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性同一性障害 「名の変更」申立 使用歴を示す資料が無い方も必読

ども、Hikaruです。X(旧 twitter)歴は13年、2019年から 現アカウントを 使用し、4年間 細々とやってきました。フォロワーは130人ほど。それが、2023年11月8日に戸籍上の性別変更申立をしてから3ヵ月で、フォロワーは倍の260人を突破し、それに伴い色々と変化があり その急速さに驚いております。

以前のnoteにも書いていますが、私は 日本の司法に期待をしていなかったので、今思えば 塞いで過ごしていました。それが ここ10年に 司法も 世論も ここまで心変わりしたのかと、あの最高裁違憲判決で 感じまして、Xの運営方針を転換させました。意図的にGID系のポストは していませんでしたが、反対に 主題として ポストすることにしました。すると 当時は 何の反応もなかったポストが、今は 多くの反応を得ることになり、この通り 倍のフォロワー数となりました。

皆さんのDMやポストに 沢山の気づきがあり、対話を通して 理解が深まり、10年前の更新で止まっていた脳味噌が ようやく この時代に追いつこうと稼働し始めています。感謝申し上げます。
なぜ GIDの話を意図的にしてこなかったか、どうして今話そうと思えたか、いずれのときか この心境の変化についてもnoteに書こうと思います。それでは本題です。

注意

様々な理由から 名の変更を 行う方がいらっしゃいます。名の変更は その変更理由によって 求められる資料が一部異なります。性同一性障害を理由とする 名の変更について扱っていますので 別の理由で変更申立を行う方は、このnoteは 物足りないため ご注意ください。

また、改名許可を審議する裁判官も 人であるため、同じ資料を提出しても、改名を許可する裁判官もいれば、「名の使用歴が短い」など  却下する裁判官もいることでしょう。また 申立人自身が どのような社会生活を送っているかも 審議の基準となりますので、例えば 山奥でひっそり誰にも知られず過ごしていれば、改名することで与える影響が少ないために 名の変更を許可することがあるかもしれないし、たとえば 未成年で学生をしている場合に、影響を与える関係者が多いことから、名を変更することに大きな違和感が生じると判断され、改名許可を得られないこともあるでしょう。
また反対に 資料が無く 全てが自己申告に基づくものであっても、それだけで 名の変更許可を得られない訳でもないです。

このnoteでは前半で 一般的に 性同一性障害を理由とする 名の変更において 必要となる場合が多い書類について述べます。後半では 私が 当時 20歳のとき 名の変更を行った時の実経験について書きます。この指標で 名の変更申立をすれば 改名許可を得られる可能性が高い という話をするのであって、私はそもそも裁判官ではありませんので、改名を約束するものではないことをご理解ください。

まずは名の変更の 申立の概要をチェック、、、え?

https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_20/index.html

急に私の話をして申し訳ありませんが、当時20歳だった私は この裁判所HPをまともに読まずに申立したんだなと、裁判所HPを このnoteを書くために開いてみて 今更気づきました。いや ひょっとしたら、裁判所HPを一度は開きはしたものの、内容が全く分からなかったために 読んだ記憶そのものを失った可能性もあります。

正当な事由。。。性同一性障害であることは 改名にあたり正当な事由となりえる でしょうが、正当な事由であることを証明する資料が 明確に示されていない為に、どうしたら良いか分からない と感じた方は多いと思います。

注意にも書いた通り、 様々な理由で申立する方がいらっしゃるため、正当となりえる事由が 沢山あります。加えて 申立人 本人の 社会生活を鑑みるとなると、明確な基準を示すことが難しいために、このような表記になっているのであろうと 私は考えます。

もはや 裁判所に その他必要書類が何か 訊けば良いのではという 当然の ひらめき

ここまで書いて元も子もないですが、今の私が当時の私に そのまま戻ったのであれば、裁判所HPで「意味わからん」となれば その場で 管轄の裁判所へ問い合わせしたことでしょう。

「名の変更をしたく、質問があるのですが わかる方いらっしゃいますか」
と訊いて
「性同一性障害であることを理由に改名する場合、一般的に必要とされる書類は何ですか。また資料が無くても、審議して もらえますか」
とダメもとで質問するのが良いと考えます。
窓口に裁判官が出てくる筈はありませんので、その書類を揃えたところで 改名許可を出すことを約束してはくれませんが、日々実務に関わっている担当者(多くは 書記官)が出てきますので、その回答は そこらへんの動画や 私のnoteなんかよりも信憑性が高いことでしょう。

ちなみに 私が当時 改名にあたって何を揃えれば良いかを どのように知ったかという話をすると、性同一性障害の診断書を得るために 通っていたクリニックの院長が教得てくれました。ただ、本来 名の変更手続きで使える筈の資料について 使えないと誤った話をされ、処分してしまったことで 損をした経験がありますので、やはり 裁判所に電話する方が良いでしょう。裁判所 と聞くと身構えてしまいますが、窓口の人も明るく、対応は市役所の窓口のノリと同じだと 私は感じました。何も 犯罪を犯していないのですから、恐る必要はないですよね… …?

最低限申立に必要となる書類等

•申立書と 印紙

印紙は コンビニや法務局等の役所で 買うことができ、というか申立する裁判所でも買えますので、心配には及びません。印紙の費用については裁判所HPを確認してください。

…え?と思った方は多いと思いますが、申立自体は 申立書に記入すべき事項を書き、正しい金額の印紙を貼って出せば 申立自体はできます。

•改名の目的
•改名しないことで起きている、また 起き得る不便
なこと

この2つは忘れずに書いてください。

職業または 在校名も正しく書いてください。なぜこれを書く必要があるかは 「改名した場合に、本人が属する どの社会集団に影響が大きいか 大まかに把握するため」です。

実例 20歳当時申立した私が 申立書に書いたこと

改名の申立は 現在から6年前のことであり、私は 記録を残す ことを考えていなかったため、当時の文章を一語一句再現することができませんが、要点だけ述べます。

当時20歳だった私は 就職活動を控えていましたので「就職活動で改名した状態で臨みたい」と改名の目的を書き、「当時のバイト先では 通称名の利用ができず、男性として働いているのに 女性らしい名前であることで 生徒を混乱させる等 不都合がある」と 不便なことを書きました。
今考えると、当時は運転免許証を取得する手前であったため「運転免許証には改名後の名前を載せたい。旧名と併記されていると、私は性同一性障害であるから 改名した意味がなくなる」と 改名の緊急性についても 付け加えて書いたと思います。

その他一般的に添付を求められる、あると良いと思われる資料

裁判所HPにて明示が無い通り、絶対に必要な書類ではありません。絶対欠かすことのできない要件ではないので、理論上は 資料ゼロでも名の変更許可を得られる可能性はゼロではありません。ただ、当然ですが1つでも多く揃えるほど 改名許可を得られる可能性は高くなります。

例 : 押印と発行日(郵送日)の記載があるかがミソです
①年賀状や手紙等、郵便局の印にて 郵送日等がわかる書類で、改名したい名前が記載されたもの
②従業者証明書や社員証等、勤務先が発行している名札等 人に見せるようなもので、改名したい名前が記載されたもの
③学生証など、通学先が発行するもので、改名したい名前が記載されたもの

④性同一性障害の診断書(裁判所提出用ではない、簡易なものでOK)や 治療歴を示す原本資料等

※ここまで読んで「資料が無いから諦めよう」と これ以上noteを読むことを止めてしまう方が いらっしゃる可能性がありますので 予め。諦めるには早いです。最後までご一読ください。

解説①  年賀状や手紙等、郵便局の印にて 郵送日等がわかる書類で、改名したい名前が記載されたもの

①が最も集めやすい資料かと思います。友人等に 改名希望の名前を書いた手紙等を郵送してもらいます。手紙の文字は手で書いてもらう方が良いです。郵便局にて押された印が 名の使用歴を示す資料として必要となります。印が押された年月日により、使用歴の長さも示すことができ、過去であればあるほど長い使用歴として認められますので良いです。

誰から受け取った手紙等か と言うことを説明できるようにしましょう。それが友人なのか、親族なのか。申立する本人が 普段どのように社会生活を送っているか、改名したことで 突然の変化に周囲が対応できるか等 裁判官は審議します。

郵送物であっても資料として認められないもの :  周囲の人との関係を説明できないもの

友人や家族から手紙等を貰うことが難しい場合に、例えば通販サイトの顧客情報の登録名を 改名後の名前にして 物品を頼み、届いた郵送物の印字情報を 資料として使おうと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし 先ほど述べた通り、周囲の人との関係を示す資料である必要がありますので、裁判所提出資料として 用いることができません。

解説②  従業者証明書や社員証等、勤務先が発行している名札等 人に見せるようなもので、改名したい名前が記載されたもの

①と比べると②は格段に難易度が上がりますが、それゆえ 裁判所提出資料として使えるものの1つとなります。寛容な勤務先であれば、相談してみるのも良いと考えます。勤務先の周囲の方との関係を示す資料となり、予め通称名として用いている事実があるのであれば、改名後の影響も少ないと 考えられ、その分 名の変更許可を得られる可能性が上がることでしょう。②に該当する資料は社印が押され、その多くは発行日も書かれていますので 通称名を使用している期間を証明することもできます。

勤務先で使っているもので 資料として認められないもの

例えば、単に「名札」は 印や発行日がないものが多く、偽装可能であるため、資料として認められません。

③学生証など、通学先が発行するもので、改名したい名前が記載されたもの

学生の方は②の資料についてはバイト先でも構いません。やはり③も①と比べると取得難易度が高いです。

私の実経験の話ですが、大学側に通称名表記で学生証の再発行をお願いしたときに 、その通称名を使いたい「正当な理由」を問われました。性同一性障害であることを告げれば通称名利用も可能となるかもしれないと、当時感じました。

と言うのも、私の場合は 理由を問われた時点で「理由は言えません。」と言って 学生証の発行を断念しました。
私は 妙なこだわりがありますので 「今の名前が不便だから通称名にしたい」だけであって、性同一性障害を理由には したくなった為、理由を説明できず 窓口に「理由を言えないなら通称名での学生証発行はしない」と当然 拒否されました。

解説④  性同一性障害の診断書(裁判所提出用ではない、簡易なものでOK)や 治療歴を示す原本資料等

④は①〜③と異なり 周囲の人との関係を説明する資料には なりませんが、改名の特性上、私の場合は 女性名から男性名に変わるため 大幅に その名前の受け取り手の印象が変わり 周囲に与える影響も大きいため、男性名にしたい根拠として あった方が良い資料と言えるでしょう。こちらも 診断日と印が押された資料となりますので 裁判所提出資料として認められます。

その他使えない資料

例えば いわゆるポイントカードは、容易に作成できてしまうため 裁判所提出資料としては認められません。

診断書をお持ちでない方へ

診断書無しに 治療を始めた、それは推奨されるべきではない方法であっても、そういった経緯や事情がある方がいらっしゃることでしょう。このような場合は、治療歴を示す資料を医療機関から作成して 裁判所提出資料に充てる方法があります。発行日は当然書かれますが、印も押されるか 依頼前に必ず確認しましょう。

名の変更に関する資料を全くお持ちでない方へ

直接関係する資料が無くとも、名の変更を諦めないでください。例えば 名前の問題含め、GIDであることに起因する困難が日々あります。それによって、例えば うつ等に罹患している場合には 診断書が発行されますので、こちらを資料として使うことを 裁判所に相談してみてください。

例えば 極端なキラキラネームの方や 部落差別に伴う 名前で困っている方は 、その名前であるだけで実害が 考えられ、別途資料が求められない場合があります。実害がある ことも十分な改名理由となりますので、それを示す診断書、また自己申告でも構いませんので 説得を試みてください。

今 実害が無くとも 将来の不安から 改名を望むことも 正当な理由となり得ますので、述べましょう。
「男として就職活動したいのに、現在の名では 流石にむずかしい」と私も改名理由として将来の不安について申立書に記入しました。

面談を受ける方へ 見た目•印象も大切です

必要があれば 書記官との面談があります。裁判官も忙しいので、大抵のことは書記官に任せ、書記官の申告や回収した資料を元に、名の変更許可を出すことが妥当か審議します。

当たり前の話ですが、たとえ 男性名への改名を希望し 使用歴を示す資料を提出したとしても、面談に来た本人が バリバリのギャルであったり、ロリータファッションで来た場合には、社会通念に照らして裁判官は改名許可を出してくれないことでしょう(あくまで例えの話であって、特定の人や集団を攻撃している訳では無いことを ご理解ください)。

男性名を希望する場合は その名に合った身なりで行きましょう。面接と考え方は同じです。

参考 :  私が提出した資料と 申立から名の変更許可を得るまで要した期間

私の場合、性同一性障害の診断書1枚と 親族からの手紙一通のみで、認められた名の使用歴は2年3ヶ月でした。

なんでもない名前の人が、単に好みで名を変えたい場合には、その使用歴がおおよそ6年程度必要と判例で言われているところであり(ソース : 当時お話した窓口担当者)、今考えてみると よくこれで名の変更許可が出たな と思います。

面談には バッキバキのメンズスーツで行き「この容姿で面接に行きますが、今の あいり(当時の名)という名では就労は難しいと考えますので、早く名の変更をしたいです」と渾身のパフォーマンス(嘘を演じているわけではありません)をしたものです。

申立から10日で名の変更許可が出て驚きました。

資料について収集できない理由がある場合はキチンと伝えましょう

使用歴を示す、裁判所へ提出可能な資料の収集ができない理由がある場合は、その理由を説明することがむしろ、名の変更許可を得られる可能性を上げる場合がありますので 隠さず述べましょう。私の場合は 先ほどの資料の中で②③が取得できなかったため、②については「本社に取り合ってもらえなかった」、③については「性同一性障害であることを告げられなかったから」と 書記官に説明しました。改名に繋がるアクションを本人が行った事実が、たとえそれが申告に基づくものであっても 価値を持つことがあります。

正当な理由があれば いずれ改名できます。

名の変更にあたって、特に家族に説得などに時間がかかる方が多いでしょう。それすら片付けたなら、資料なんてものは 参照 資料程度のものですから、使用歴を作ろうと何年も待つのは もったいないです。また 改名した私の感想を述べれば、改名後 人生は大きく好転しましたので、もっと計画性もって早くやれば良かったと本気で思います。名の変更を考えている方は すぐにでもトライしてみましょう。申立自体は何度でもできるのですから。

改名後の生活の変化等について、近いうちに 私を実例としてnoteを掲載します。気になる方はそちらも お読みになってください。

戸籍上の性別の取扱いの変更申立も される方は 下記もご一読ください。


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