点が高まった消費者は
その製品の購買意欲を高める
ことが明らかになっています。

つまり、ユーザー創造製品の情報表示から
その製品がネガティブな結果を回避できる製品だと知覚して

企業創造製品よりも
ユーザー創造製品を選ぶと考えられます。


2:ユーザー創造製品の情報表示が
製品選択に与える影響は促進焦点を媒介する

ユーザー創造製品は新奇性が高く

促進焦点消費者は
新奇性の高い商品を購入しやすい傾向にあることが確認されています。

よって、ユーザー創造製品は
購買意向に正の影響を与えると考えられます。

つまり、
ユーザー創造製品の情報表示から
ポジティブな結果(新しさや楽しさなど)をもたらす製品だと知覚し

ユーザー創造製品を選ぶと考えられます。


3:ユーザー創造製品の情報表示が
製品選択に与える影響の予防焦点による媒介効果は
製品関与の高さによって負の影響を受ける

4:ユーザー創造製品の情報表示が
製品選択に与える影響の促進焦点による媒介効果は
製品関与の高さによって負の影響を受ける

予防焦点と促進焦点の媒介効果を緩和させる要因として
製品関与があると考えられています。

製品関与とは
消費者は対象物に対して持つ
固有の興味や価値、ニーズであり

商品関与の高い消費者は
その製品に関する情報への注目が高い
とされています。

いわゆる、オタクと呼ばれる人たちは
製品関与が極めて高いといえますね。

製品関与の低い消費者は
お試し感覚で製品選択を行うため
制御焦点に影響されやすいが

オタクのような製品関与の高い消費者は
ユーザー創造製品の情報表示によって
予防焦点や促進焦点が高まるものの

製品選択においては
その影響が緩和される
と考えられます。

例えば、
リスナーセレクトのアルバムが発売されたとして、
リスナーセレクトと聞くと期待していいなと思うけど

実際入っている曲を見ると
自分の好きなセトリではないからイマイチかな

みたいな感じです。

実験結果と考察

実際にアンケート調査を行い仮説を検証しました。

結果、仮説3のみ棄却されるかたちとなりました。

1:ユーザー創造製品の情報表示が
製品選択に与える影響は予防焦点を媒介する
2:ユーザー創造製品の情報表示が
製品選択に与える影響は促進焦点を媒介する

4:ユーザー創造製品の情報表示が
製品選択に与える影響の促進焦点による媒介効果
製品関与の高さによって負の影響を受ける


ユーザー創造製品の発案者情報の表示は
安心感や信頼感といった予防焦点
楽しみや興奮といった促進焦点を媒介して
製品選択に正の影響を与えることが明らかになりました。
(仮説1.2)

しかし、促進焦点の媒介効果に関して
製品関与の高さによって緩和されることが確認されました。
(仮説4)

逆に、予防焦点の媒介効果が
製品関与の高さによって緩和されなかった
ことについて

もっといえば、
予防焦点の媒介効果が
製品関与の高いユーサーにも
効いていたことについて
(仮説3の棄却原因)

情報を慎重に検討する状況下においても
発案者がユーザーであるという情報は
製品関与の高いユーザーにとっても
予防焦点や製品選択にポジティブな効果がある
ことを示しています。

オタクがユーザー創造製品に対して
期待する部分は
コンテンツの追加などの新奇的なところではなく
バグの修正や軽量化など利便性の向上にあるということかなと思います。


ユーザー創造製品の情報開示とともに

消費者の予防焦点を刺激するような
失敗を回避できる安心や信頼を高める情報や

促進焦点を刺激するような
楽しさや興奮を促す情報は

消費者の製品選択において効果的だといえます。

しかし、
製品に熱心なファンなどの製品関与が高い消費者に対して

促進焦点による刺激は
商品選択につながらない可能性があるが

予防焦点による刺激は有効であるといえます。

最後に

製品関与の高いファンなどは
比較的、売上の大部分を占めていたりします。

そういった業界では2つ課題があると思っていて

いかにファンを増やすか
そして既存のファンを満足させることができるかです。

そして、今回の論文より
製品関与の段階によってアプローチ方法を
変えた方が効果的であることがわかりました。

また、
ユーザー創造製品情報の出し方も
いろいろなアプローチがあるのではないかとも思います。

例えば、
オンラインゲームのアップデートなどは
実況者の意見を汲み取り
ユーザー創造製品を作成して

その情報は実況者本人から
発信してもらうかたちもありかなと思ったりします。

ゲームをやりこんでいるからこそ
小さな変化の重大さなど
発信できることは多いのかなと。

また、視聴者も実際に
製品をプレイしていたり
興味関心のある人が見ているはずなので

製品購入へのきっかけになるかもしれませんね。

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