グアム_海

ハローグアム #7(終)

◎ハローグアム      


ぼくらは、翌朝の3時に起きた。

睡眠時間、約3時間である。

安いツアーだからしょうがない。まだ起きてない頭を無理やり起すため、冷たい水で顔を洗い、気合を入れた。

ホテルのロビーには、朝の4時集合だ。ツアー会社が手配してくれたバスがぼくらを空港まで送ってくれる。

ロビーには、はじめましての日本人が多かった。3日間、滞在したが、すれ違いもしなかったのが不思議だった。

社員であろう現地の女性が、1人ずつ名前を聞いて、手に持っていた紙にチェックを入れる。ロビーに集まった日本人は、当たり前だがみんな眠そうだった。


バスの窓からは、来たときには見えなかったグアムの街並みが見える。

もう帰るのだ。来てみればものすごい早い。

違う国で過ごした時間は、刺激的で、毎日が発見に溢れていた。


飛行機は、定刻通りにグアムを離陸した。

窓の外を見ると、雲の上にいた。きらびやかな朝日が機体を照らしている。

果たして、ぼくはこの旅で何を得たのだろう。

古い自分を捨て、新しい自分になるのだと意気込んだが、新しい自分になることができたのだろうか。

たしかに言えることは、ただひとつ。

海外を無闇に怖がっていたぼくが、恐怖心や心配ごとを乗り越えて、海外に行ったということ。

人はそうそう変わらないかもしれない。けど、人はちゃんと変われる。


もしかしたら、「できない」と思っていることは、「できない」と思い込んでいるだけかもしれない。


成田空港には、朝の9時頃に着いた。2日ぶりの日本である。

帰りの電車では、疲れもあってか、あんまりしゃべることはなかった。車窓を流れる見慣れた景色を見ながら、ただ電車に揺られていた。

地元の駅につき、友達と別れ、家のドアを開ける。すると、犬が勢いよく飛び出してきた。しきりに、キャリーバッグやぼくの服のにおいを嗅ぐ。

グアムの匂いがするのだろうか。

犬の歓迎もそこそこに、ぼくは、バッグを開け、すべての荷物を取り出した。家族用のお土産は、リビングの机の上に置き、洋服や靴下などを洗濯カゴに投げ入れる。そして、コンタクトを外し、犬を引き連れ、ベッドに倒れこんだ。

犬は、ぼくの体にぴったりと寄り添って、毛づくろいをし始めた。

ベッド横の机の上には、オバマの栓抜きが置いてある。唯一形に残るお土産だ。


オバマは、言った。

「YES WE CAN」と。


ほんとうにそうなのかもしれない。やれば、できるのだ。


机の上の小さなオバマは、まるでぼくの思いに呼応するかのように、白い歯を見せて笑っていた。



おわり



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