グアム_海

ハローグアム #3

◎ハローグアム  


起きたのは朝の9時頃だった。クーラーがガンガンに効いた部屋で目を覚ます心地よさは、ホテルでしか味わえない。

カーテンを開けると、グアムの景色がようやく見えた。南国の木々に、突き抜けるような青空。

ようやくグアムに来たという実感がわいてきた。着いたときは、ほんとうに何も見えなかった。

外はきれいに晴れていて、窓をへだてていても、太陽の強さをビシビシと感じる。

ぼくらは、とりあえず、近くにあったABCストアに寄って、軽食と水を買い、海に向かうことにした。

やはり外は、暑い。

日本のじめじめとした暑さではなく、刺すような暑さ。瞬時に日焼けしそう(実際、そうなった)。肌に直接、太陽光が染み込んでくる感じだ。

空は、ほんとにきれいな青で、日本で見る空とは違い、空全体が低く、降りかかってきそうなくらい近くに感じる。

ホテルから、歩くこと徒歩5分。

左右に生い茂っている南国の木々の歓迎を受けながら、舗装されていない道路を抜けると、透き通った海が目の前に開けた。


この世の楽園か、ここは。

イメージ通りいやイメージ以上の景色。ぼくらは、しばらく感動して、青い空とエメラルド色の海に見惚れていた。

感慨に浸っていると、急に声を掛けられた。

「エクスキューズミー」

ぼくらが振り向くと、現地の人らしい40代ぐらいの女性2人組が立っていた。手には、紙パックのジュース。

彼女たちは、英語と身振り手振りで、ぼくらに何かを伝えようとしている。

人は、そういう状況に置かれたとき、必死に相手の伝えたいことを理解しようとするものだ。ぼくらは、英語はよくわからなかったけど、どうやら「ジュースを君たちにあげるよ」、そう言っているようだ、と解釈した。

遠慮しながら、紙パックのジュースを受け取ると、ぼくらは、頭を小さく下げながら「さんきゅー」とお礼をした。

すると、彼女たちは、にっこりと笑って、家族らしき集団のもとに帰っていった。

なんていい人たちなんだろう。

見ず知らずの外国人にジュースをくれるなんて。グアムの空気がこんな素晴らしい人間性を育てるのだろうか。逆の立場だったら同じことができただろうか?

彼女たちの好意は、心細かったぼくの心をじんわりと温めてくれた。たぶん、一生忘れない出来事。


ぼくは、初日で、すっかりグアムに魅了されてしまった。グアムびいきになってしまった。まさか、人の善意によってこんな気持ちになるとは。

異国の地での思ってもみない、幸先のいいスタート。

ぼくは、もらった甘いジュースを飲みながら、頭の中で、「海外、怖い」という思い込みを「海外はいいところ」と書き換えていた。


つづく



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