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#1 非宇宙の世界で生きてきた宇宙好きが、今こそ宇宙ビジネスに乗り出すということ


27歳、社会人3年目。東京から浜松に移って1年。

自分のことを知ってくださっている方ばかりではないと思いますので、自己紹介をさせていただきます。

永利 光(ながとし ひかる)といいます。1996年に東京で生まれ、26年間東京で育ってきました。大学では宇宙物理を、大学院ではシステムズエンジニアリングを専攻しており、(一応というレベルですが)品質管理やMisson Assuranceなどが専門です。

とにもかくにも宇宙に関わることがしたいと言い続けた結果、就活では思うような結果を得ることができず。宇宙に関わる前に、自分がどのように宇宙に関わりたいのかを考えに考えて、今の会社に拾っていただきました。

そのあたりの苦悩の結果は、別の記事でまとめております。

今は株式会社Relicという会社で、新規事業開発に向き合う日々を過ごしています。「新規事業創出のご支援をしつつ、自分たちも新規事業に取り組んでいるんです」というと、大抵の場合、「え、何の会社?」となるのですが、本当に「新規事業開発」に特化した会社です。後ほど改めて書きますが、自分がこれまで培ってきた専門性=システムズエンジニアリングの考え方を実践する現場として最適な環境だと思っています。

さて、去年の11月で27歳になりました(いつも年齢を重ねたと思ったら年が変わってしまうのですが)。早いもので、高校を卒業して今年で10年になります。社会人になってからもそろそろ4年目ということで、会社に属する人間として、1人で何かを成し遂げられる人であることが期待されるようになってきていると思っています。

そんな中で去年は自分の人生でも大きな転機を迎えた年でした。今まで26年間過ごしてきた東京を離れ、静岡県は浜松市に活動拠点を移しました。客観的に見るとなかなか大きな決断なのですが、自分が挑戦したいこと、目指していること合致したこともあって、わりとサクッと決めたように思います。

なぜ浜松か。今申し上げたように、自分の目標と重なったからです。

Relicでは、自分が入社した2021年頃から地方発の事業開発、事業創出に注力する動きを加速しており、全国の主要な都市に拠点を開設しています。単なる事業所や出張所ではなく、腰を据え、地に足付いた事業展開をしていくための拠点です。

その中で浜松にも拠点を開設することになりました。ここにはいろいろな背景があるのと、正直な話、自分は浜松で拠点を立ち上げたいです!と声をあげた人間ではないので後付けの内容も含みますが、

  • 先行して開設していた大阪や名古屋と、東京の間にあり、交通アクセスが良いこと

  • 特に製造業の企業が多く集積し、市としても新規事業開発を推進しているなど環境が整っていること

などがあります(他にもありますが、その辺は別にお聞きくださいませ笑)

ただ、これだけだったら東京出身で浜松とは縁のない自分にとっては、移住を決断するほどの理由にはなりませんでした。ここに「宇宙できるかも」という可能性が乗っかってきたのです。

浜松×宇宙

特に宇宙分野がご専門の方からすればツッコミどころの方が多いかもしれませんが、技術もあって、新たな挑戦として宇宙に興味もあるけど、ビジネスとしてのコンセプトづくり、絵づくりの部分が足りないという状況は、まさに自分が入れる、入るべきなのではないかと感じました。

そんな理由で浜松に行くことを決断して1年が経ちました。この1年間活動してきて見えてきたこと、いろいろな人とお会いする中で思いがけず前進したことが多くあり、この地で宇宙ビジネスに取り組むイメージが移住前よりもついてきました。2024年はそのイメージを具体的な形に落とし込む、あるいは昇華させる1年だと考えています。

なぜ宇宙に関わることがしたいのか

ここから、今何をしようとしているかの前に、そもそもなぜ宇宙に関わりたいのか、何をしたくて、これまで何をしてきたのかを書かせていただきます。

まず、なぜ宇宙に関わりたいのか。それはご多分に漏れず、子どもの頃から宇宙に対する憧れやワクワクがあったからです。最初に宇宙が好きになったきっかけは正直覚えていないのですが、日本科学未来館や国立科学博物館といった施設で宇宙というテーマに触れたり、スターウォーズを始めとするSF作品に触れたりと良くある入り方だったと思います。今はもうなくなってしまいましたが、丸の内OAZOに入居していたJAXAiというJAXAの広報施設には何度も足を運んでいて、宇宙開発を身近に感じていました。

そういった幼少期を過ごしてきた中で漠然と「宇宙」は自分の中にありましたが、その分野に進んでいきたい、宇宙に関わる仕事をしたいと思うようになったのは中学生のときです。地学の授業で使っていた図録があるのですが、宇宙や太陽系を扱っているページがあり、その中に土星の衛星「タイタン」の写真がありました。NASAの探査機「カッシーニ」が撮影したものだったと思いますが、これが自分にとっては衝撃でした。

タイタン(©日経サイエンス)

ここまで地球にそっくりな星があるのか、なぜこんな星が太陽系にあるのかと好奇心を強く駆り立てられたのを覚えています。そこから図鑑や本などを中心に宇宙の知識を貪っていきました。

そこからの宇宙に関わる活動については別記事で詳しく振り返っていますので、よろしければご覧くださいませ。タイタンという星がなぜ存在していて、どんな星なのか知りたいという思いを胸に、宇宙好きを貫き通した中学・高校生活、そして大学生でした。

どのような形で関わりたいのか

紆余曲折を経て今でも宇宙に関わることがしたい、(特に)タイタンという星をもっと知りたい、という思いは変わらずに心のなかで燃え続けているのですが、では永利は宇宙分野にどのように関わろうとしているのかを述べたいと思います。

冒頭でサラッと触れましたが、自分は大学では宇宙物理を、大学院ではシステムズエンジニアリングを専攻しました。そもそもなぜ専攻を変えたかという話ですが、自分は大学進学にあたって、探査機を作る人ではなく、何を探査するかを決める人になりたいと思ったために物理を選びました。首都大学東京(現:東京都立大学)の運良く宇宙物理実験研究室にも入ることができました。

ただ、周りの人にはよく話していることですが、自分はもともとドがつくほどの文系人間で、理系の勉強が苦手でした。なかでも物理は相性が悪く、高校時代の物理の先生には、あまりの成績の低さに「物理、好き?」と言われてしまう始末。それでも、自分が好きな宇宙に関わるためには物理が必要で、(当時は特に思っていましたが)JAXAやNASAを目指すなら理学は必要であると考えていたのでなんとか物理の道に進んだという背景があります。

そのため、大学4年間頑張ってはみたものの、やっぱり自分は物理ではないのでは、というのが達した結論でした。そんなことを考えながら学生生活を送っていた中で、「システムズエンジニアリング」に出会ったのです。ここの経緯を紐解いていると本筋からそれてしまうのでやめておきますが、システムズエンジニアリング、システム×デザイン思考という2つの考え方、専門分野に出会ったときは衝撃でした。

よくシステムエンジニアリングと記載されることがありますが、正確にはシステムズエンジニアリングです。もともとは有名なアポロ計画を成功裏に導くために作られた学問で、複数の専門分野を横断的に扱い、それらを束ねて複雑かつ大規模なシステムを成立させることを目的としています。

システムというと、日本ではまだまだITや情報システムの印象が強い側面もあるかもしれませんが、それは狭義のシステムであり、本来的には人が意図して動かすものは須くシステムとして捉えることができます。政治であっても都市であってもシステムになるのです。宇宙において言えば、宇宙機そのものだけでなく、宇宙開発計画やミッションの全体もシステムとして捉えられます。

自分はその中でも、S&MA(Safety&Mission Assurance)をテーマとして修士研究を行いました。GSN(Goal Structuring Notation)と呼ばれる保証のための記法について、System of Systemsとのかけあわせで新たな記法を提案した、というのが大雑把な内容です。

永利の専門領域

「システムズエンジニアリング」を体系的に学び、Relicで新規事業開発という形で現場で実践を積ませていただいているというのが自分のプロフィールです。

この2つの軸、システムズエンジニアリングの方法論と現場での経験をもとに、宇宙ビジネスに「システムズエンジニアリングの人」として参入したいと考えています。日本においてはまだ新しい学問であり、しっかり学べる場も多くない中、新卒でこのようなキャリアを歩んでいる人はそうはいないと思っています。

まだイレギュラーな存在だからこそ、他の人にはない強みとして押し出していければと思っていますし、ぜひ様々な形で皆さまの取り組みにご一緒させていただけたらと思っています。

自分が宇宙を志すことの意味

ここまで述べさせていただいたように、自分の専門領域と経験は、宇宙開発・宇宙ビジネスにおいても一定活かすことができると思っていますが、とはいえ、宇宙業界において何かを成し遂げたわけではなく、何の実績もない「非宇宙」の人間です。

それでも、そんな自分が宇宙分野に足を踏み入れることに意味があると考えています。いわゆる「宇宙村」に、異業種=非宇宙の人材や企業に入ってもらえるようにするというビジョンが掲げられるようになってからしばらく経ち、実際に参入する人や企業は増えてきていると感じます。ただ、まだまだその数が多いかというとそうではないと思っています。

その大きな理由として、他業界に比べて挑戦することの難しさがあると考えています。言わずもがなではありますが、1回の挑戦に対して莫大な費用がかかるため、インパクトの大きさも相まって失敗に対して世間も敏感です。国の挑戦か、企業の挑戦かで受け止められ方も変わるものの、複雑かつ大規模な取り組みであることの影響は大きいと思います。

周囲の受け止め方ももちろんですが、挑戦する側のリスクも大きいのが宇宙ビジネスです。事業化、サービス化に至るまで超えるハードルの高さは、企業が一歩踏み出すことの大きな壁になっているのが現状です。アメリカのようにリスクマネーや挑戦する機会も多くはありません(最近1兆円の基金のニュースがあったのは良かったですが、ここからだと思っています)。

この問題に対して自分がどのような挑戦をしようとしているかはまた別に書ければと思いますが、挑戦する人・企業を増やすためには、自分がその1人になることが重要だと考えています。大それた話ではありますが、非宇宙の人間が、宇宙業界に参入して成功する事例となることで、1つのロールモデルになれたらと思っています。

宇宙業界に参入して何をするのか

そんなことを考えていた折、浜松で宇宙ビジネスに取り組む可能性が見えてきたことや、幸いにも挑戦の機会をいただけそうということもあり、本格的に宇宙業界に足を踏み入れたいと思っています。

最終的には、自分が宇宙を志すきっかけとなったタイタンへの到達をはじめ、様々な星に自由に行き来できる世界をつくりたい。そんな思いを掲げてビジネスの道を歩んでいこうとしています。他では、なかなかそこまでのビジョンを前面に打ち出しているところも多くないかと思います。

それはそうなのかなと思うこともあります。様々な星々を人が自由に行き来し、星を単位とする生活や冒険が当たり前になる世界など、今この世界との乖離が大きく掴みようがありません。でも、だからこそ挑戦する価値があると思うのです。そんなスターウォーズのような世界をどうやって実現するか、その絵を作ることこそが今を生きる自分たちがやるべきことであり、先陣を切って取り組みたいと思っています。

そして、その取り組みを、まだ宇宙ビジネスに参入していない、でも参入したいと考えられている企業の皆さまと一緒に進めさせていただければと考えています。そうすることで、我々自身のビジョンの実現に加え、非宇宙のプレイヤーの方々のトライアンドエラーそして実績づくりの機会となればと思っています。このあたりの話はまた詳しく書かせていただきます。

永利個人としての、2024年の挑戦

さて、このビジョンの実現に向けて、今いろいろな方のご協力をいただいているところであり、同じ思いを持ってくれている同志といろいろと模索しているところですが、個人として何をするのか、ということについてここで宣言をしておくことで、退路を断っておきたいと思います。

宇宙分野における実績をまずは1つ作らせていただくことを目標としたいと思っています。とくに事業開発、事業創出やシステムズエンジニアリングに関連することで何らかの取り組みができたらと考えています。ここにおいては、皆さまのお力添えあってこそと思っておりますので、もし何かちょっとでも可能性がありましたら、ぜひお話をさせていただけますと幸いです。

そして、この目標に関連することでもありますが、システムズエンジニアリングの研鑽をもっと積んでいきたいと考えています。具体的には博士号の取得を目指し、まずは論文を書くこと、すなわち研究活動を本格的に再開することだと思っております。自分がシステムズエンジニアリングの人として宇宙分野に関わろうとする以上、現場での経験はもちろんのこと、学問的にももっともっと知見を深めていく必要があります。

慶應SDMに研究員として籍を置きながら、仕事の忙しさを言い訳にしてしまって何もできていなかったところがありますが、2024年は研究にも力を入れていきたいと思っています。SDMの先生方、諸先輩方、改めてよろしくお願いいたします。

読んでくださった方へ

長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。まだ思いをぶちまけただけで何かがあるわけではない状態ですが、本気で宇宙に挑戦したいと考えております。

ぜひ、同じようなビジョンや持たれている方がいましたら、ぜひお声がけくださいませ。挑戦をご一緒させていただきたいです。

また、直接的にご一緒せずとも、何らかの形で関わらせていただけたらと思いますので、ちょっとでもご興味がありましたらお声がけください。

無謀な挑戦をなんとか正解にしていくべく、なんでもやる覚悟ですので、今後ともよろしくお願いいたします。noteでも引き続き発信していく予定ですので、またお読みいただけたら嬉しいです。

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