【書評】半分、減らす。
半分、減らす。
『半分、減らす。―――「1/2の心がけ」で、人生はもっと良くなる (知的生きかた文庫)』川野泰周(著)
著者紹介
本書の目次
半分くらいがちょうどいい
上記の通り、精神科医とお寺の住職の二足の草鞋で活躍する著者。
彼自身が半分減らした方が良くない? と思わなくもない経歴ですが、医者と禅寺の住職という二つの視点から考察された人生論は厚みと説得力がある。
そもそも現代は物も情報も過多な時代である。
人間という生物のスペックはそれほど進化しているわけでもないのに、大量の課題に対する処理能力ばかりが負担を強いられる。
やりたいこともやるべきことも多すぎるのが現代人のぜいたくな悩みだ。
ならば大事なのは取捨選択である。
必要なもの、あった方がいいもの、無くてもいいもの、無い方がいいもの。
それらに優先順位をつけて分類して、どれだけの量を拾い、捨てるか。
そんな選択だけでも一大事だ。
本書では「半分、減らそう」というテーマで深く考えずにとりあえず半分を目指してみようと提案する。
この、半分というのが絶妙な分量なのである。
例えば現代人のスマホの使用時間は平均4時間だが、『スマホ脳』のアンデシュ・ハンセン博士によると「一日2時間を超えるスマホの使用はうつのリスクを高める」という。
禅寺の住職らしく、何事も中道の精神が肝要ということを教えてくれる。
半分にすると二倍美味しい
物理的な量を半分にすると質が二倍になる。
これは単純な計算だが、ある程度は真理を得ていると思う。
マインドフルネスの思想では「今、その瞬間に集中すること」によって精神的な充足感を高められるとしている。
例えば食事ならば、「ながら食い」をやめて食事の味をじっくりと味わうべきだ。
しかし忙しい現代人、タイパの考えではなかなかじっくりと食事を味わうことはできない。
ならば食事の量を減らし、質を上げてみよう。
自然と食事を楽しめるようになるし、食べ過ぎの人には体にも良い。栄養面にも気を使った食事にすれば少ない量でも十分満足できる。
仕事などもそうだ。
がむしゃらにたくさんの仕事をやっつけるのもそれはそれで立派なことだが、やはり一人の人間にできることは限りがある。
可能であれば自分にできる仕事はほどほどにして、他の人に頼んだり、思い切って仕事を断る勇気も必要だ。
その分ひとつひとつの仕事のクオリティは上がり、良い成果が期待できる。
自分にとって大切な半分を見つめなおすきっかけになる
「さて、今日から半分減らしてみよう」と思ったときに、自分の中で大切なものは何なのか。
これだけはどうしても減らせない、というものが頭に浮かんでくる。
自分の人生の半分も減らせというのだから、それは結構な難問になる。
そこで改めて自分の大切なものに気付くのかもしれない。
小さな快楽は日常を豊かにしてくれるが、それも多すぎると重くて身動きが取れなくなる。
ならば思い切って身軽になってしまおう。
私事ですが、この毎日やっているnote記事投稿もどこかのタイミングで更新を減らそうかなと思っています。
いきなりゼロにするのも何なので半分くらいかなと。まだ未定ですが。
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