見出し画像

【書評】半分、減らす。

半分、減らす。

『半分、減らす。―――「1/2の心がけ」で、人生はもっと良くなる (知的生きかた文庫)』川野泰周(著)

著者紹介

■著者 川野泰周(カワノタイシュウ)
精神科・心療内科医/臨済宗建長寺派林香寺住職。
精神保健指定医・日本精神神経学会認定精神科専門医・医師会認定産業医。
1980年横浜市生まれ。2005年慶應義塾大学医学部医学科卒業。
臨床研修修了後、慶應義塾大学病院精神神経科、国立病院機構久里浜医療センターなどで精神科医として診療に従事。
2011年より建長寺専門道場にて3年半にわたる禅修行。2014年末より横浜にある臨済宗建長寺派林香寺住職となる。
現在寺務の傍ら都内及び横浜市内のクリニック等で精神科診療にあたっている。
うつ病、不安障害、PTSD、睡眠障害、依存症などに対し、薬物療法や従来の精神療法と並び、
禅やマインドフルネスの実践による心理療法を積極的に導入している。またビジネスパーソン、
医療従事者、学校教員、子育て世代、シニア世代などを対象に幅広く講演活動を行なっている

amazon:本書の紹介ページより

本書の目次

■目次

・序章 1/2を心がけよう。
    「ほどほど」で、人生を好転させる

・1章 「物」を半分、減らす。
    「考えない片づけ」--これがコツ

・2章 「食事」を半分、減らす。
    「いつのまにか」量が半減する食事術

・3章 「消費」を半分、減らす。
    「衝動買い」をなくす一番いい方法

・4章 「情報」を半分、減らす。
    「スマホの使い方」をあらためよう

・5章 「仕事」を半分、減らす。
    「いつものやり方」を変えるヒント

amazon:本書の頁より

半分くらいがちょうどいい

上記の通り、精神科医とお寺の住職の二足の草鞋で活躍する著者。
彼自身が半分減らした方が良くない? と思わなくもない経歴ですが、医者と禅寺の住職という二つの視点から考察された人生論は厚みと説得力がある。

そもそも現代は物も情報も過多な時代である。
人間という生物のスペックはそれほど進化しているわけでもないのに、大量の課題に対する処理能力ばかりが負担を強いられる。
やりたいこともやるべきことも多すぎるのが現代人のぜいたくな悩みだ。

ならば大事なのは取捨選択である。
必要なもの、あった方がいいもの、無くてもいいもの、無い方がいいもの。
それらに優先順位をつけて分類して、どれだけの量を拾い、捨てるか。
そんな選択だけでも一大事だ。

本書では「半分、減らそう」というテーマで深く考えずにとりあえず半分を目指してみようと提案する。
この、半分というのが絶妙な分量なのである。
例えば現代人のスマホの使用時間は平均4時間だが、『スマホ脳』のアンデシュ・ハンセン博士によると「一日2時間を超えるスマホの使用はうつのリスクを高める」という。

禅寺の住職らしく、何事も中道の精神が肝要ということを教えてくれる。

半分にすると二倍美味しい

物理的な量を半分にすると質が二倍になる。
これは単純な計算だが、ある程度は真理を得ていると思う。

マインドフルネスの思想では「今、その瞬間に集中すること」によって精神的な充足感を高められるとしている。
例えば食事ならば、「ながら食い」をやめて食事の味をじっくりと味わうべきだ。
しかし忙しい現代人、タイパの考えではなかなかじっくりと食事を味わうことはできない。
ならば食事の量を減らし、質を上げてみよう。
自然と食事を楽しめるようになるし、食べ過ぎの人には体にも良い。栄養面にも気を使った食事にすれば少ない量でも十分満足できる。

仕事などもそうだ。
がむしゃらにたくさんの仕事をやっつけるのもそれはそれで立派なことだが、やはり一人の人間にできることは限りがある。
可能であれば自分にできる仕事はほどほどにして、他の人に頼んだり、思い切って仕事を断る勇気も必要だ。
その分ひとつひとつの仕事のクオリティは上がり、良い成果が期待できる。

自分にとって大切な半分を見つめなおすきっかけになる

「さて、今日から半分減らしてみよう」と思ったときに、自分の中で大切なものは何なのか。
これだけはどうしても減らせない、というものが頭に浮かんでくる。

自分の人生の半分も減らせというのだから、それは結構な難問になる。
そこで改めて自分の大切なものに気付くのかもしれない。
小さな快楽は日常を豊かにしてくれるが、それも多すぎると重くて身動きが取れなくなる。
ならば思い切って身軽になってしまおう。

私事ですが、この毎日やっているnote記事投稿もどこかのタイミングで更新を減らそうかなと思っています。
いきなりゼロにするのも何なので半分くらいかなと。まだ未定ですが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?