グアム_海

ハローグアム #1

海外旅行。

なんとなくだけど、それはぼくにとって縁遠いものだと思っていた。

友だちや知人が海外に行ったという土産話を聞いても、テレビで外国のきれいなビーチや観光名所が紹介されても、へぇ~行ってみたいなとすこしは思うものの、その実、まったく行動する気はなかった。

これは、ぼくの性格に起因する。

いわゆる心配性。どうしても先回りして考えてしまう。

パスポートを失くしたら。ロストバゲージしたら。スリにあったら・・・。

そういう心配事はほとんど起こらないとわかってはいるけど、そんな考えが先立ってしまう。


中学生のころ、ぼくは英語が苦手だった。

英語喋れたらカッコいいなと思ったこともあったけど、そんな程度の憧れでは上達しない。

なんの授業か忘れてしまったけど、「自分がいま考えていること」みたいな題で作文を書く機会があった。

ぼくは日頃、英語に抱いている鬱憤をぶつけた。日本に住んでいるので、英語を勉強する必要はない、英語なんて勉強しなくても生きていけるという趣旨のなんとも自分勝手な作文を書いた。

それくらい重度な英語アレルギーを持っていたため、海外に行きたいと積極的に思うことはなかった。

「別に日本でなんでもできるし、わざわざ海外なんて行かなくても」とうそぶいていた。

けど、この強がりの本意は、英語もできないし、海外ってなんだか怖いという未知に対する恐怖だった。


そんなぼくが、数年前「グアム」に行こうと計画を立てた。

なんで急に考えを変えたかというと、今までの自分の中に作った常識、固定概念というものをいちど再点検しようと思ったからだ。

その頃のぼくは、どこか行き詰まりを感じていて、けどその原因ははっきりとせず。モヤモヤっとする気持ちを変える“なにか”が欲しくて、もがいていた。

そこで、自分というものを整理して、一から作り上げることに救いを求めた。このやり方が合っているかどうかわからなかったけど。

自分には無理だと思ってることって、本当に無理なのかな?と。

チャレンジすることを極端に恐れて、体が縮こまっている自分を捨てたかった。

海外に行きたくないのは、英語が出来ないとか、不測の事態が起こったらどうしようという恐怖心からだった。

けど、恐怖を乗り越えれば、楽しいことだってあるかもしれないし、ものごとすべてがマイナス面ばかりではない、プラス面だってたくさんある。


恐れてばかりじゃ、なにも進まない。

とにかくやってみて、そこから新たな価値観をもう1回作っていこう。


そんなふうに思い直し、ぼくは、その考えが覆されないうちに、中学からの友達と一緒にグアムに行くことにした。

そこからは早かった。

旅行会社も、日程も、とんとん拍子で決まった。7月半ば、日本を夜に出発する、3泊4日の弾丸ツアーだ。

出発する日が近づくにつれ、とうとう日本を飛び立つときがぼくにも訪れたのだと気分が高揚した。飛び立つなんて大げさだと思われるかもしれないけど、初めての海外、海外に行くことを恐れていたぼくとしては、その表現がぴったりに思えた。

しかし、心配性な性格はなかなか変えられない。

ぼくは、なんかしらのトラブルにより、日本に帰れないこともシュミレーションしていた。だいたい心配していたことは起こらないのだが・・・。

出発の日が来るまでは、とにかくネットに落っこちているグアム旅行体験記や、雑誌の情報をできるだけ集め、トラブルが起きても、すぐに対応できるように万全を期した。

しかし、調べれば調べるほど、心配は湧き出てくる。入国審査で止められたら、急に外国の人に声をかけられたら、本当にきりがない。いざ本番となったら、吹っ切れるのだけど、ついつい考えてしまう。これではせっかくの決意が水の泡だ。


古い自分を捨て、新しい自分になるのだ。


ぼくは、調べることを止めた。そしたら、案外落ち着いてきた。前日荷物を詰めるときに、コンタクトの消毒液と中和剤を多めに入れた。いざというときのため。ビビっているわけではない。


当日、ぼくらは17時ぐらいに成田空港に着いた。

搭乗時間は、20時30分。フライト予定時間は、21時20分。

けど、ぼくらが乗る便が日本を飛び立ったのは、23時だった。

グアムと日本を結ぶ海上に、台風が発生したため、遅延してしまったのだ。いろんなトラブルを想定していたが、そんなケースどこにも書いていなかった。

海外旅行、怖い。


つづく



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Twitter:@hijikatakata21

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