ひじき

参加している読書会の振り返りや、ちょっとしたお出掛けの記録など、日々生活する中で印象に…

ひじき

参加している読書会の振り返りや、ちょっとしたお出掛けの記録など、日々生活する中で印象に残った出来事をエッセイ風に書いています。昔は変人と呼ばれることが多かったけれど、最近はむしろ発想が平凡とよく言われます・・・関西在住。好きな作家は森見登美彦さんです。

マガジン

  • ひとり読書会

    • 121本

    とある読書会メンバーの共同マガジンです。基本は本に関連した内容でありつつ、ルールは特に設けてないので、各々がそれぞれの目線で雑談など、気楽に投稿しています。

最近の記事

「物事はそう簡単にはわからない」と知っていても・・・

 週の半ばに、河合隼雄の『こころの処方箋』を読み終えた。  別の記事でも紹介した通り、この本は、日本における臨床心理学の第一人者であった著者がとある雑誌で連載していたエッセイをまとめたもので、文庫本で4ページほどの短い文章が55編収録されている。エッセイの内容はいずれも身近な心の悩みに関するものが多く、サッと読んでいてもハッとさせられることが多かった。  以前取り上げた時は、「心の新鉱脈を掘り当てよう」というエッセイにフォーカスし、疲れることをイヤがって心のエネルギーを節

    • 「なぜその風景を描いたのか?」から作品と自分がつながった気がした

       大阪の中之島美術館で開催されている企画展「モネ 連作の情景」に行ってきた。  美術館に足を運ぶことは滅多にない。だが、印象派の巨匠・モネの展示会と聞くと行きたくなった。美術には全く明るくないが、印象派の絵画は好きなのである。おそらく、淡く明るい色彩で、自然の風景や空気感を描いた作品が多いというところが、僕のツボにはまっているのだろう。  今回の企画展は、第1回印象派展の開催150周年を記念したものである(「印象派」という名前は、この時モネが出展した《印象・日の出》という

      • 「疲れまい」とすることの罠?

         「何もない日常に、小さな物語を」と銘打って、日・月と連続で記事を投稿した後、noteの更新がぱったり途絶えてしまった。三日坊主という言葉があるが、僕は三日すら持たなかった。  理由は色々考えられるが、一番大きいのはやはり「仕事で疲れたから」だろう。日中たっぷり頑張ったのだから、家に帰った後はのんびりだらだらしたい。仕事を離れても趣味や勉強に精を出している人がいることを思うと、考えが甘いなあと思うこともあるが、結局だらだらしてしまう。  そんな中、最近手に取った河合隼雄の

        • 幻の「近所の道全線踏破計画」

           『成瀬は天下を取りにいく』を手に取って以来、何かと思い出す出来事がある。  作中で主人公・成瀬あかりが西武大津店へ通い詰めたのと同じコロナ禍初年、僕はある挑戦を思い立った。それは、家の近所の道を全部歩き通す、というものだった。  不要不急の外出は控えるべきとされ、遠出などもってのほかという雰囲気が漂っていた当時、僕は週末がやって来る度に暇を持て余した。そして近所の散歩に出掛けた。スマホは持って出ていたが、頻繁に地図を見るということはなく、気まぐれに角を曲がり、適当に彷徨

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        記事

          何もない日常に、小さな物語を

           1ヶ月ぶりにWordファイルを開いたところで、ひじき氏は「うーん」と唸った。  さて、何を書いたものか——  久しぶりに文章を書く時はいつもこうだ。筆を置いていた間に色んな出来事があったから、何でも書きたいような気がする。「でも、それは現実的に不可能だなぁ」と思っているうちに、あらゆる出来事が取るに足らないもののように思えてきて、「やっぱり書くことなんて何もないや」という気分になる。  こうなると、もう一歩も先へは進めない。ひじき氏は白紙のままのWordファイルから目

          何もない日常に、小さな物語を

          中山連山ハイキングの記録

           1週間前のことになるが、兵庫県宝塚市の中山連山へハイキングに出掛けたので、その記録をつけておこうと思う。  暫く前から、休日に暇を持て余すことが増えていた。何か新しいことをしようと思い、自分の好きなものを振り返った結果、自然の多い場所に出掛けた時のことをよく覚えていることに気が付いた。それで、ハイキングを始めることにしたのである。  「鉄は熱いうちに打て」ということで、2月の半ばに神戸の須磨アルプスへ出掛けた。その後装備を充実させたのだが、天気に恵まれなかったり予定が立

          中山連山ハイキングの記録

          須磨アルプスに挑戦

           3連休の初日に、須磨アルプスへ出掛けた。  最近、幾つかの本の影響を受けて、〈自分が本当に好きなものは何か〉ということを改めて考えていた。その一環で、今まで訪れた場所の中で特に良かったところを思い出してみると、鳥取砂丘や貴船神社のように、町から離れて自然に囲まれた場所が多いことに気が付いた。  してみると、まち歩きよりもハイキングの方が性に合っているのではないか。  そう思い、低山ハイクをやってみることにした。そして、最初の行き先として、以前から気になっていた須磨アル

          須磨アルプスに挑戦

          哲学カフェの参加録~テーマ「偽善」・その2~

          はじめに 以前書いていた、1月27日(土)夜の哲学カフェ振り返りの続きを書いていこうと思う。  この日のテーマは「偽善」であった。多額の寄付を行った有名人に対する「偽善だ」「売名行為だ」というコメントを目にする。通りすがりの人に道案内をした後に、「今のって偽善だったのかな」と心を痛める——このように、必ずしも身近ではないけれど、生きていればしばしば遭遇する「偽善」について、時間を取って、みんなで考えたわけである。  「振り返りその1」では、哲学カフェで挙がった「偽善」の

          哲学カフェの参加録~テーマ「偽善」・その2~

          感動した記事の話

           すごい記事に出会った。  能登半島地震の発生直後にテレビで流れた、避難を呼びかける力強い声。その呼びかけの裏に何があったのかを紹介する、NHK広報局の記事だ。  書いているのは、NHKのアナウンサーで、「命を守る呼びかけ」プロジェクトの事務局長を務めている方。記事の中では、自然災害発生時にこれ以上犠牲者を出さないために立ち上がった同プロジェクトの歩みだけでなく、著者自身の来歴や災害報道との関わり方、地域の人々同士の呼びかけを強化していくために始まった防災教室のことなども

          感動した記事の話

          哲学カフェの参加録~テーマ「偽善」・その1~

          はじめに 1月27日(土)の夜、このnoteでは何度も紹介している、ちくわさんという方主催のオンライン哲学カフェに参加した。  「哲学カフェ」というのは、テーマを決めて、集まった人たちでそのテーマについて話し合う会のことである。テーマは何でも良いが、ちくわさんの哲学カフェでは、「友だち」「お金」「成長」「失敗」など、〈身近なところにあるけれど、案外じっくり考えたことがないこと〉を取り上げることが多い。そして、2時間という枠の中で、テーマを巡って問いを立て、考えたことや思っ

          哲学カフェの参加録~テーマ「偽善」・その1~

          とある本紹介式読書会の記録~2024年1月編~

          はじめに 1月21日(日)の朝、学生時代からの知り合いと行っている毎月恒例のオンライン読書会に参加した。  この読書会は月によって、メンバーがそれぞれ好きな本を紹介する形式になったり、決められた課題本を読んでおき感想や考察を話し合う形式になったりする。今回の読書会は前者の本紹介式であった。  読書会のメンバーは、現在のところ6人で実質的に固定されている。この日は1人体調不良で参加できなくなったので、集まったメンバーは5人であった。さらに、そのうちの1人は新幹線に乗ってい

          とある本紹介式読書会の記録~2024年1月編~

          龍にゆかりの貴船神社を詣でる

          はじめに 京都の貴船神社へ行った。  きっかけは、今年が始まってすぐに、関西にある龍にゆかりの神社仏閣を調べたことである。その中の1つが貴船神社だった。貴船神社の祭神は高龗神(たかおかみのかみ)という水の供給を司る神様であるが、この神様はまた、降雨・止雨を司る龍神でもあるという。さらに、貴船神社奥宮の本殿下には、神聖な場所である龍穴があるそうだ。  日本では龍が水の神様とされていることはかねてより知っていたので、水の神様を祀る貴船神社に龍と深い縁があるのはもっともなこと

          龍にゆかりの貴船神社を詣でる

          震災の日を前にして

           仕事帰りに近所の公園をジョギングしている途中、思いがけないものを見た。  普段は4、5人がボール遊びをしているだけの閑散とした広場に、白いテントが幾つも立てられている。その奥を覗くと、ろうそくに灯された炎が幾本も揺らめいていた。  その意味はすぐにわかった。立ち寄っていこうか一瞬迷ったが、運動用の薄着で寒空の下に長居する気になれず、結局そのまま走り去った。  家に帰ってから調べてみると、やはりそれは、阪神淡路大震災の追悼の集いだった。毎年行われているもので、犠牲者の数

          震災の日を前にして

          変化の兆しは遠く

           2024年の第2週も終盤である。  ここまでの数日を振り返ってみても、特筆事項はないように思える。朝起きて仕事に行って、夕方家に帰ってゴロゴロする。その繰り返しであった。そういえば、火曜日に梅田の紀伊国屋書店で本を買い、その足でヨドバシカメラに行き電気ケトルを買った。これが一応特筆事項になるのだろうが、2日経って日記をつけ始めて漸く「なんか珍しいことしてたな」と思うくらいなのだから、僕にとってそれほど大きな出来事ではないのだろう。——と言いながら、「いやでも電気ケトルを買

          変化の兆しは遠く

          仁義なきカレー争奪戦2024、開幕

           今日1月5日は2024年の仕事始めであった。  事務所に入るとすぐに、上司や同僚と新年の挨拶を交わす。それから年賀式を経て、お馴染みの平日が幕を開けた。  新年最初の1日は、何かとバタバタしているうちに終わった。年末年始に休みがあるということは、月末月初の仕事が滞るということを意味する。それを一気に片付けていかなければならないのだから、慌ただしいのも当然である。例月の1営業日目に比べると、仕事の進みが遅いように思える。本当はただやることが多いだけなのに、正月ボケで怠けて

          仁義なきカレー争奪戦2024、開幕

          2024年を迎えて

           皆さまこんにちは。ひじきでございます。  今回が2024年最初の投稿になります。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。  年が明けてすぐに大きな災害や事故が相次ぎ、このお正月は今まで生きてきた中で一番落ち着かないものとなりました。僕自身は、初日の出を拝む・おせちを食べる・駅伝を観る・初詣に行くなど、例年と変わらぬ3ヶ日を送っており、例年通り新年の挨拶と漠然とした抱負を並べた新年初投稿をしたいと思っておりました。が、やはり、衝撃的で悲しい出来事を前に、のうのうと言葉を綴るの

          2024年を迎えて