キングダム韓非子から学ぶ経営者・管理職のための性悪的組織論 #3

韓非子とは

  • キングダムにも登場した法家・韓非子が生涯をかけてまとめた中国古典

  • 人間は利己的であり愚かでうそをつく生き物であるという性悪説を前提に会社組織をどのように管理し導くべきかについて教えてくれる実用書。

  • 人間の本質を楽観視せず、ルールと賞罰の徹底によって組織が目的を達成することができるという法家思想。

  • 会社・組織を運営するうえでさぼり・なまけ・そんたくなど人の性質がゆえに起きうる問題を解決するヒントを教えてくれます。

外儲説 第34

君主が臣下を治める方法は3つある。

第一類

君主の勢力で手なづけることができない臣下がいればこれを取り除くべきである。
[例]
太公望が斉の地を領土として与えられた。このとき斉の東の浜にある兄弟がいた。この2人はわれらは誰の臣下にもならず、諸侯の友ともならず、自給自足の生活をし他人に何も求めないと決めていた。太公望は諸侯から受けた名誉も土地もなく宮使えもしないこの兄弟を捕らえ処刑した。すると他の男がこの二人は賢人です。いま領土を与えられたばかりでその賢人を殺すとはどういうことかと非難しました。
太公望はこの二人は誰の臣下にも友にもならず自給自足すると決めていました。そのようなものは私が臣下として使うこともできず、賞をつかい励まし仕事をさせることも、罰で抑制することもできない。昔の賢王が臣民を治め使ったのは常に賞罰です。その賞罰をつかえない相手では私はどこの国の王であるのだろうか?国の為、私のために働き、戦うこともないのに国内で名誉を得たりすることができる例があると決して国の人々を正しく導くことはできないでしょう。
[ビジネス]
現代社会の中で社長のいうことを聞かない社員を全員やめさせるといことは労働基準上できないし、多様性や事業の新規性を維持するためにも絶対に推奨されない。しかし、窓際で何もしなくても一定の給料を得ることができるので仕事に励まないという窓際族はどうであろか?彼らはなぜ発生するのであろうか。励まなくても金がもらえ、法に守られ仕事を失うこともないと考えているのはまさに賞罰の術によって扱えない人々である。会社内で賞罰を徹底することがその他の従業員をただしく導くことにつながる。

第二類

君主は臣下の利害の中心であるから、多くの臣下が君主の心を射止めようとする。だから君主の好き嫌いがわかると、臣下はますますつけ入る手がかりを得て君主の心を惑わそうとするのである。
[例]
申子は言いました。もし君主が聡明であることがわかれば人々はそれに応じて用心をする。もし聡明でないとわかれば人々は君主をだまそうとする。君主が臣下のある物事を知っているとみればその物事に関して飾り立てる。もし知らないとみればあくまで隠そうとする。また君主が無欲であると分かれば人々はそれに調子をあわせ、欲があると分かればつけ入ろうとする。
だから古人は相手の実情を知る手段は外ではない、ただ己の本心をそとに表さず何もしらないふりをするのである。
[ビジネス]
評価されるために社長・上司の好き嫌いがわかるとそれにあわせて行動しようとする人は一定数存在する。体育会系のコミュニケーションが好きな上司には大きな声であいさつする、趣味の話を合わせたり、性格を偽ったりする。正直社長・上司は悪い気はしないし、営業の中では重要な能力になってくる。しかし会社内において部下を正しく評価するという観点においては部下の本来の姿がみえなくなり飾られ隠されることはデメリットである。また仕事に励み成果をあげ評価されようとするのではなく上司の機嫌を取り評価されることがあると、その周りの真面目に仕事する従業員が一斉にやる気をなくし仕事する気がなくなる。社長・上司は何を考えているのかわからないと思われるある程度不思議な存在である必要もある。

第三類

君主が賞罰による統率の術を行おうとしても巧く扱えないのにはいろいろな理由がある。例えば世間で酒屋の犬を殺さなければ酒は酸っぱいままとい言い伝えがあるように、国にも犬があり政治を妨げるのである。また君主は恩情によって厳しく罰を与えることができないのである。人情にそむいても法を守り賞罰を徹底することが必要でありその痛さに耐えなければならない。
[例]
宋の人で酒を売る人がいた。酒の計り方は公正で、接客も上手で、酒の味もおいしい。しかし売れないので酒は酸化してしまい飲めなくなってしまう。理由がまったくわからないので長老に相談してみたところ、その長老はお前の家の犬は猛犬ですか?と聞きました。酒屋の男ははいそうですと答えました。長老は人はその猛犬を怖がるから酒がうれないのだよ。子供がおつかいで酒を買いに来ても犬にかまれるのが怖くて酒をかえない。
同様に国にも犬がいるのである。優秀な士が王に使えようときても大臣(猛犬)がかまえて噛みつく。だから王は優秀な士と隔たれ、大臣は私欲をむさぼるのである。
[ビジネス]
社長・上司は親戚だからや昔から長年働いてくれているからや昔世話になったからなどの情によって厳しきそして正しく罰を与えることができていない場合があります。たとえ人情にそむき非難されようとも正しく裁く痛みに孤独に耐えなければならない。何よりも現在・未来の会社組織を守ることが最優先なのである。


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