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志の輔らくご2022

志の輔らくご、2年ぶりじゃないですか〜?
志の輔師匠念願であろうのPARCOでの「大河への道」公演。
映画「大河への道」の公開前に、原作の新作落語を生で見られるなんてラッキー!
パルステの最速先行、結構当たる気がします👍

この日の演目はこちら!
(タイトル画像は開演前で、終演後はネタ出しされます。いちいちやり方がお洒落!)

こういうの作るのも大変そうやね〜

1席目「はんどたおる」

話は「スーパーのレジにて、あと3000円でハンドタオルがもらえると聞いて、ちょうど3000円になるように、110円のシュークリームを5個買っちゃった」主婦から始まる。
この話、てっきりこの本末転倒ワイフへの夫ツッコミで進める話かと思いきや…!

夫は夫で「騙されたと思って」とか「捨てたと思って」とか言って、倹約したり我慢したりさせようとするちょいケチな性格。
古典落語の「だくだく」という演目では、泥棒と家主が「○○したつもり」という“つもり合戦“をするナンセンスな面白みがあるけれど、それに似通っている。

最後はピザの配達のお兄さんが可哀想にも巻き込まれていき、サラリと終わる話。
家計を共にする2人の「あるある」を鮮やかに描く、志の輔の得意技のような演目でした。伊達に主婦から熱い支持のある番組の司会を長年やっていないよね。

2席目「ガラガラ」

枕で宝くじとかお正月の話をするから、てっきり古典落語の「富くじ」をやるのかと思ったら、超ダイレクトにお正月の商店街の福引きの話だった笑。
しがない商店街が、お客を連れ戻そうと1等を「世界一周旅行ペア」にしたはいいものの、他に回すお金がすっからかん。あまりにも寂しい景品一覧を見て役員2人はどちらからともなく「用意したけど出なかった、ということにすれば分からない…よね…?」と秘密の決意を固めるーー

個人的な見解だけど、志の輔の声質って、集会で冷や汗をかく権威をコミカルに描くのにピッタリだよね。そういえば大学生のとき志の輔版の古典落語「お血脈」(死後の石川五右衛門が、地獄の財政難を救うため、人々を極楽に導いている善光寺の「血脈の印」を盗むという古典落語)を聞いて、「これより第36回『輝け地獄総会』を開始する」ってセリフ聞いた時の爆笑をいまだに覚えている。

小さくてちょっとした悪気のない嘘が、後から大きな厄介事になってしまうというのは、落語に限らずストーリーのあるあるだと思うけど、そのスケール感がすごく良くて、落語じゃなくてもコントでも面白い構成だと思った。
個人的にはみんなで法被と鉢巻で1等が出ないように全力で祈りながらお客さんがガラガラを回すのを応援するところの盛り上がりが良かった。やはり生は良い。

お仲入り

入口の設えも凝っています

3席目「大河への道」

思っていたよりもサラリと終わった!終わり方、映画はどうなるんだろう!

黒船来航よりも前に自分の足で測量して日本地図を作った伊能忠敬の逸話を描いた話があってもいいじゃないか。博物館を訪れた志の輔師匠があたためていたネタ。
演目のつくりとしては「大河ドラマ 伊能忠敬」を作ろうと奮闘する地元の県庁の偉い人の世界と、その流れで語られる実際の忠敬の時代の話と、過去と現代の入れ子構造になっている。

年表に覚えた微かな違和感から広がる話が実に面白く、歴史物ってこういう「解釈」という楽しみがあるからいいんだよな〜と思える妙がある。

ネタバレになってしまうけれど、好きだったところ。
大河の脚本制作を依頼されて、「できませんでした」と腹を切る思いで打ち明けた作家先生の涙と、
時の将軍が待つ幕府へついに完成した地図を献上して、忠敬の大きな“不在“を感じながらも「できました」とやっと言えた高橋景保の涙ーー
その対比が鮮やかでとても感動した。

後者の「偉い人に人情で混み入った事情を訴える」というのは、まあ古典落語あるあるだし、やりとりの間とかは、流石志の輔という洗練された表現力を感じた。

そして、前者のパワーワードではやり笑ってしまう。

「すみません…これではいけませんよね…わかっています…」
「いや、君これはこれで良いかもしれないよ」
「えっいいんですか!『大河ドラマ 高橋景保』」

あのあながちあるかも?というラインと、それまでの神妙な空気を壊す真剣なふざけ具合が絶妙。

「落語を超えた落語」とかって言われて、確かに「これは講談で語られなくていけない人」とも言われていたし、最後も「大河ドラマに収まる器じゃない」というずるめな逃げ方だったけど…人情ものとしてうまく成立していて、そこまで大ネタ過ぎず、映画も楽しみになりました。
志の輔師匠のカメオ出演も楽しみ!

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