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なぜ異世界に行きたがるのか?

わりと雑な考察。

いつからか異世界転生ものというのがライトノベルの一大ジャンルとなってしまった。
現代の若者が中世の世界観を持つ異世界に転生(あるいは時空間移動)して、現代の知識や特殊なスキルで成り上がる物語。
↑これに当てはまるストーリーなど今では多分腐るほどあるはず。
ねえ、なんでみんな異世界に行きたがるの?

異世界の武器は剣が主力。もっとハルバードとか使おうよ。

異世界がブルーオーシャンだから?

異世界は前述の通り中世程度の文明レベルを持つことが多い。
現代の知識を持って転生すると生活なり軍略なりでいろいろと得をすることができる。
なぜならば主人公がオンリーワンの能力者であり競合がいないからだ。

マーケティング用語におけるいわゆる「ブルーオーシャン戦略」というやつだ。
しかもこれは成功がすでに約束されているブルーオーシャンだ。
そんな状況に置かれることなどそりゃあこがれるに決まっている。

現実世界でオンリーワンになれる人などどれほどいようか。
いや、すべての人は「もともと特別なオンリーワン」であるという意見はあろう。
でも「代わりの利かない、かけがえのない人間」なんて実はそうそういない。あなたはきっと誰かにとってのオンリーワンではあるが誰もが認めるオンリーワンではないはずだ。

異世界転生物はありふれた人間が競合がいない世界でオンリーワンになれる物語なのかもしれない。

そんなラノベ界隈がレッドオーシャン化している矛盾

んでそんな夢物語のような異世界ものはいまや流行りにはやりすぎて珍しくなくなってしまっている。
今から異世界転生物でなろう小説を書こうとすることはそれこそレッドオーシャンに飛び込むようなものだ。

動物性プランクトンの繁殖はここでは関係ない

ただレッドオーシャンにもメリットはある。
すでに市場は開拓されているので潜在顧客は大勢いる。ライトノベル読者はごまんといるのだ。
そしてノウハウが確立されているので素人でも参入すること自体は容易だ。
物語のテンプレートが書き手にも読み手にもある程度共通認識としてあり、世界観を一から作り上げる手間が省ける。

レッドオーシャンでは製品の質を高めるという戦略の他に価格を下げるという戦い方もある。価格競争というやつだ。
ライトノベルにおいてはアイディアの安売り、粗製乱造といったものがそれにあたるだろうか。

ぶっちゃけ売れるかどうかはおいておいて、なろう小説はわりとワンアイディアで書けちゃったりする。(と思うのですがどうですか? こんなこと言ったら怒られますか?)
ならば売れたらラッキー、売れなかったらはい次、という感じでアイディアの薄利多売が行われる。

あなたは異世界に行ったら何がしたいですか?

異世界に転生する話、あるいは過去の時代にタイムスリップする話はごまんとある。なぜならそれが人々の夢だからだ。
ゼロ年代以降サブカル界隈は特に、欲望を最短距離で満たしていくような刹那的なコンテンツが増えたように感じる。
異世界転生ものも現実世界の鬱憤をすぐに晴らしてしまうため、一話にピークを持ってくる話が多い気がする。(そこから盛り上がりをつくれるか、失速するかは作者の腕次第だろうが)

あなたは異世界に行ったら何がしたいですか?
ちなみにぼくが異世界に行ったらしたいことは「帰りたい」だと思います。

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