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「自分だからできること」を見つけるまで

学校や職場、どこにいても、居心地が悪かった。

居場所がなかったわけではない。楽しかった瞬間もあって、周りの人も優しい人たちばかりだった。だけど、ずっと心にぽっかり穴が開いたような気持ちで、どこにいてもずっと居心地が悪くて。

これまで看護師、保健師、ライターといくつかの仕事をしてきたけれど、どれも「私じゃなくてもいい仕事だ」という感覚があった。自分がいなくても成り立つし、他にもっと適任がいる。ずっと”外側”にいる気分だった。

結局どの仕事もずっと続けたいとは思えなくて、中途半端になってしまった。バリバリ働く同世代の子たちがかっこよく見えて、いつまで経っても地に足ついていない自分が情けなかった。

バイトでも始めようか。でも本当は、やりたくない。みんながふつうにできていることが、私にはできない。もしかしたら、自分が自分らしく、心地よくいられる場所なんて、探してもどこにもないのかもしれない。

それから私は少しずつ、自分の居場所を探すことをあきらめた。
世間のふつうの道を進むことも、あきらめた。

その代わり、無駄だと思うようなことも、「やりたい」と思えば続けた。「やりたくない」と思うことは、無理をしてまでやらないようにした。損得に関係なく、自分の気持ちを大事にした。

進むべき道は見えなくて、お手本もない。これで良いのか悪いのかも、わからない。しばらく足踏みしているような時間が続いた。

そんな日々が続いていた時、やっと「これだ」と思えることを見つけた。それは自分の結婚式でつくった、シーグラスや貝殻を使ったゲスト参加型の結婚証明書。この結婚証明書をきっかけに、「お店を始めたい」と思ったのだ。

頭の中の「こうしてみたい」を0からカタチにして、できあがったものを見たとき、今まで自分がしたこと、作ったもの、書いたもの、すべての中で一番好きだと自信を持って言えるものができた気がした。

自分のお店を始めるなんて全く考えてこなかったし、最初はとても不安だった。受け取ってくれる人なんているのだろうか?誰にも見向きされなかったら、どうしよう。でも、やってみたい。

おそるおそるInstagramで商品のことや想いを発信し始めると、「欲しい」「素敵ですね」と言ってくれる人がいた。驚いたけれど、涙がにじむほど嬉しかった。今まで無駄かもしれないと思いながらやってきたことも、お店運営のために役立ってくれた。

そして、2023年6月にシーグラスアートのお店「hikari living」のweb shopをオープン。作ったものを届ける日々が始まった。丁寧につくり、心を込めて梱包し、無事に届きますようにと思いながら発送する。

つくって発送するだけなら誰にでもできるし、「私にしかできないこと」ではないかもしれない。だけどそれは確かに、「私だからできること」だった。自分の結婚式で結婚証明書を一から考えてつくり上げた経験は、誰かに奪われるものではないと思うから。

お店をオープンした日から、約6ヶ月。
あれから今も、ものを作り、届ける日々が続いている。初めてのことばかりで悩んだり、作り手としての未熟さにぶつかることもある。でも毎日、喜びがふつふつと心の中に湧き出ているような、そんな感覚で。

ああ、私いま、居心地のいい場所にいる。
やっと心地よく生きられるようになった。

あきらめから生まれた、心から居心地がいいと思える場所。hikari livingは、私の中のちいさな光になった。まだまだ始まったばかりのお店だから、これからもっとたくさんの壁にぶつかるだろう。だけど、きっと大丈夫。居場所は自分でつくっていけるとわかったから。


◇◇◇


シーグラスアートのお店「hikari living」
「暮らしと地球に優しい時間を贈る」をコンセプトに、
シーグラスを使ったものづくりをしています。

◇日々のものづくりの様子はInstagramにて

◇web shopはこちら


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