グアム_海

ハローグアム #4

◎ハローグアム   


夏休み前の繁忙期を避けたおかげか、ビーチにはあまり人がいなかった。現地の人たちが木陰で休みながら、ブランチをしている以外は、広い海に数人いるくらいだ。

友達は、荷物を置くと、すぐさま海へと飛び込んだ。

なんだか夢みたいだった。絵画のような景色が目の前に広がっている。

友達は、広い海を縦横無尽に泳ぎ回り、ほとんど独り占め状態の海を満喫し、しばらくしたら、沖の方で仰向けになり、太陽の日差しをもろに浴びながら、プカプカと浮いていた。

ぼくは、その間、荷物番がてら、ただぼーっと海を眺め続けていた。


海を後にすると、ぼくらは、一旦ホテルに戻り、グアムの中心地に向かうことにした。

ホテルに近いバス停には、日本人観光客が2組ほどバスを待っていた。

ツアーのセットには、バス乗り放題のカードがついていて、そのカードでほとんどの場所に行ける。炎天下のなかしばらく待っていると、バスがやってきた。

サングラスをかけたバスの運転手にカードを見せると、彼はちいさくうなずき、全員が乗り終えたのを確認して、バスを発進させた。

バスの中は、広々としていて、冷房が効きすぎるくらい効いていてかなり涼しい。定員は、20人ぐらいで、席は向かい合って座る形だ。

バスに揺られながら、グアムの街並みをぼけーっとしながら見ていると、やはり東アジア圏から来ている人が多いように感じた。お店の看板も、英語で書かれたものがほとんどだが、韓国語、中国語、日本語の看板もちらほら見える。


もうすぐで、目的地に着きそうだと降りる準備をし始めたときのこと。あるバス停に止まったまま、なかなかバスが出発しなかった。

何事かと、運転席の方を見やると、運転手は外にいる友達らしき人と笑いながらペチャクチャと喋っていた。わりと長めに彼らはおしゃべりすると、「またな」といった感じで挨拶をかわし、バスは再び出発した。

なんておおらかなのだろう。(その運転手が特殊だったのかもしれないけど)

日本ではまず見られない光景だ。

日本と文化も、使う言語も、気候も違うグアムという国では、これが許されると肌で感じられたことが、ぼくの価値観を揺さぶった。

目的地に着くと、ぼくはすこし緊張しながら、運転手に向かい、「さんきゅー」と言った。

その感謝の言葉には、目的地に送ってくれて「ありがとう」という意味と、グアムという国を垣間見せてくれて「ありがとう」という2つの意味があった。

彼は、「ユアーウェルカム」とぼくに返した。

昼ご飯は、かねてから調べておいたテイクアウト式のホットドッグを買いに行った。

シェフの帽子をかぶったイヌのキャラクターが描かれた箱を開けると、大きめのホットドッグと多めのフライドポテトが無造作に並べられていた。

1人分とは思えない、その量の多さに、ぼくの価値観はふたたび揺さぶられることになった。

(中身を撮り忘れる。痛恨。)


日が暮れると、水曜の夜にしか開催されないナイトマーケットに行く。ここは、より地元の雰囲気を味わえる場所だ。

雑貨やアクセサリー、バーベキューやドリンクを売っている屋台。でかい牛の背中に人を乗せるアトラクション?みたいのもあった。

異国感漂い、開放的な雰囲気は、どことなく心地よい。日もすっかり落ちて、気持ちいい風がほほをなでる。

ぼくらは、腹ごしらえをするために、とりあえずバーベキューの屋台に並んだ。発泡スチロール製の皿に、何種類かの料理を選べるバイキング形式。地元のおばちゃんが5、6人忙しく働いている。

スペアリブや味のついたチキン、ご飯もの、ビーフン、串にささった牛肉などが種類ごとに山盛りになって積まれていた。

ジェスチャー込みのつたない英語で、ぼくらは適当に品物を選んだ。ついで、友達は、ココナッツジュースを買いに行った。

ぼくは、ドリンクの屋台に並び、オレンジジュースを買った。タピオカを入れるかと聞かれたが、「のー」と断る。

ココナッツジュースは、ココナッツの実の上部を、包丁で切り落とし、ストローをさしただけの豪快なものだった。

ちなみに、もう1ドル払えば、実を半分に切って、中をくりぬき、ワサビしょうゆを垂らしてくれる。これが結構おいしかった。

ワサビしょうゆなので、おもいっきり日本の味だが、異国で食べるとまた違った味わいになるのだ。と偉そうなことをいってみる。

若干、グアムに、いや海外にかぶれる気持ちがわかったような気がした。

この頃になると、日本にいたときにやたら感じていた、海外に対する恐怖心は特になくなっていった。

むしろ今までやったことないチャレンジを楽しめる余裕すら感じていたかもしれない。

案外どうにかなるものだ。


ぼくらは、1時間ちょっとナイトマーケットを楽しむと、ダンスショーの音楽が流れるのを背に、その場を後にした。

バスに揺られ、ホテルに帰ると、すこし開けるのにコツがいるドアを開け、部屋に戻った。

(ココナッツの屋台の前には、飲み終えたココナッツが乱雑に置かれていた。)


つづく



#エッセイ #日記 #旅行 #グアム #旅

Twitter:@hijikatakata21

最後まで、読んでくださってありがとうございます!